更新日 2020年04月28日

「オンライン」×「ウェディング」についての情報整理と考察

オンライン×ウェディングの可能性を考える_サムネイル

ここ最近の各企業のプレスリリースやSNSでの発信を見ているとブライダル業界における「オンライン化」に関する内容が増えてきています。ポジティブな意見もあるしネガティブな意見もある、大手もスタートアップもリリースを出しているという状況で、この状況は業界として何とか打破していくべく、各社(各人)で考えているように思います。一方、ウェディングの何を「オンライン化」するのか、サービスやオペレーションごとにその対象と目的は異なるので、雑にまとめて「オンラインウェディング」のように語ることに少し違和感もあります。そこで、今回の記事ではここまでの「オンライン」×「ウェディング」に関する情報の整理と今後の展開予測・考え方のポイントをまとめます。

ブライダル事業におけるオンライン化の整理

オンライン×ウェディング_4つの概要2
大きく分けると次の4つのことを指します。

  1. 接客をオンラインでする
  2. 働き方がオンラインになる(テレワーク)
  3. 結婚式をオンラインでライブ配信する
  4. 結婚式をオンラインでする

一言でオンラインと言ってもこの4つは対象や考え方、今後の予想される展開などは大きく異なるので、どのオンラインについて会話や議論をしているのかをきちんと定義してからでないとかみ合いません。

  • 結婚式はオンラインで開催するなんて気持ちが伝わらないと思う、は4
  • オンラインブライダルフェアの開催ってどうやってやったらいいの?、は1

などですね。では次から、それぞれのポイントについて具体的に書いていきます。
 

1.接客をオンライン化する

オンライン接客の概要

オンライン接客とはこれま結婚式場で対面で接客していたものをオンラインで行うことを指します。他の業界ではコロナウイルスの影響が出る前から取り入れられてきましたが、外出自粛とテレワーク推進の背景から本格的に取り入れることを検討している企業が増えてきています。
結婚式場の接客をオンライン化する場合

  • 新規接客をオンライン化する
  • 打合せをオンライン化する

大まかに分けるとこの2パターンで分けて考えたほうが良いでしょう。接客のゴールが異なることと必要になる資料や連携するデータベースなどが異なるからです。

新規接客のオンライン化

新規接客フェーズはさらに2つに分けることができます。

  • 式場説明会
  • 個別相談会

この2つでイメージとしては就活の「会社説明会」と「面接」のような感じです。
まず式場説明会は結婚式場1アカウントに対して複数のお客様が参加するスタイル、あらかじめ開催日時を告知し、時間になったらこのURLからお入りください、という流れです。事前予約を取るかどうかはどちらでもいいと思いますが、次のステップを考えるなら事前予約である程度個人情報を取る会場が多そうです。ただ、私が責任者なら参加時に情報を取らずに説明会終了後にそのままアンケート画面へ誘導し、そこで個人情報を取得。そのアンケートを回答してくれたら特典クーポン発行するからみんな答えてね、という導線にすると思います。個人情報を取らないことで予約の心理的ハードルを下げ予約率を高めることと、温度感の高い顧客の個人情報だけをスクリーニングできるので、後工程でCRM施策の効率化を図れることが理由です。
次の個別相談会はいわゆる今の新規接客をそのままオンライン化したものになります。ヒアリングから具体的な提案、見積り説明、契約、までですね。最初にここから参加する場合は会場のプレゼンから入ったほうがいいですが、事前に式場説明会に参加してくれているお客様に対しては具体的な内容を詰めるところから接客を開始できるので接客時間を短縮できるのがメリットです。
この2つの導線をうまく組み合わせることでオンラインの新規接客オペレーションを組んでいくことになると思います。これまでの対面接客と違いは、

  • オンライン最適化した接客のノウハウ構築(システム、トークなど全部含む)
  • 式場説明会参加者へのCRM施策の運用

この2つかな。

打合せのオンライン化

どちらかといえばこちらのオンライン化の方がハードルは高いと思います。進行決め、アイテム決めなど細かい話をオンラインでどこまでできるか?という懸念があるのと(とはいえやろうと思えばできる)、ドレスや料理などリアルに体験する意味合いが高いアイテムの接客をオンラインでやって本当にお客様が納得するのか?という点がわからないからですね。
打合せはプランナーだけではなくパートナーやアイテム内製部門のスタッフなど複数人が登場するので、仮に結婚式場がオンライン化に踏み切ったとしても外部企業にも同様のオペレーションを強いることができるのか?というのも難しい点だと思います。
ただ、もし安定したオペレーションとしてオンライン化できると、パートナーさんの打合せを録画で確認することができるので「言った言わない問題」が起こりにくくなること、平日の夜でも打合せ可能になるので土日の負担が分散することなどメリットが大きいのも事実です。
具体的に考えられるスキームは下記の記事でまとめたので参考にご覧ください。

ここまで書いた「1.結婚式場接客のオンライン化」をまとめると下記のようになります。
①結婚式場の接客をオンライン化する

オンライン接客に関連するブライダル企業のプレスリリース記事

 

2.働き方がオンラインになる(テレワーク)

ブライダル企業のテレワークの概要

テレワークとは、簡単に言うと場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことを指します。
これまでプランナーやスタイリストは結婚式場・サロンで勤務することが常識でしたが、自宅やカフェ、コワーキングスペースなどを利用して仕事をする働き方に変化していくことを意味します(この記事ではオンライン化、と書いていますが本来の意味合いはこのようになります)。
結婚式場での業務を洗い出してざっと考えてみると、今のスタイルの結婚式(挙式・披露宴)を挙げるのであれば施行だけは絶対に式場で勤務しなければいけませんが、接客や打合せはオンライン化できますし(上述)、資料作成や事務処理も式場でなければできない仕事ではありません。となると理論上は可能だと思っています。
一般的な結婚式場での働き方からテレワークを実現するとした場合のポイント(=懸念)を考えると

  • 普段デスクトップなのでノートPCがない
  • 普段スマホ使いなので家にwifiがない
  • 個人所有wifiから基幹システムにログインできない(VPN必要)
  • ちゃんと仕事してるか管理できない
  • これまでの目標や評価制度の見直しが必要
  • ハンコのための出勤などをなくすための承認フローの再構築が必要
  • 残業代がなくなるので給料が減る
  • コミュニケーションが取りにくく逆に業務効率が落ちる
  • 逆に効率化されるので今ほど人員が必要なくなる

こんな感じでしょうか。実現するにはけっこう高いハードルがいくつかありそうですが、いずれにせよ世の中はこの流れで進むと思いますので遅かれ早かれ対応していくことが求められそうです。
具体的なポイントは下記の記事でまとめたので参考にご覧ください。

②働き方をオンライン化する

テレワークに関連するブライダル企業のプレスリリース記事

 

3.結婚式をライブ配信する

結婚式ライブ配信の概要

一般的な挙式披露宴をライブで配信し、遠方にいる人でもリアルタイムでオンライン上でお祝いできるサービス(仕組み?)です。
結婚式をライブ配信できることで提供できる付加価値は

  • 遠方に住んでいる、または何かしらの理由で列席できない人にも遠隔から参加してもらうことができる
  • 列席していなくてもお祝いを送ることができる
  • 録画しておけば後でいつでも見直すことができる

といった点が挙げられます。これまでもお客様単位でライブ配信を実施した事例は数多くあるようですが、サービスとしてリリースされ始めたのは最近だと思います(私が知らないだけだったらすみません)。
今後このスタイルが主流になるか?と考えるとそこまでではないような気がしていて、その理由は

  • リアルに列席してくれている人と同時に関わることが進行上難しい
  • 挙式披露宴をフルで見ると3時間以上になるしお色直しなど間延びする時間が長い
  • 料理などを一緒に楽しめないのでそこの温度感をどう保つか難しい
  • 誰を読んだ結婚式を誰向けにライブ配信するのかの最適な組み合わせが思いつかない

といった点です。ただ、家族や親族などであればニーズは高いと思いますし、挙式の30分程度など限定的な利用であれば結婚式場のオプション商品として利用される可能性はありそうかなとは思います。
③結婚式をオンライン配信する

結婚式ライブ配信に関連するブライダル企業のプレスリリース記事

 

4.結婚式をオンラインでする

オンラインウェディングの概要

最後が結婚式そのものをオンラインで実施しようという内容で、これは商品そのものが既存の結婚式とは全く異なる内容になります。
この記事を書いている時点でまだ具体的にどういうサービスが確立しているのかの道筋は見えていませんが、野良的に既に何組も行われているようですし、こういったニーズをとらえたサービスがブライダル各社から、またはテックに強い異業種から今後バシバシ出て来るんじゃないのかなと思っています。
オンラインウェディングをサービスとして運営する場合、ビジネスモデルには下記の3つが考えられます。

  1. 場を提供してオンライン空間の使用料金で稼ぐ
  2. オンラインウェディングをプロデュース&開催場所の提供までしてパッケージで販売して稼ぐ
  3. 投げ銭機能のあるオンライン結婚式の場を提供して投げ銭の手数料で稼ぐ

これ似ていますが全然違うモデルなので、まずは違いを理解することが大切です。また、今後どのスタイルのサービスが広がっていくか現時点では予想もつきませんが、オンラインウェディングのサービスの機能面での違いは次のような点になると思います。

  • 実行の容易性:どれだけ手軽に開催できるか
  • 対象デバイスの幅:スマホからでも参加できるか
  • 投げ銭機能の有無:お祝いをリアルタイムで渡せるか(花束などバーチャルなアイテムを使うなども1つの案、開発大変だけど)
  • 開催にかかる価格:そもそもZoom使うだけならほぼ無料なのでお金取る場合はそのまま付加価値として提供しなければいけない
  • 企画力:そのサービスだからこそ、オンラインだからこそ意味合いを見出せるか
  • クリエイティブ力:オンラインなのにすごい、という領域までたどり着けるか
  • 主催者の選択肢:ゲストが主催してお祝いする、というスタイルまで拡張できるか

どのビジネスモデルを選択するかによって機能も費用も変わってきますが、1年~2年くらいしたら市場として一定規模にはなるんじゃないかなと考えています。ただ、自粛が解かれた後にじゃあすべての人がオンラインでウェディングをするかと言えばそうはならないでしょうね。逆にオンラインでもできるようになったからこそリアルを選ぶ、という考えで、挙式・披露宴|フォト婚|オンラインウェディング、みたいな位置づけになるんじゃないかな、と。
具体的なポイントは下記の記事でまとめたので参考にご覧ください。

④オンラインでウェディングをする

オンラインウェディングに関連するブライダル企業のプレスリリース記事

 

ウェディング×オンラインについてまとめ

新しい概念が出てくると最初は情報もまとまっていないので理解も難しいですし、これまでの常識が通用しなくなるんじゃないか…と不安に思うこともあるでしょう。ただ、不安に思ってもこの流れは止められませんので、であれば事実をしっかりと理解しそれをもとに未来への仮説を自分で立てられるようになった方がいいですよね。今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
 
おわり
 

市川 貴之

この記事を書いた人
市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル業界で働く人のよりどころに」をビジョンに掲げ、ブライダルコンサルティング、ブライダル業界専門の転職支援サービスを運営しています。お仕事の依頼は「お問合せ」、転職のご相談は「ブライダル専門の転職相談」からお受けしております。

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