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ブライダル業界の現状とウエディングプランナーの仕事の将来性

公開日 2019/01/16
ブライダル業界の現状

ブライダル業界の変化とウェディングプランナーという仕事の将来性は、これからプランナーを目指す人にとっては気になるところでしょう。結婚式を取り巻く環境はこれまでも変化してきましたし、これから先も変化を続けていくと思います。この記事では、ブライダル業界の現状と変化から今後ウェディングプランナーに求められていることや必要な要素が何なのかをご紹介します。

 

ブライダル業界の市場規模とトレンド

市場規模の推移

ブライダル関連市場の規模は以下の通りです。

挙式披露宴・披露パーティ市場 1兆2,900億円
新婚家具市場 2,360億円
新婚旅行市場 3,340億円
ブライダルジュエリー市場 3,270億円
結納式・結納品市場 204億円
結婚情報サービス市場 1,070億円
ブライダル関連市場合計 2兆3,144億円

関連市場も合計すると2兆円を超え、挙式披露宴・披露パーティでも1兆円超の規模がある一方、市場規模の推移という点では緩やかな減少が続いています(以下、出典:リクルートブライダル総研作成 婚姻組数予測)

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市場規模の縮小が予想されているのは以下のような理由です。

  • 少子化(結婚適齢期の人口の減少)
  • 生涯未婚率の増加(結婚しない人の割合の増加)
  • 結婚式実施率の低下

まず1つ目の少子化については、日本をはじめ主要先進国では少子高齢化が急激に押し寄せている現実があります。様々な要因によって出生率が減少しており、その子供たちが大人になった際に挙げる結婚式の母数そのものが減っていくため、ブライダル業界の縮小につながっていると考えられます。2020年の出生者数は85万人を割り込み、2021年以降はさらに出生者の数が減っていくという予想もされています。

2つ目の生涯未婚率の増加については、結婚をしなくてもよいという男女が若年層を中心に増えていることが考えられます。晩婚化や生涯未婚の男女は年々増えており、2015年時点で男性23.4%、女性は14.1%が未婚を選択しています。最新の統計によると2040年時点で男性は約30%、女性は約19%が未婚になるという言われています。

3つ目の結婚式実施率の低下については、入籍はしたが結婚式を挙げない層が増えていることが要因の一つに挙げられます。結婚式を挙げない理由は様々ですが、結婚式自体高価な商品であり、1回で400万前後かかることなどから経済的な理由で挙げない層が一定数いることは確かです。また、晩婚化が進んだこともあり、結婚式は挙げないけど、写真や親族だけでの食事会だけで済ませてしまうことも考えられます。

いずれもマクロ的な理由であり事業者側の努力でこの減少を食い止めることは難しく、その一方結婚式場の数は結婚式需要をカバーするのに十分な数がすでにあるので、今後はより厳しい競争環境になってきていくことが予想されます。

 

ウエディングトレンドの推移

10年単位でみると、

  1. 派手婚(1980年代、バブル期)
  2. 地味婚(1990年代、バブル崩壊後~)
  3. アットホーム婚(2000年代、平成中期~)
  4. なし婚&オリジナルウェディング(2010年代、平成後半~令和)←今ここ

1980年代に行われていた結婚式は日本の景気が良く、いわゆるバブルと呼ばれる時代の結婚式です。

景気がよかったこともあり、とにかく派手に大勢で結婚式を行うことが人気でした。大きな会場に大勢のゲストを招いて、キャンドルサービスなどで派手な演出を行うなど。バブルの時代だからこそというものを感じます。ドレスや和装も派手目の赤や青が好まれ、ゴージャスなドレスが流行っていたようです。

1990年代のバブル崩壊後は景気後退の影響から地味婚と呼ばれる結婚式に移行していきます。

バブル時に行っていたような大きな会場で大勢を呼ぶ結婚式とは逆に小さめの披露宴会場で少人数で行う結婚式が増えたことからこのような呼ばれ方をします。
それでも、結婚したら結婚式を挙げるという文化はまだ残っており、新婚旅行も兼ねて結婚式を海外で行うなども1990年代から流行りだしました。

2000年代の平成中期では自宅で過ごすようにくつろぎながら行う結婚式ということで、アットホーム婚と呼ばれる時代です。

余分な費用はかけずに自分たちが必要と感じるものだけ準備して、少人数や二人だけで行う結婚式がこの型に当てはまります。
ホテルや教会を使わず、ゲストハウスなどで結婚式が行われるようになったのもこの頃からと思われます。

2010年代からは入籍のみで結婚式を行わない「なし婚」が増えました。それと同時にこれまでの常識にとらわれないオリジナルウェディングのトレンドが生まれたのもこの時代です。

なし婚層については結婚式を行わないので「婚」を付けることが正しいかは分かりませんが、親族への入籍報告や1.5次会のような食事会とお披露目会を含めたパーティーなどを行う層も一定数いることから結婚式とは別の形で行われるスタイルの一つと言えるかもしれません。また、フォトウェディングや前撮りと新婚旅行を一緒に行うなどもこの頃から盛んに行われるようになってきましたね。

一方オリジナルウェディングは結婚式場以外の場所での開催、独自の進行、コンセプトメイクなど、二人らしさを前面に出したウェディングとも言えます。CRAZY WEDDINGがサービス提供を開始してから増加してきたと言えます。

ウエディングトレンドは常に変化してきていますし、その一方で結婚式を挙げる会場タイプの人気で見ても、

  1. ホテルウエディング
  2. レストランウエディング
  3. ゲストハウスウエディング
  4. 場所にこだわらないオリジナルウエディング←今ここ

時代とともに変化してきています。この間、ウエディングプランナーという職業が新たに生まれてきたということはありませんが、それぞれの時代で活躍してきた人たちはこのトレンドをキャッチアップし、新郎新婦の理想の結婚式を作ってきた人たちです。

このように、マーケットを取り巻く状況やウエディングのトレンドは常に変化し続けてきていますし、これからも時代に合わせて変化していくでしょう。さて、このような状況でウエディングプランナーの仕事は今後どのように変化していくでしょうか。

 

ウエディングプランナーの仕事の変化

新郎新婦の結婚式のプランニングをする、という大まかな職務定義は変わっていませんし、今後も変わらないでしょう。一方、先ほどのマーケット環境や社会一般に技術の進歩などに伴い、プランナーの業務は変化してきています。

  • ブライダルフェアが毎日行われるようになった(以前は一定期間ごとに1回だった)
  • 会場の成約方法が仮予約から即決主流となった
  • 固定プランなどのパッケージ販売からオーダーメイド販売となった
  • 取り扱い商品が増え、覚えなければいけないことが増えた
  • 初期見積りから100万円近く上がる(打合せプランナー目線では上げる)のが一般的になった
  • 業務を回すのにシステムを使うことが一般的になった(見積りの作成や台帳の管理など)
  • 集客の方法がゼクシィ一本からウェブ広告やSNS活用など多様化した
  • 顧客の価値観が多様化したのでテンプレート接客では成果を残せなくなった
  • 結婚式場間の競争激化から、業績を求められる側面が強くなった

以前は現場色が強く、対面でお客様の対応をこなしていけばよかった印象ですが、最近ではWEBのツールやオンラインでの対応、会場のWEB情報の更新などオンラインに関わる業務も現場でこなしていかなければならないように変わってきていると感じます。

また、以前は結婚式はどのようなことをするのか、どれぐらい費用が掛かるかなどは現地に行ってプランナーに見積もりを取るまで分からない情報が多かったですが、 現在ではインターネットの情報や口コミからある程度の情報をお客様が入手することが可能となりました。

情報がオープンになることで、顧客の要望やニーズに対応する必要が出てきたり、他の競合企業との比較に苦慮することも多くなっています。高額商品である結婚式がゆえに風評被害対策や現場でのマニュアルの強化、顧客対応への繊細さも求められるようです。

などなど。細かなところで言えばまだまだありますが、大きくまとめると「以前と比べて商品が複雑化してきており、システムを利用してよりお客様ごとにカスタマイズされた結婚式を提供するようになってきている」と言えます。

このような中でウエディングプランナーに求められる資質も変化してきており、業界や結婚式、お客様に対する思いだけでは足らず、以下のような点も重要になってきています。

  • 業務システムを使えることITリテラシーがあること(例えばエクセルを使えないとかタイピングが苦手だと業務は厳しいでしょう)
  • 数字に対する意識を強く持てること(営業であることを自覚して業務に取り組まなければいけない)
  • 新しいトレンドや技術をキャッチアップしてお客様に提案できる勉強力があること

特に2010年代に入ってからの技術の進化はすさまじいスピードであり(例えばLINEができたのは2011年なので10年たってないですし、インスタが日本に上陸したのは2014年なので5年も経っていません)、今後このスピードはより速まっていくことが予想されています。このような環境が変化に合わせて、ウエディングプランナーの仕事も変化していくことになるでしょう。

 

ウエディングプランナーの将来性について

では、このような変化が予想される中でウエディングプランナーの将来性はどうでしょうか?どのようなプランナーが生き残り、活躍できるのか、いくつかのポイントでまとめます。

定型的な案内だけをするプランナーは淘汰されていく

会場ごとのパッケージプランを定額で販売する、という時代はすでに終わりを迎えており、1組1組ごとのお客様に最適な提案をし、オーダーメイドで結婚式を作っていくことが一般的になっています。

AI(Artificial Intelligence:人工知能)が世の中にだいぶ浸透してきており、定型業務はこれからどんどんAIに置き換わっていくと言われます。ウエディングプランナーも同様に、決まった商品を決まった方法で売ることしかできないような人は淘汰されていくと思いますし、あなたにしかできない提案、作れない結婚式がないと、プランナー間の競争も勝ち残っていけないと思います。

結婚式場の探し方が変わる、プランナーから選ぶ方法も主流になる

これまでのゼクシィやみんなのウェディング、ウエディングパークなどの「結婚式場を最初に決める」という方法から、「どのウエディングプランナーにお願いするかをまず決める」という方法にシフトしていくのではないかと思います(欧米ではむしろこちらが一般的です)。そうなると、デザイナーのポートフォリオのように、プランナーも担当した結婚式リストを公開し、それを見た新郎新婦が選ぶというのが一般的な流れになっていくので、プランナー個人のブランディングが非常に重要になってくると思います。

トレンドはどれくらいの時間をかけて変わっていくのか?

このような変化は高い確率で起こっていくと思いますが、とはいえIT業界などと比べると変化スピードはとても遅いので変化していくにはまだまだ時間は掛かると思います。オリジナルウエディングが増えてきたとはいえゼクシィに置き換わったとはまだとても思えないですし、そこまでマクロトレンドが変わっているわけでもありません。そのためあと10年くらいは肌で感じる変化はないと思いますが、これからプランナーになる20代前半の方であれば、20年仕事を続けることに大きな変化が起こっていると思います。

ウエディングプランナーとして長く働くために必要なこと

これから先も長くプランナーとして働く上で重要になるのは「会社や会場ではなく、個人の高いスキルとブランディング」だと思います。働き方改革などの影響もあり、ウエディングプランナーに限らず副業解禁の流れやフリーランスになる人も増えてきています。フリーランスとして働く人も増えてきていますが、それだけで生きていくためには自分を選んでもらう理由が必要であり、それは個人のブランドによって作られるものです。今は結婚式場で働いている方も、10年~20年先の将来を見据えるのであれば「自分にしか作れない価値」「自分だから提供できること」など自身のブランドにつながることを意識して日々の業務に臨むべきだと思います。

結婚・出産後も共働きをするならウエディングプランナーの次のキャリアも考える

結婚式場でウエディングプランナーとして働く場合、どうしても土日祝日の出勤は必須、かつ労働時間も長くなってしまいます。最近では時短勤務のプランナーも増えてきてはいるものの、子育てをしながら土日出勤固定でフルタイムは相当難しいと思います。家族や住む環境などにもよるので一概には言えないものの、もし結婚・出産後も仕事を続ける希望がある場合は、先ほど紹介したようにフリーランスとして自分の自由な時間で仕事をするか、プランナーの経験をを活かしたネクストキャリアを考えておく必要があります。

※参考

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ブライダル業界の今後とウェディングプランナーの将来性まとめ

ブライダル業界のこれまでの変化とウエディングプランナーと言う職業の将来予測についてまとめました。いいことだけではなく、ネガティブな側面も書いてしまいましたが、「人の幸せに携わる仕事」というのは多くありませんし、非常にやりがいを持って取り組めるという点は今後も変わらないでしょう。そんな中で仕事を続けていけるように高い目的意識を持って仕事を続けてもらえたらなと思います。

Wedding Me Career

Wedding Me Career編集部
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