更新日 2019年07月08日

【ブライダルの新規接客】営業手法としての「即決」の功罪

0258_【ブライダルの新規接客】営業手法としての「即決」の功罪

※寄稿記事です。

新規を語る上で絶対に避けて通れないのが「即決」の話(※即決=初めてお客様にブライダルフェアにご来館いただいたその場でご契約をいただくこと)。会場のエリアや式場の形態によりその考え方は様々ですが、都市部の大手ゲストハウス運営会社は即決型を採用している所が多いです。この即決に関しては様々な考え方がありますが、明確な正解があるものではありません。そこで、今回の記事では新規接客における営業手法としての「即決」の功罪についてまとめました。新規プランナーや支配人の方にとって参考になればと思います。

 

新規接客時の「即決」のメリット・デメリット

即決のメリット

  • 競合の営業機会がなくなることにより成約率が上がる
  • 逆に、大手はほぼ即決型を採用しているので、即決できなければ負ける可能性が高い
  • プランナーの作業時間を効率化できる

即決のデメリット

  • お客様がもつ漠然とした不安を掴みきれないまま勢いで即決に至ると契約後に不安が顕在化することで成約キャンセル率が上がる。
  • 同じく、クレームをもらう可能性が高くなる
  • 短時間でお客様の信頼を得るための高いコミュニケーションスキルが求められる

このように即決型を採用することには大きなメリットがありますが、即決型を組織に浸透させる過程で様々な誤解が生まれるなどデメリットがあるのも事実です(特に新卒や、業界に夢を持って入社してきた新人が拒絶反応を示す傾向あり)。

即決型ではない会場の場合、ベテランプランナーでさえ偏見を持っていることも多いと思います。「来館したその場で契約させるなんてひどいと思います!」と言われたことありませんか?言われてはいなくても、新人の目が引いている瞬間ありませんか?

新規接客時の「即決」に抱くプランナーのイメージと、本来の意味合いを理解してもらうのに必要なこと

多くのプランナーが即決に抱くイメージ

まず大前提として、即決は「何も知らないお客様をうまく言いくるめて騙して契約をとること」ではありません。

あたりまえだよ・・・と突っ込みが入りそうですが・・・残念ながら新卒・新人が「即決を目指してください」と言われて抱くイメージは、まずこれだと思って間違いないです。

だから「来館したその場で契約させるなんてひどいと思います!」につながるわけですね。

この腹落ちしていない(むしろ拒絶している)状態で、いくら指導しても絶対に即決が取れるようにはなりません。なので、まず新人のパターン別に「即決を目指してください」の意味を落とし込んであげる必要があります。

「即決を目指してください」という言葉を、誤解なく本来の趣旨が伝わるように訳すと・・・
「当日に契約するつもりはなく来館したお客様が、感動のあまりご自分から契約させてください!とおっしゃるような、期待を超えたプレゼンテーションができるようになることを目指してください」になります。

ここまで丁寧に説明して初めて「即決を目指してください」の趣旨が新人に伝わります。
即決は決して怖いものではなく、お客様に真剣に向き合うためのプランナー側の心構えであること、プランナーがお客様の期待を超えたプレゼンテーションができているかどうかを測る指標であることを熱く語ってください。(熱く語れる自信がない方は、語りが上手な方に依頼した方が良いと思います。。)

「即決」の本来の意味合いをプランナーに理解してもらうために必要なこと

社会人経験が短い(新卒)、営業未経験(特に業界に夢を持って入ってきている)新人の場合、即決のメリットを合理的に伝えてもおそらく理解できるレベルにありません。熱く意義を語る工程を飛ばして、業界の理論をいきなりストレートに伝えるのは逆効果です。

一方、社会人経験、営業経験が長い、または合理的、効率的な考え方を持つ新人の場合、即決の意義を語りすぎなくてもよいと思います。上記に記載した即決のメリットを詳細に伝えてあげれば問題ないでしょう。

 

「即決」をするために必要なスキル

即決に必要なスキルの構成要素

即決の意義が理解できたら、次は即決するために絶対に必要なスキルの習得に移ります。

  • 会場:「この会場で絶対結婚式をしたい!」とお客様に思っていただけるプレゼンテーションスキル
  • 予算:お客様が感じている会場の価値に見合った見積もりを提示できるスキル
  • 日程:会場が販売したい枠と、お客様が欲しい枠をすり合わせ、適切な枠提示ができるスキル

即決を目指すうえで、上記3要素はどれも欠かすことができないものですが、重要度は均等ではありません。

会場(6割)>予算(3割)>日程(1割)くらいで考えるとよいでしょう。

特に、成約率30%前後のメンバーにおいては、まず会場を気に入っていただくプレゼンテーションスキルの習得に注力すべきです。

成約率が伸び悩んでいるメンバーにヒアリングすると十中八九、「見積もりの出し方が難しくて~」「割引の効果的な出し方を教えてください」「日程振りができません」などテクニック論ばかり聞いてくる人が多いです。

テクニック論もとても大切ですが、スキル習得の優先順位を間違えてはいけません。極論「会場は大変気に入っていただけて、ここで結婚式したい!とおっしゃっていただけるのに、なぜか即決できないんです」というレベルになるまで、予算と日程の話は置いておいても良いくらいです(目安としてはコンスタントな成約率 最低40%以上)。

仕事としてではなく、日常の体験を例に説明することも重要

例として、洋服を買いに行くことを想定してみましょう。

  • まったく好みではない洋服が安売りされていたら買いますか?
  • まったく好みではない洋服が「最後の一着」になっていたら買いますか?
  • 反対に、すごく気に入った洋服が「最後の1着」「今日だけ特別に割引」となっていたら?

結婚式も全く同じことで、予算や日程(在庫)だけを基準に決める方は少数派です。会場がものすごく気に入っている、という前提があって初めて予算と日程の話が響くのです。

営業手法としての「即決」についてのまとめ

今回の記事では業界内でも様々な考え方がある「即決」についてまとめましたが、即決は気に入ってもいないお客様をその場で無理やり成約させるための技術ではなく、「お客様の期待を超えた、感動を生むプレゼンテーション(スキル)」が最も大切な要素なのです。このプレゼンテーションスキルについては長くなるのでまた次の機会に記事にしますが、まずはこの前提となる考え方について、考え直すきっかけなってくれると嬉しいです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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