更新日 2021年10月17日

ウェディングニュース結婚式場検索の特徴とは?ビジネスモデルを図解してみた

153_ウェディングニュース式場検索のビジネスモデル図解

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

事業のビジネスモデルを理解することは、その事業やサービスがなぜつくられたのか、どんなことを強みとしているのかを体系的に理解でき、事業開発や個人の知識習得でとても勉強になります。ブライダル業界の中でも様々な特徴的なサービスがあり、その仕組みや違いを知ることで見えてくることも多いと思います。

今回は「実例写真で探せる結婚式場のメタサーチサービス」ウェディングニュース結婚式場検索のビジネスモデルを図解してみました。

 

ウェディングニュース結婚式場検索とは?

オリジナルライフ株式会社が運営する、実例写真で探せる結婚式場のメタサーチサービスです。「ホンモノの結婚式の写真で探せる」がコンセプトで、これまでの「結婚式場が提供する情報」が掲載されたメディアで結婚式場を探すスタイルから、実際に結婚式を挙げた先輩花嫁の提供するビジュアル体験レポをもとに、自分らしい結婚式が実現できる結婚式場を見つけることができることが特徴です。

以前から運営していたウェディングニュースで、インスタグラムでブライダル業界No1のフォロワー数、かつ数千人のアンケート会員を抱えている強みを活かしてリリースされたサービスです。

weddingnews
Webサイト https://www.weddingnews.jp/halls/search/
インスタグラム https://www.instagram.com/weddingnews_editor/?hl=ja
運営会社 オリジナルライフ株式会社

では、このサービスのビジネスモデルを図解してみます。

 

ウェディングニュース結婚式場検索のビジネスモデル

ウェディングニュース式場検索ビジネスモデル
インスタグラムではブライダル業界でNo1のフォロワー数、数千人のアンケート会員を抱えている、さらに専用アプリもあり、検索からの流入も多いメディアもある、ウェブ上で多角的な集客を実現し多くの先輩花嫁から指示されてるウェディングニュース。そんなウェディングニュースが、「本格的に式場紹介を始めた」新サービスです。

ゼクシィなどの結婚式場検索サービスでは、会場が用意したモデルを使った広告用に撮影された写真を掲載するのが一般的で、自社HPや各社サイトに載っている写真もほぼすべて共通の内容となっています。

ユーザーはそういった「宣材用の」写真を見て会場を決めているので、見学に行ったらイメージと違った、さらに意図的に内覧ルートから見せたくないところを外すことで申し込み後に初めて知ってがっかりした、ということもよく起こっていました。

そこで、ウェディングニュースでは、会場の広告写真だけでなく

  • その会場で結婚式を挙げた卒花嫁から提供された実例写真
  • 花嫁レポート
  • 複数媒体の情報を統合した費用・プラン

などの情報を強く紹介しています。実際にその会場であげた花嫁のビジュアル体験レポも閲覧が可能なので、匿名のクチコミや会場側の意図して発信されている情報と比較して、リアルな情報をもとに会場選びを進めることが可能になります。

また、メタサーチ機能(どのサイトやルートから会場に予約をすると一番お得になるのか)も業界で初めて実装しており、費用面でもメリットがあります。同様のサービスだと旅行業界で言えばトリバゴなどが有名ですね。ただ、結婚式費用そのものが安くなるというよりは、特典が一番多くなる方法を教えてくれる、というところが違うところです。

このように、卒花嫁のリアルな情報で結婚式場を探せる、サイトによって差がある特典や口コミ、見積もりの実例を一箇所でまとめて探せるユーザーインターフェースが実現されており、何度もネットサーフィンをすることなく、簡単に比較検討が可能になるサービスです。

 

今後の展開の予想

これまで(2020年まで?)のこのサービスのマネタイズポイントがアフィリエイトであるという点がこれまでの媒体系サービスとの一番の違いだと思います。式場詳細ページ(/hall/{id})に貼られているリンクはゼクシィ、マイナビ、ハナユメいずれもA8(ASP)のリンクなので、直接会場から広告費をもらっているわけではなく、媒体社からの成功報酬が主たる収益源となっていました。

この方式を取っているメリットは、直接全国の会場に営業する必要がないのでサイトコンテンツの拡大が速いことがありますが(会場側の承認を取っているかどうかは不明)、成功報酬(来館が発生して始めて報酬が発生する)なので収益が安定しないこと、特単と承認率保証はあるとは思いますがASP手数料などもあるので報酬単価が直接契約と比べると低いことがデメリットになると思います。

基本的にはアフィリエイトサイトと同じ収益モデルなので、

  • 売上=サイト来訪者数×CVR(来館予約or来館発生率)×報酬単価

となります。このモデルで売上を伸ばすためにはサイト来訪者数を増やすか、CVRを上げるか、報酬単価または承認率を上げることが必要になりますが、報酬単価は広告主が媒体ということを考えると今以上に高騰することは考えにくいと思います。また、メディア特性上CVRも上限値があるので、実質的にはサイト来訪者数をどこまで伸ばせるか、がポイントになると思います。

現状のサイトの流入経路は、自然検索、SNS(インスタグラム)、アプリがメインとなると思うので、今後伸ばしていけるかどうかは

  • 卒花嫁レポのコンテンツをサイト内にどこまで増やしていけるか→SEO
  • SNSフォロワーの連鎖をつなげていけるか(卒花嫁が次のプレ花嫁を呼んでくる循環をつくれるか)
  • 卒花嫁インフルエンサーを囲い込めるか
  • ウェブ広告を使って獲得を伸ばしていくのか

などかなぁとは思います。

ただ、2021年に入ってから、これは会場との直接送客契約をしているのかな?というウェブサイト上の導線も見えるので、おそらくビジネスモデルの切り替えは始まっていそうです。この狙いは1CV当たりの単価増とLINE相談などマルチ導線からの送客フローの確立だと思います。

また、卒花コンテンツをより強化していくことで式場探しの情報プラットフォームとなり、そこで発生したCVで卒花嫁にインセンティブ発生という流れが確立できれば、顧客満足度が集客に直接つながることになるので、リピートが発生しない業界でCSを意識するきっかけになるのではと思います。

そうなるとこれまでの式場が広告を出稿して集客するという業界構造自体が変わる可能性もあるので、その世界観までイメージすると可能性を感じますね。

 

ウェディングニュース式場検索のビジネスモデルまとめ

ウェディングニュース結婚式場検索のビジネスモデルについて、簡単にまとめました。

今後どのような事業成長を目指しているのかはわからないですが、CSと集客のリンク、は結婚式場経営側でも課題のところなので(結局いい結婚式を作っても業績につながらないから営業や業績重視の風潮が社内文化として勝ってしまう)、いい感じに業界全体にどんなインパクトをもたらしてくれるといいなぁと楽しみです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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