更新日 2020年07月14日

ゼクシィ出稿量の変化に見る新型コロナウイルスのブライダル業界への影響度合い

緊急事態宣言は解除されたものの、最近はまた感染者数は増大傾向にあります。結婚式の開催も増えてきていると聞いていますが、まだ予断を許さない状況が続いているでしょう。今回の記事では、コロナウイルスの感染拡大に伴う施行延期やキャンセル、新規来館に与える影響をゼクシィへの出稿ページ数の変化という観点から考えてみます。なお、調査対象はゼクシィ首都圏版の6月発売号(以下6発、4/23発売)と7月発売号(以下7発、5/23発売)、8月発売号(以下8発、6/23発売)です。

総出稿ページ数の変化

出稿状況のサマリ

出稿会場数、総ページ数、1会場当たりの平均掲載ページ数の変化は上記の通りで、5発よりは掲載ボリュームが増えているものの、6発が閑散期であることを考えていても例年と比べるとかなり少ない出稿ボリュームであることがわかります(徹底ページと通常エリアページの違いは考慮していないです。

次月の7発(7/23発売予定)は繁忙期の出稿になるので例年出稿ページ数は増える傾向にありますが、そこでどこまで戻るのかは気になるところです。

ちなみに、邪推ですがゼクシィへの出稿金額を75万円/ページと仮定し、4発と6発を比較すると1.5億の売上減少となっている計算になります(ゼクシィネットへの出稿やオプション商品、別冊出稿などもあるのでそんな単純ではないですが…)。ゼクシィは首都圏だけではなくそれぞれの地域版がありますから、RMP全体で見たときの業績への影響はかなり大きいものと考えられます。

 

出稿ページ数内訳の変化

ゼクシィ首都圏版(東京23区)出稿P数の内訳

具体的な数値は次の通りです(単位/会場)。

出稿ページ数 4/23発売 5/23発売 6/23発売
0.5ページ 17 58 36
1ページ 9 12 12
2ページ 13 8 19
4ページ 5 4 8
6ページ 14 3 5
8ページ 16 1 1
10ページ 4 0 0
12ページ 2 0 0

5発の出稿内訳を見ると最低出稿ボリュームである0.5ページの会場が多く、6発になると2ページの会場が増えています。

この背景には、5発の申し込み時点(4月中旬から末くらい)での集客状況の不透明さからまず出稿下限ページ数で出稿だけは維持して様子見(本誌に出稿しないとゼクシィネット掲載の単価が高くなるのも理由の1つ)、6発の申し込み時点ではある程度回復すると読んだ会場が多く5発0.5Pだった会場が6発2Pに変更したケースが多かったからだと思います。

ゼクシィ首都圏版(東京23区)出稿P数の推移分布

上の表で見ると減少→増加のところですね、全体の24%がこのような動きになっています。慎重な姿勢の会場は減少→維持としており、4発よりも出稿が増えている会場はありません。また出稿を止めている会場もまだ少なからずあり、先行きの不透明感はまだ解決されたわけではないと言えます。

 

新型コロナウイルスの集客への影響についての考察

概況の考察

集客状況としては6月後半の緊急事態宣言解除あたりから徐々に来館数は戻ってきているという話はよく聞きます。私は普段東京にいるので首都圏エリアの状況に偏っていますが、オンライン接客が増えたというよりは通常の結婚式場来館やブライダルフェア参加が増えたという印象です。

このまま例年通りの水準まで戻るのか?となると現時点ではわからないですが、政府がGOTOキャンペーンを実施したように以前のような強い制限を発する可能性は高くはなさそうなので、徐々に回復する傾向は続くのではないかと思います。

こういった状況になると仮定した場合に結婚式場が業績観点で最も神経を使わないといけないのは施行枠の受注コントロールです。3月~6月に施行予定だったお客様の延期分とこれから来館して成約するお客様を今秋~来春にかけて受注していくことになるので、例年以上に枠の稼働率が高くなるはずです。

そのため、普段は受注していないような時間帯の販売も必要になるのでそのための営業準備、また2枠開放しての1日1本取りの中止など(日柄の良くない日曜日だと実施している会場もある)、今の状況に合わせた営業とオペレーションの設計を今から考えておく必要があります。

ポジティブな影響

施行は開催できずかつ集客も厳しく良いことないようにも思えますが、1つポジティブな面は「広告宣伝費の抑制」です。特にゼクシィは成果報酬型ではなく(なび除く)出稿している会場間の出稿ボリュームの相対値で順位(=集客力)が決まるので、今の状況のようにみんな一斉に出稿量を半分にしてもマーケットそのもののパイが変わらなければ実は集客力は変わりません。

もし今後平時のマーケットボリュームまで戻ったとして、その時点でも今くらいのボリュームでも誰かが出し抜けなければ集客数は大きくは減らないでしょう。12ページ出稿して1位でも、6ページ出稿して1位でもゼクシィネット上の掲載順位は変わらないので、広告費半分になるよね、という理屈です。

こうなると結婚式場の三大固定費の1つである広告費(会計上は変動費だけど使わないと集客できないので実質的に固定費)の抑制につながるのでポジティブだと言えます。ただ、このままいくかどうかは大手の出稿判断によるかなぁというのが正直な印象ですね。大手企業が出稿量を以前のように戻すと結果的に他社も相応のページ数を出さなければいけないので。

ネガティブな影響

そもそものコロナウイルスの影響でのブライダル業界へ大打撃を与え…といった一般的な内容は多く論じられているので、集客という観点にここでは絞ります。

総じてみればここまで書いてきたように出稿ページ数は落ちていますが、その理由が

  • 結婚式場を探す人が減っていて費用対効果が合わないと判断から
  • 広告を出すだけの財源がないから

のどちらかによって各企業ごとの今後の方針が変わるでしょう。特に後者の場合は厳しく、もし結婚式場探しをする人がまた増えてきても対応するだけの体力が残っていないからです。

また、ゼクシィの総出稿ページ数が減ることに伴う「ゼクシィそのものの集客力の減少」がもし起こるとこれも式場にとってはネガティブに働きます。ゼクシィ以外の集客経路を自ら開拓しないと集客できなくなるからで、これは少なくともこの15年くらいは経験したことのないハードルになると思います。

  • 状況改善後の体力を奪われていること
  • 状況改善後の結婚式場集客ルールが変わっていること

この2点がコロナウイルスの影響による集客観点でのネガティブな変化だと思います。

 

ゼクシィの出稿ページ数の変化に関するまとめ

直近3か月の首都圏版のページ数変化から現状の各式場への影響と考察を書きましたが、まだ先行きは不透明ではあるものの、最も悲観的な予測だったころから比べると少し上向きなマインドになってきているように思います(ただこの状況になれてしまっただけかも知れないですが…)。

結婚式場の業績にとって集客は最も重要なKPIであり、来館理由の半分近くを占めるゼクシィへの出稿状況はかなり如実に業績にも表れてくるでしょう。また来月も時間あれば見てみようと思います。

市川 貴之

この記事を書いた人
市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル業界で働く人のよりどころに」をビジョンに掲げ、ブライダルコンサルティング、ブライダル業界専門の転職支援サービスを運営しています。お仕事の依頼は「お問合せ」、転職のご相談は「ブライダル専門の転職相談」からお受けしております。

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