更新日 2021年10月19日

ゼクシィの特徴とは?ビジネスモデルを図解してみた

162_ゼクシィのビジネスモデル図解

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

事業のビジネスモデルを理解することは、その事業やサービスがなぜつくられたのか、どんなことを強みとしているのかを体系的に理解でき、事業開発や個人の知識習得でとても勉強になります。ブライダル業界の中でも様々な特徴的なサービスがあり、その仕組みや違いを知ることで見えてくることも多いと思います。

今回は「ウエディング、ブライダルの結婚準備の総合サイト」として業界一有名なゼクシィのビジネスモデルを図解してみました。

 

ゼクシィとは?

株式会社リクルートが運営する、結婚準備の総合サイトです。ブライダル業界で働く人にはもはや説明不要ですが、1993年の創刊以降、ハウスウエディングの盛り上がりと並んで急速に成長していった、現代の業界最強の広告媒体です。雑誌のゼクシィ、ウェブサイトのゼクシィネット、カウンターのゼクシィなびと、結婚式場探しの方法を網羅しています。

zexy
Webサイト https://zexy.net/
運営会社 株式会社リクルート

では、このサービスのビジネスモデルを図解してみます。

ゼクシィのビジネスモデル

ゼクシィ

1993年に雑誌ゼクシィを創刊以降、ブライダル業界のトレンドをけん引してきたサービス。リクルートグループの中でも最高傑作といわれるほどサービスの完成度は高く、20年以上たった今でも売上は546億円(出典:リクルートホールディングス強さの源泉と成長戦略)と結婚式場媒体の中も圧倒的な地位をキープしています。※ただし、2020年度はコロナの影響もあり売上半減。

ゼクシィ登場以前の結婚式は、ホテルや専門式場などサービス提供者側の都合で設計された婚礼プランを顧客に売るスタイルで販売されており、自分らしさやなどは自由さなどはほとんどないものでした。バブル期とそれ以降で盛大さや華やかさに差はあれど、基本的にはいつも進行も同じ、内容も同じで何度か列席したことのあるゲストはだんだんと飽きてしまうような披露宴になっていました(当時は披露宴実施率も高かったので列席回数も多かった)。そこに登場したのがハウスウエディングです。

一方、バブル崩壊とともに結婚式場が集客に困り始めていた頃にゼクシィが創刊され、自分たちの都合で自分たちの好きな会場を選べるスタイルが受け、ユーザー側の徐々に支持を広げていきました。最初は掲載を拒否していた会場も多かったようですが、集客力が上がりユーザー側をおさえられたのと、リクルートのお家芸ともいえる法人開拓力を駆使して会場を開拓していき、当時のハウスウエディングのトレンドにも乗り、サービスが急速に拡大していったのです。

今では全結婚式場の広告費のウォレットシェアが50%程度(自社の仮説:媒体の市場規模は約1,200億円、ゼクシィの売上は546億円、参考記事)を保ち、雑誌、ネット、なびと集客の面も抑えており、ゼクシィなしでは会場集客は成り立たないとも言われています。リクルートの他の業界のサービスを見ても、ここまで圧倒的に業界内のプレゼンスを獲得しているサービスはないと思います。
ブライダル業界で働いていると当たり前すぎて改めて考えることも少ないですが、やっぱりすごいサービスですよね。

 

今後の展開の予想

最後に、これから先にゼクシィがどのようになっていくのかについて予想してみます。

まず収益モデルですが、ゼクシィは結婚式場から支払われる広告宣伝費が売上になります。雑誌はページ数によって金額が変化し(出稿1ページ当たり〇〇万円、といった具合に)、ネットは月額の固定掲載費+サイト内のオプションメニュー、なびは成約報酬ですね。結婚式場側は支払った広告宣伝費に対して期待する集客ができたらいいわけなので、ゼクシィ売上を伸ばしていくためには、

  • 結婚式場から少しでも多くの広告を出稿してもらう
  • そのためには結婚式場へ1組でも多く送客することが必要
  • そのためにはメディアパワー(雑誌、ネットなど全チャネル含む)を強くすることが必要

となるはずです。ゼクシィに広告出稿する結婚式場側の目線だと「ゼクシィで集客できる顧客数のパイの奪い合い」となるので、掲載会場数を増やせばその分1会場当たりの集客数は減っていきます。そのため、メディアパワー(ゼクシィ自体の集客力)をどこまで上げられるかが一番ポイントなんですね。

メディアパワー・媒体力高める増やすためには、

  • 雑誌であれば販売網を開拓し発行部数を上げる、今ならオンラインストアも。
  • ネットならSEO、SNS、広告運用の最適化などの手段を徹底的に突き詰めていく。

となります。

が、すでに販売網は開拓済みでほぼ上積みもなく、結婚式場の開拓も既に一巡しているでしょう。またユーザー認知度も90%近いと言われていますし、媒体自体の集客力を上げるのも事実上ほぼ不可能です(海外マーケットなどに展開すればまだ増えるかもしれませんが…)。

となると、ゼクシィはもう成長することはないんじゃないか、というのが私の持論です。

  • 結婚式場1会場当たりからもらう広告宣伝費の単価を上げれば多分倒産する式場が増えます(それくらい経営が厳しい会場が多い)。そのため、売上単価はもう上がらない
  • 今出稿していない結婚式場に新たに出稿してもらうほど、開拓余地は残っていない
  • 今のトレンドの低価格系ウエディングは結果的にゼクシィ自身の売上低下につながりますし、会場に紐づかないオリジナルウエディングなどを訴求するサービスを立ち上げると既存のゼクシィとぶつかるので難しい

やはり今以上に伸びる余地はほとんどないと思うんですよね。ここ数年ゼクシィ縁結びや恋結びにリソース投下をシフトしてきているのもそういった背景からでしょう。

ただ、もう伸びないと言っても業界内では2位に5倍以上の差をつけている独り勝ち状態ですから、影響力がないなんてことは全くありませんし、ゼクシィをどう扱いきれるかが集客のカギを握る状態はまだまだ続くと思います。その緩やかな衰退期間に10年後、20年後を見据えてどういう施策を打ってるかが気になるところですね。

 

ゼクシィのビジネスモデルについてまとめ

ゼクシィのビジネスモデルについて、簡単にまとめました。正直、巨大すぎるし新しいサービスというわけでもないので書くのが難しかったです。すでに事業としては完成されてしまっているのでここからの伸びしろという意味では難しいかもしれませんが、このリソースやブランドをどのように使って事業展開をしていくのか、今後の楽しみにしたいと思います。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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