
カップルが結婚式場探しするとき、ほとんどの場合「比較」しますよね?あっちの結婚式場がいいかな、やっぱりこっちがいいかな、と。これはよくある光景なわけですが、普通比較するときって「比較する基準」が必要です。それがないと、比較してもどちらがいいかの結論が出ないからです。ただ結婚式場の比較をする場合、比較の基準が超絶難しいと思うんですよね。そこで、今回の記事ではユーザーが比較しやすくなるためにはどんな条件が必要なのか?結論はコンペ形式の方がいいのではないか?ということを記事にしてみました。
新郎新婦が結婚式場を決める時の基準
ゼクシィ結婚トレンド調査を見てみると、結婚式場を選ぶときの基準には以下のようなポイントがあるようです。
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■披露宴・披露パーティ会場を訪問・決定する際の重視点(披露宴・披露パーティ実施者/複数回答)
- 交通の便が良いこと
- 料理
- 披露宴・披露パーティ会場の雰囲気が良いこと
- 希望する場所、地域にあること
- チャペル・神殿等の挙式会場の雰囲気が良いこと
- 価格が手ごろであること
- 希望する日取りに行えること
- 会場の従業員の接客態度が良いこと
- ロビーや外観等の雰囲気が良いこと
- 婚礼担当者の接客が良いこと
- 格式・知名度があること
- 眺めがよいこと
- 披露宴・披露パーティの企画内容が魅力的であること
- 希望する演出が可能であること
- 衣裳が充実していること
- 庭があること
- 付帯設備が充実していること
- パックプランの内容が充実していること
- 後日の特典・サービスがあること
- 希望する写真・ビデオが頼めること
- ヘアメイクの技術が高いこと
(出典)結婚トレンド調査2018 報告書(首都圏) ← こちらのp166
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新郎新婦はおおむね上記のような観点で結婚式場を訪問するか、申し込むかどうかを決めているようです。
これを、比較できるかどうかのカテゴリに分けると下記のようになります。
- 訪問前にわかる:3つ項目
- 訪問時・成約前にわかる:12項目
- 成約後にわかる:5項目
- 当日わかる:1項目
会場ごとに新規接客時にどこまで説明しているのか、広告や公式ホームページにどこまで載せているのかによっても異なりますが、おおよそこのような感じになると思います。何点か補足をすると下記の通りです。
- 会場ハードの要素は広告用の写真は加工しまくりで実物と異なるケースも多いので、当日わかるとしました
- 価格は成約後に上がっていくので最終的にわかるのは成約後にしました
- 婚礼担当者は分業制の会場の方が多いので、成約後にわかることとしました
このように見ると、新郎新婦にとっては実は下記のような負荷がかかっているのだと思います。
- 訪問前にわかることは少ない(というかわかった気になるけど実際と異なる場合が多い)
- 訪問時にわかること多いけど、1回の見学は約3時間かかるし必ず営業を受けるので負担が大きい
- 価格など成約後にわかることも多く、成約前に正しく比較できることはほとんどなさそう
どうでしょうか?申し込み前にきちんと納得できる比較をして決めているとは言い難いと思わないですか?逆にこの条件下で比較して決めてもらっているのって、けっこうすごいことなのでは?とも思います。
例えば法人で何かしらのシステムとか外部のコンサルを導入・依頼するときは契約前にかなり深く検討するはずで、不明点があれば確認したり再提案を要求したりするはずですが、当日来館からの即決を採用している企業が多いですから、ユーザーから見ると各会場ごとにチャンスは1回限りなんですよね。
どうやったら新郎新婦が納得できる結婚式場比較ができるのか?
先ほどの比較・選択基準をカテゴリで分けると、以下の5つの要素に分けることができます。
- ハードの要素(披露宴会場、チャペル、付帯設備など)
- コンテンツの要素(料理、衣装、写真、ビデオなど)
- 価格の要素(特典、価格)
- 人の要素(婚礼担当者、会場スタッフ、など)
- その他の要素(アクセス、知名度、など)
理想的な意思決定フローを「この5つの要素を実際と同レベルに理解・体験できるかつユーザーの負担を極力小さくしたフローであること」と定義した場合に、どういう結婚式場の選び方・比較の仕方を実現できればいいのか考えてみます。
1.ハードの要素
リアルな写真が掲載されているメディアが必要でしょう。媒体で言えば、ウェディングパークなどはユーザー投稿写真もあるのでそれを見ればよいですし、最近ではSNSで探す人が多いですね。ただ、いずれもそこにたどり着くにはユーザー側にそれなりのリテラシーが必要なので、最も簡単に実現するにはゼクシィに「リアルな写真」という項目が追加される必要がありそうです。それかVR機能で自宅で見られるとかですかね。
2.コンテンツの要素
結婚式場が商品マスタの全公開する、第三者的なアドバイザーが登場する、この2つが実現すれば可能だと思います。もしアドバイザー業をする人が登場したとしたら、ユーザーからお金を取れるのか?紹介した場合に結婚式場からお金もらえるのか?が事業として成り立つかのポイントになると思います。
3.価格の要素
選ぶ商品に関わらず絶対にこの金額になるというプライスをロックした提案をする、内容を固定していくらでできるのかの価格提案をさせる、このいずれかが必要だと思います。後者の場合は提案した金額から1円も変わらないことが前提ですね。
4.人の要素
これが一番難しいんですよね…。一貫担当制度にすれば解決しそうではあるのですが、それでもプランナー以外の人のスキルや雰囲気まで把握することは難しいでしょう。ちょっと現状だと解決策難しいですね。
5.その他の要素
これはググれば出てくるので現状でも大丈夫ですね。
まとめると、
- 広告用の宣材写真を使わずに、リアルな写真を公開、できればVRなど見学しなくても中身を見れるように
- 成約前に商品マスタ(リスト)すべて公開する
- 価格を固定する
- それ以外の要素は現状といったん同じで
ここまで整うとかなり納得感のある結婚式場の比較ができるんじゃないかなと思います。
こうするための方法として私が思うのが「結婚式場対抗ウェディングコンペ」です。
結婚式場対抗ウェディングコンペ!
これを実現するには、ウェディングコンペを実施したらいい!というのが今の自分のアイディアです。方法は2つあります。
価格を統一してコンペ

- まず新郎新婦が予算と日取り・人数を提示します
- 次に対象となる結婚式場は(入札制とかでもいいかも)その金額でどんな結婚式ができるかを提案します
- その提案された中から最も気に入った結婚式場に申し込みます
- なお、申込後も最初の金額は変わらない
このような条件でのコンペティションになります。これが実現できると、「価格」を比較基準から除外できるので、ある程度候補を絞った気になる結婚式場からの提案を受けられるようなスキームを組めれば、純粋にプラン内容とハード要素だけを比べればよくなるので、納得感は上がると思います。
内容を統一して価格コンペ

- まず新郎新婦が結婚式で取り入れたい内容と日取り・人数を提示します
- 次に対象となる結婚式場は、いくらでその内容の結婚式を実現できるかを提案します
- その提案された金額の中から最も気に入った結婚式場に申し込みます
- なお、申込後も最初の金額は変わらないのは同様です
このような条件でのコンペティションになります。これが実現できると、「結婚式の内容」を比較基準から除外できるので、ある程度候補を絞った気になる結婚式場からの提案を受けられるようなスキームを組めれば、純粋に価格とハード要素だけを比べればよくなるので、納得感は上がると思います。
ウェディングコンペを結婚式場の立場で考えると?
予算に制限がある方は1で、内容にこだわりがある方は2で、というようにコンペの方式を選ぶことができたら理想ですが、もしどちらかの方法だけであっても実現できれば、ユーザーの結婚式場比較はかなり精度が高まると個人的には思っています。
ただ、結婚式場側の立場で考えると、絶望的に工数の割に合わないと思います。今のブライダルフェアでの即決営業であれば、3時間の接客で成約率40%で350万円を獲得できているわけですから、1人・時間当たりの期待値で言えば、
350万円×40%/3時間=47万円/人・時間
となります。成約率40%の新規営業プランナー1人が1時間接客出ると47万円稼いで帰ってくることになります。めっちゃ効率よくないですか?
これに対して、もしコンペに参加して手作りの提案を毎回まとめようと、ほぼ確実に3時間以上はかかると思いますし3会場くらいでコンペするとどう頑張っても成約率は33%にしかなりません。携わる人の生産性という観点では1/5くらいになってしまうと思います。
そりゃあ、こういうサービスが仮にできてもやりますー、ってならないですよね…。
ウェディングコンペを実現するには?
じゃどうしたらいいの?となるのですが、「自動で最適な見積りとプランを作るAI」みたいなのをつくればいいと思うんですよね。
イメージは下記のような流れです。
- 全結婚式場の商品マスタ(名称と金額)とユーザー投稿の画像データを保持する
- 新郎新婦が結婚式の希望条件の100の質問に答える(条件面テスト、イメージ面の画像テスト)
- その回答をもとに裏で持っているDBから、最適と判断される会場+見積りを作成した状態で返す
- 申込 ← ここまですべてアプリかウェブ内で完結
一見プラコレが近そうですが、裏側で商品マスタを持っていないと思うのでそこは大きく異なると思います。
- 会場ハードの写真データと商品マスタを収集し、DB化できること
- 問いに対してユーザー満足度の高い回答を導き出せるような学習を積めること
この2つの条件がそろえば…て感じですね。サラッと書いてますが技術的にもそうですし、会場やアイテム企業の開拓とマスタ開放をさせるというのは超絶難しいと思います。出来たら最強なんだけどなぁ…。
ウェディングニュースとか50万枚の画像データがあるのなら、ユーザーテスト結果を学習させてAIのモデル作ったらいかがでしょう?と勝手に期待はしてたりしますが、まずエンジニアの確保が大変だと思いますし、開発を外注するにも機械学習はかなり高騰しているのでハハードルは高そうです。
もしこれができたら自動コンペでユーザー万歳!来館する目的はとにかく「実物を確認するため」だけになるので、生産性も上がると思いますね。
結婚式場の比較基準についてまとめ
- 今の一般的な方法だと結婚式場を納得するまで比較するのは難しい
- なぜなら、訪問してからわかること、成約してからわかることが多すぎるから
- だから結婚式場対抗コンペを実現したらいいんじゃないかと思った
- ただ、結婚式場の立場で考えると恐ろしく非効率で割に合わないから誰もやらないだろう
- なので、商品マスタと画像データを収集したDBと機械学習で自動レコメンド機能をつくれればいいのにな!
という記事でした。問題提起から解決はかなりふわっとしてしまいましたが、条件突っ込んだら見積り返してくれて申込フォームへ直行できるウェブサービスまたはアプリはメディアとしては最強化と思います。あとはインスタグラムアカウントと連携したら結婚式場レコメンドしてくれる、とか。これは機能ベースでも実装できそうな気はするけど。。
ということで、今回もお付き合いいただきありがとうございました!
おわり