
業界最大手の結婚式場のクチコミサイトの「ウエディングパーク」。クチコミだけではなく様々なランキングや公式見積り、準備マニュアルなど結婚式場探しに必要な情報が網羅されていて、業界的にはゼクシィに次ぐ2番手くらいの利用数のある有力なウェブ媒体です。ウエディングパークはウェブサイトから結婚式場の来館予約・資料請求と、自社結婚式場の公式ホームページへのリンク掲載が基本的な導線となります。多い式場では月間数十組の来館予約を獲得しているようで、うまく使いこなせれば費用対効果の面でも非常に優秀だと思います。一方、クチコミサイトという特性上、ゼクシィのように出稿量を増やせば比例して来館が伸びるわけではないので攻略は簡単ではないのも事実です。今回の記事では、この「ウエディングパーク」からの集客を伸ばすためのポイントを書いていきます。
目次
ウエディングパークからの集客の基本導線を理解する
ユーザーが来館予約をするまでの流れ
ウエディングパークははウェブサイトなので、ユーザーがウエディングパークを通して来館予約にいたるまでの基本導線は以下の通りです。
- 検索エンジンでの検索やリスティングやSNS広告などのウェブ広告、SNSなどをクリックしてサイトへ遷移
- サイト内の結婚式場を検索するページで検索をする(エリアから探す、ランキングから探す、など)
- 気になる結婚式場のページをクリックし、詳しい情報を見る
- ブライダルフェアページをクリックし、日程とフェア内容を確認して来館予約をする
この導線であることを理解したうえで、集客を伸ばしていくためには、以下の図にあるような一つ一つのサイト上のKPI(遷移率)を高めていく取り組みが必要になります。
来館予約をゴールとしたときのKPI
上図はユーザーフローにKPIを乗せて表現したものです。ウエディングパークからの来館予約を伸ばしていくためには各STEPの遷移率を上げていくことが必要になります。
- ①会場の検索ページ内で自会場のページを流入数を上げる
- ②フォトギャラリーやクチコミ、プランなど、会場のコンテンツページへの遷移率を高める
- ③自会場のページに来てくれたユーザーのブライダルフェアページへの遷移率を高める
- ④ブライダルフェアページに来てくれたユーザーの来館予約の確定率を高める
大きく分けるとこの4点がポイントになります。では、1つ1つを上げるための具体的な施策を次に書いていきます。
ウエディングパークからの来館予約を伸ばす施策
会場ページへの流入数を上げる施策
会場ページへの遷移数を決定する要素をさらに細分化すると、
会場ページへの遷移数=サイト内表示回数×クリック率
となり、サイト内表示回数を上げるためには、サイト内検索順位を上げることが必要になります。つまり、会場ページへの流入数を上げるためには
- ①いかに会場検索ページ内で上位に表示されるか
- ②サイト上で表示されたときにクリックしたくなるクリエイティブをどのように設定するか
この2点がポイントになります。
サイト内検索順位を上げるための施策
ウエディングパークに限らず、ウェブ上では掲載順位が上のほうがユーザーに見られる確率が高くなるのでクリックされやすくなります。GoogleもYahoo!で検索するときも、まずは上に表示されたサイトから見ていきますよね。それと同じです。ウエディングパークでも同様に会場検索されたときにいかに上に表示されるかが重要になるわけですが、ウエディングパークには主に以下の5つの検索方法があります。
- エリアから探す
- こだわり条件から探す
- 雰囲気から探す
- 公式見積りから探す
- ブライダルフェアから探す
これらの検索方法のなかで、表示が順位化されているのは「エリアから探す」のみで、掲載順位を決めるアルゴリズムは公開されていないので、この施策を実行すれば必ず順位が上がります!とは言えるわけではないですが、普通に考えると検索利用者数は左から順番に多いのではないかと思いますし、エリアから探すというのが一般的だと思います。
エリアから探す
通常の検索結果の中に、[PR]PickUp枠というのがありますが、これはおそらく追加料金が必要な広告メニューの1つでしょう。つまり、ある程度(金額は分かりませんが…)広告費を支払うことで一覧結果で上位表示することは可能のようです。
一方、通常の検索結果の表示順位ですが(いわゆるオーガニック)、ユーザー投稿の満足度平均点とは関係ないようで、この記事を書いている2018年9月時点の東京都の掲載順位と満足度平均点は以下のようになっています(PickUP枠は除く)。
- 1位:サンス・エ・サヴール(ひらまつウエディング)/4.4
- 2位:フェリーチェガーデン 日比谷/4.1
- 3位:THE LANDMARK SQUARE TOKYO/4.1
- 4位:ルミアモーレ/4.1
- 5位:ホテルベルクラシック東京/4.0
- 6位:白金 アートグレイスクラブ/4.1
- 7位:リビエラ青山/4.0
- 8位:ザ・リュクス銀座(THE LUXE GINZA)/4.1
- 9位:アルジェントASAMI(ひらまつウエディング)/4.3
- 10位:リストランテASO (ひらまつウエディング)/4.3
このように、関係ないですね。ただ、一般的には対WPの掲載プランとページ内のコンテンツ充実度などがキーになってくるとは思いますので、会場について登録できる情報はきちんと登録しましょう。
クチコミランキングから探す
もう1つ、順位形式で式場を探すことができるのは「クチコミランキングから探す」です。
こちらは総合ポイントが高い順番で掲載順位が決まりますので、総合ポイントをいかに上げていくかを考えることになります。総合ポイントの算出ロジックは詳しくはわからないですが、良質なクチコミを数多く獲得していることが重要でしょう。いいクチコミを数多く集めるためには、
- 高い評価点を得られるような質の高いサービス・商品をつくり提供する
- それをクチコミに書いてもらうための仕組みを作り運用する
この2点を両方きちんと運用できていることが大切です。いい結婚式をつくっていてもクチコミを書いてもらえなければ意味がありませんし、クチコミを書いてもらっても悪い点数ばかりではあがりません。両方を並行して進めていくことが大事です。質の高い結婚式は常に追い求めるべきとして、クチコミ集めについてはユーザーがうっとうしいと思わない程度にプッシュしていくことも大事なので、そのためのプチテクニックを書いておきます。
- プランナーから「クチコミを書いてくださいね」と新郎新婦に伝えることを必須とする業務フローを作る(特に施行後の本番クチコミ)
- クチコミ投稿をオススメするフライヤーを作成してユーザーに渡す、目に入る場所に置いておく(サロンのテーブルの上など)
- クチコミ投稿を投稿するとウエディングパークからインセンティブがもらえることを新郎新婦に伝える
- 引出物袋にクチコミ投稿を依頼するフライヤー等を入れる(ちょっとリスク高い)
- クチコミ投稿数と評価点をプランナーの評価基準の項目に組み込んで自発的に取り組める環境を作る
クチコミ集めできちんと成果を出すためには、業務フローもしくはプランナーの評価基準に組み込んでしまうくらいに仕組み化してしまうことが重要です。意識して取り組みましょう!という掛け声程度だと、現場のスタッフは多忙なのでどうしてもうまくいかないことのほうが多いです。年単位で成果が出せるよう、地道に根気強く取り組んでいきましょう。
※絶対にやってはいけないこと
クチコミ業者を使う、社員でアカウント作ってクチコミ書くなどのやらせ・サクラ行為は絶対にやめたほうがいいです。クチコミ件数が1件のユーザーが自社会場でだけ5.0の投稿をしている(しかも多数!)あどはどう見ても異常な投稿ですし、注意深いユーザーや業界内の他社のスタッフでも気付きます。特に昨今はネット上の炎上リスクが高く、うわさが広まるとSNSやYahoo!知恵袋、教えてgooなどで一般ユーザーに書かれたらブランドイメージが地に落ちます。絶対にやめましょう。
クリック率を上げる
次にクリック率を上げるための施策です。会場一覧ページで上位表示されてもクリックされなければ会場ページの流入数は増えませんので、以下、ポイントを挙げてます。
検索ページで表示されるトップの写真はその会場で最も引きのある写真を設定しましょう。この画像によって会場の印象が決まるのでクリック率が変わりますし、リード文もわかりやすく特徴を抑えた記載を心がけましょう。また、当たり前ですが少しでも良質なクチコミを多く集められると点数も上がるので見栄えもよくなります。
会場ページへの流入数を増やすためには、上位表示されるための地道な取り組みと、クリック率を上げるためのこまめな対策をきちんと行うことが重要です。
フォトギャラリーやクチコミなど、会場の各コンテンツページへの遷移率を上げる施策

会場TOP
今の広告メニューの管理画面上で、どこまで調整が可能なのかわからないですが、少なくともトップで表示される写真の選定は気をつけたほうがいいでしょう。結婚式場側が見せたい写真というよりはユーザーの反応率が高い写真を選ぶべきです。
クチコミ・費用明細
クチコミの投稿は結婚式場側ではコントロールできませんが、返信をどのように行うかは対応スタッフの腕次第です。「誠意ある返信を」「できるだけ早く」を心がけましょう。いいクチコミの場合は感謝をきちんと伝え、マイナスの評価を受けたクチコミに対しても放置するのではなく、謝罪と原因追求、今後への改善策をしっかりと書きましょう。費用明細はどうしようもないですが、明らかに悪意あるもの(競合見学時にやたら高い見積り作らされたと思われるケースなど)は削除依頼を出しましょう。
フォト・動画
ユーザーの投稿フォトはコントロールできないので、日々きちんと会場の清掃をしましょう、くらいしか対策はありません(でもちゃんとやったほうがいいですよ、ユーザーは見てますからね)。会場側で設定できる写真はトップ同様ユーザーの反応率が高いものを定期的に入れ替えしておきながら、撮影を行った後などは大幅な入れ替えも行いましょう。一度設定してあとは放置、が一番危険です。
施設・サービス
基本的にはいい写真を入れる、というのが重要です。
プラン・公式見積り
プランは、商品造成が可能であるならば必須級に設定したほうがいいのがいかの4つ。
- 少人数プラン
- マタニティプラン
- 二次会プラン
- 会費制プラン
ユーザーからのニーズが強い順番に並べています。最近は上記プランを設定している結婚式場も多いのでもし設定していないと、式場どうしのプラン比較ができないので選択肢から外れてしまう可能性が高くなります。会場の強みを生かしたプランを設計できる場合は、上記に加えて設定するといいと思いますが、優先順位は5番目以下にしたほうがいいです。まずはマーケットニーズの強いものから、が基本です。詳しくは以下に「プラン構成について」まとめた記事がありますので、こちらも併せてご覧ください。
フェア・特典
フェアはまずもれなく設定することが大前提です。その上で、ユーザーのニーズを幅広く抑えられるような構成にしましょう。タイトルや特典のつけ方など、ブライダルフェアからの集客を最大化させる細かなテクニックについては後述します。
アクセス
特にポイントはありませんが、マイナーな最寄り駅と合わせて、ターミナル駅からの時間も書いたほうがいいでしょう。例えば東京であれば、東京駅や品川駅などの新幹線停車駅や、羽田空港からモノレール1駅で行ける浜松町などからの所要時間は、遠方からゲストがどれだけ列席しやすいかもアピールポイントになります。
ブライダルフェアページへの遷移率を上げる施策
ここに特化して、という施策はないですが、②で述べたような各コンテンツを充実させ会場ページ内の回遊率を向上させることで、ブライダルフェアページへの遷移率も上がると考えられます。特効薬があるわけではなく、一つ一つは地道な作業ですが、繰り返していくときちんと成果が残せるようになりますので、根気強く改善を続けていきましょう。
来館予約の確定率を上げる施策
最後に、ブライダルフェア設定のポイントですが、ブライダルフェアの改善方法については、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ポイントだけピックアップすると以下の通りです。
- 最も集客力のある代表フェアと複数のサブフェアで構成する
- 多すぎず少なすぎず、来館しやすい時間帯にフェアを設定する
- ユーザーにワクワク感とメリットが伝わるタイトル
- タイトル以外のコンテンツも細部まで手を抜かずに丁寧に更新
かなりボリュームの多い記事になっていますが、ここを改善するだけで1.5倍~2倍くらいは来館増を見込めるケースもあるので、一つずつの要素を丁寧に改善してきましょう。
ウエディングパークから会場HPに遷移してきたユーザーの来館予約率を伸ばす施策
ウエディングパークには「公式HPを見る」という導線が設定されていて、これはゼクシィやみんなのウェディングには見られない独自の導線です。こういう導線を設定しているので、獲得系の媒体というよりは認知のための媒体という色合いが濃いのでしょう。
この導線からの来館予約を伸ばすためには、
- どこのページに遷移させるか
- 遷移後のユーザー導線がきちんと描けているか
の2点が大事です。遷移先は、専用LPか公式HPトップかになると思いますが、個人的にはトップの方がいいのではないかと思います。理由は、どれくらい会場コンテンツを読み込んでからリンクをクリックしてきているかがわからないので、いきなり来館予約へ誘導するLPよりも、トップで間口を広げたほうがトータルでのCVRは高くなると思うからです。
公式HPに遷移してきたユーザーに対し、来館予約率(CVR)を上げるための施策には以下のようなものがあります。
- フォトギャラリーを充実させる
- ブライダルフェアページへの導線をわかりやすくする(ポップアップやWEB接客ツールなども検討してもいいかも)
- フォームを入力しやすくする(EFOツールを導入するのもあり)
- スマホに最適化されたサイトにする(レスポンシブデザインなど)
- ロードの時間を短くする(画像をたくさん入れるとロードの時間が長くなりがちなので注意!)
細かく挙げると他にもたくさんありますが、本記事の趣旨から外れるのは簡単に列挙しました。結婚式場のHPは、どちらかというとデザインにこだわりがちですが、基本的な使いやすさを重視したサイトの方がCVRは上がると思います。それをすべてきちんと設定したうえで、いかに会場の個性を出すか、という優先順位でサイト制作に取り組むべきだと思います。
施策を実行し、効果検証する
来館予約を目標としたときのKPIと改善施策を書いてきました。あとは実行し、数値のモニタリングしながら改善活動を続けていくだけです(といっても、その継続が一番難しいのですが・・・)。
モニタリングする頻度としては基本月次で大丈夫だと思います。ウエディングパークのサイトからの来館予約数と公式HPに遷移した後の来館予約数という実績値はもちろんですが、KPIの中で計測可能(と思われる)なもの、順位・クチコミ点数・クチコミ投稿数・人気度はきちんと定期的に把握できるようなフローを構築しましょう。
まとめ
導入部でも書きましたが、クチコミサイトという特性上、投資額を増やして来館の獲得数を伸ばす、という媒体では基本ありません(もちろんそういうメニューも一部ありますが・・・)。つまり、特効薬がなく地道な努力がものをいう媒体です。時間はかかりますし、クチコミの獲得はマーケティング部門だけでなく現場のプランナーの協力も必要不可欠なので、概念と目的をきちんと関係者でコンセンサスをとった上で対策を進めていっていただければと思います。
おわり