更新日 2019年03月19日

結婚式場集客の適切な広告評価の方法とは?アトリビューション分析は可能?

結婚式場集客のアトリビューション分析は可能か

結婚式場集客においてユーザーが見学予約にたどり着くまでのルートは非常に複雑で、複数の広告媒体やSNS、卒花ブログなど様々な情報を照らし合わせながら検討しています。また結婚式場側も、複数のブライダル媒体に出稿して、公式ホームページも持ち、SNSアカウントも運用するなど多面的な集客施策を実施している会社がほとんどだと言えるでしょう。このように複数の施策を同時に展開することで幅広い属性のユーザーにアプローチすることができ、集客力を高めることができるわけですが、一方でどの媒体やホームページがどれくらい集客に貢献しているのか、どのように評価したらよいか難しいと感じている方も多いと思います。そこで、今回の記事では結婚式場集客の評価の方法やアトリビューション分析の可能性についてまとめました。集客担当者やIT担当者などにとって参考になればと思います。

結婚式場集客のユーザーフローの例

  • 例①:ゼクシィ→みんなのウェディング→ホームページ→ハナユメ→来館予約
  • 例②:ゼクシィ→来館予約
  • 例③:インスタグラム→ホームページ→来館予約
  • 例④:比較サイト→マイナビウェディング→来館予約
  • 例⑤:marry→会場ホームページ→来館予約

結婚式場の来館予約までのルート
実際はもっと複雑だったりパターンも無数にありますが、近年のユーザーは直線的な動き(1つの媒体や情報源だけを見てすぐに行動を移す)というよりも複数の情報を照らし合わせながら見ていることの方が多いと言えます。これはスマホの普及で情報へのアクセスが簡単になったことや、結婚式という商材が高額かつリピートしないので購買の検討期間が長いことなどが理由です。
では、このようにユーザーが様々な経路で来館予約をしてくる場合に、各広告やSNSアカウントがどれくらい来館予約の獲得に貢献しているのか、どのように評価したらよいのかについて考えていきましょう。
 

一般的な集客効果の測定方法

方法①:最終的にアクションを起こした媒体から効果を図る

最後の予約をしてきた媒体で1カウントする方法です。先ほどの例①であれば「ハナユメからの予約」としてカウントする、となります。この方法で評価する場合、情報収集や他会場との比較に利用した媒体は評価しないので、途中経路を気にすることはなく、多くの会場で取り入れている方法だと思います。
ちなみに、新郎新婦が来館予約やブライダルフェア予約のアクションをしてくる方法は大きく分けて、電話とウェブサイトからの問合せがあり、ブライダル媒体や会場ホームページなどウェブサイトからの場合は予約完了メールが飛んでくるのでどの媒体から予約が入ったのかを正確に把握することができます。一方、電話の場合は媒体ごとに電話番号を変えていなければ何を見て電話してきたかわからないので、精度の点ではウェブサイト経由に比べると落ちるのがネックです。

方法②:来館者アンケートでチェックがついた媒体を評価する

お客様が新規来館したときにアンケートを書いてもらっていて、その中で「ご覧になられた情報サイトや雑誌にチェックを入れてください」という項目を入れている会場も多いと思います。ゼクシィやハナユメ、ホームページ、など複数の選択肢があり、手書きでチェックをつけてもらう、その情報を社内のシステムなどに入力して、チェックが入っている個数からどの媒体が効果が高かったかを測定する方法です。
この方法のメリットは途中で見た情報源にもチェックを入れてもらえるので認知や後押しになった媒体の効果も測定できることですが、新郎新婦がどの媒体を見たのかを正確に覚えていることがほとんどなく(なんとなくサイト、とか誰かのインスタ、など)、データ精度が高くないことがネックです。

その他:ホームページ経由であれはGoogle Analyticsで測定可能

自社で運用しているホームページであれば、Google Analytics(以下、GA)でどのサイトやプラットフォームから流入したのか、どの流入経路から来訪したユーザーが来館予約にたどり着いたのかを正確に計測することができます。GAの設定方法の詳細などはこの記事では割愛しますが、例えばウェディングパークのように媒体からの主導線が公式ホームページになっている媒体の広告効果や、リスティング広告・SNS広告などで会場ホームページをLPとして設定している場合などは、この方法で評価するのが最も精度が高くなります(ただし、正確に測定するためにはパラメータ設定が必須です)。
個人的な感覚ですが、ブライダル業界の広告効果測定で一番多いのは①かなと思います。一番わかりやすいですし、集計もしやすいので工数もそこまで多くかかりません。一方、媒体側もそれを理解しているので「最後のアクション媒体になる」ことをかなり意識していると思います。マイナビウェディングの6万円キャンペーンやハナユメの4万円キャンペーンなど高額なキャッシュバックキャンペーンを実施している背景には、ユーザーのアクション媒体(来館予約を多く起こした媒体)と結婚式場側に思ってもらえると広告評価が上がる→広告評価が上がると出稿量を増やしてもらえる、という考えがあるからなんですね。
 

アトリビューション分析とは?

ちょっと話題はそれますが、アトリビューション分析について簡単に説明します。アトリビューションとは主に「間接効果」といった意味を持つことばで、直接成果につながった流入経路や広告だけではなく、成果に至るまでのすべての接触履歴を解析して、成果への貢献度を測る取り組みのことをアトリビューション分析と呼びます。
アトリビューション分析とは
冒頭の例①の導線で言えば、来館予約の直接成果につながった媒体はハナユメですが、成果に至るまでに接触した媒体であるゼクシィ、みんなのウェディング、ホームページも成果への貢献度をしっかり図っていきましょうね、ということになります。この考え方は広告メニューを効率的に組み合わせ、最適な予算配分や新たなターゲット開拓経路の発見につながるので、集客活動において重要な取組のひとつとなります。

  • 広告ごとの個別効果だけでなく、マーケティング全体を最適化していきたい
  • 間接効果も計測し、成果の出ていないと見える広告が本当に何の貢献もしていないのかを把握したい
  • 広告宣伝費の抑制を正しく実施していきたい、実は貢献している媒体への配分は残したい
  • 間接効果の高い媒体があるかどうかを見つけて行きたい

こういった課題を抱えている企業のマーケティング部門にとって必要な考え方だと言えます。
 

結婚式場集客の広告効果の最適な検証方法とは?

さて、前置きが長くなりましたが、広告の評価をどのようにしたらよいかについて最後にまとめます。私の考えは、広告評価はこれが正解!という最適解があるわけではなく、段階的にできることを積み重ねていくことで精度を高めていくことが必要だと考えています。順に書いていきます。

ステップ①:媒体ごとの直接効果を測定する

どの媒体から来館予約が入ったのかのデータと、それぞれの媒体に投下したコストと費用対効果(CPA:1来館予約を獲得するのにかかったコスト)をリスト化できる状態にしておくことがまず第一歩です。
媒体別の費用対効果一覧
イメージは上記のような表がある状態ですね(実際はエクセルなど表計算ソフトで管理することがほとんどです)。このデータの月次、半期ごとが見られるようになっていればまずはOKです。これだけ見られていればOKというわけではないですが、最低限この数字を見てある程度の判断ができるようになっておく必要があります。

ステップ②:ホームページからの効果をGoogle Analyticsで測定する

ホームページからの来館予約はどの流入経路から来たのか数値を追いましょう。GA>集客>すべてのトラフィック>チャネル、と見ていけば、どの経路から来たのかわかりますし、パラメータ設定をしていればセカンダリディメンションで参照元/メディアを付ければ何から来たのか詳細を見ることができます。
ホームページはGAで計測
こんな感じですね。媒体だとウェディングパークは公式ホームページへのリンクが主導線なので正確な効果を図るために必要ですし、marryなどの記事広告に出稿する場合もリンク先をホームページに設定していることが多いでしょう。その他にもリスティング広告やSNS広告などのLPをホームページに設定している場合はこの方法で計測するようにしましょう。
ホームページからの来館予約はGAで詳細確認
こんな感じで、最初の媒体別効果に微調整が入ります。

ステップ③:総広告コストと総来館予約数、費用対効果(CPA)を集計する

ここまで間接効果について書いておいて申し訳ないのですが、結婚式場集客においてアトリビューション分析は不可能です。なぜなら、新郎新婦が経由するルートのほとんどが外部サイトのため、間接効果の計測に必要なタグの設置ができず、データ計測が不可能だからです。ただ、じゃあ視点としても全くの不要かというとそんなわけではなく、認知や間接的にアクションに貢献している媒体やコンテンツについても正しく評価することが必要なので、手元で集計できるデータと媒体特性をもとに仮説を立てて施策を展開していくことが必要になります。
仮説を立てるためには必要なのは総広告費と総来館予約数、費用対効果です。
合計の来館予約CPAの推移を計測する
例えばステップ②の表を見ると効果の悪い(来館予約CPAが一番高い)ゼクシィの出稿を減らせばいい!という結論になりがちなのですが、ゼクシィは結婚式場探しを始めた新郎新婦が一番最初に見る媒体=認知媒体としての機能が高いので、一概にそうとは言い切れない、という具合です。実際の数値を用いて説明することができないので納得感を得ることが難しいのは理解しているのですが、

  • ゼクシィ出稿減らす
  • →会場が認知される回数が減る
  • →会場名+口コミを検索される回数が減る
  • →ウェディングパーク内の検索回数が減る
  • →ウェディングパークからの来館予約数が減る
  • →これが他の媒体でも同時に起こる
  • →結果他の媒体の費用対効果が悪化し、全体の費用対効果が悪化する

理屈としてはこのようになります。この仮説を検証するためには個別媒体ごとの費用対効果の推移と合わせて、出稿した広告総額に対する費用対効果の推移も同時に見ていくことが必要です。先ほどのゼクシィの例であれば、出稿量を減らせばゼクシィの費用対効果はもしかしたら改善するかもしれませんが、それに伴い全体の費用対効果が悪化してしまうと意味がないので、個別最適と全体最適が図れる出稿バランスを毎月の実績を見ながらチューニングしていくことが必要になります。

ステップ④:データから得られる仮説と媒体特性を照らし合わせた出稿計画を策定する

最後に、この数字を見てどのように施策に反映させるのか、になります。個別の媒体の費用対効果の良しあしだけで判断しすぎず、トータルの費用対効果の推移を見るという視点も実は大事だと思います。例えば、

  • ゼクシィは認知媒体なので、単体の費用対効果よりトータルの費用対効果で出稿効果を判断する
  • みんなのウェディングやウエディングパークは比較検証用の媒体なので、「指名+口コミ」の流入が多い。そのため口コミ点数を高くすることにリソースやメンバー意識を集中させ、媒体内の広告露出はそこまで多くなくてもOKとする(ただし費用対効果は緩めに判断する)
  • ハナユメやマイナビウェディングは最終アクションを起こさせる用の媒体なので、他媒体のプランと比べてハナユメ割の値引き金額を強めに打つ(ただし、費用対効果は厳しく判断する)
  • 会場ホームページは来訪前に何かのサイトで情報を確認済みの人が来るので、その前提でホームページないコンテンツを制作する(SEO対策未実施の場合)

など、このように媒体特性と実績とをかけ合わせたデータから施策を展開し、その結果どうだったのかをまたデータを集めて検証する、ということを繰り返し行っていき、少しずつ出稿バランスの精度や取り組みのレベルを上げていくというのが王道の対策かと思います。この際、媒体ごとの広告評価をCPA50,000円基準で!と一律設定するのではなく、多少階段があってもよしとする、など細かなチューニングをするとよいでしょう。
 

結婚式場集客の広告の評価方法についてまとめ

広告の評価方法についてまとめました。けっこうマニアックなことも書いてしまいましたが、広告宣伝費どこの会場も大きいと思いますし、費用対効果が1万円違うと年間の利益インパクトは相当大きなものになります。少し手間がかかったとしても評価方法さえ一度固めてしまえばあとは運用していくだけなので、集客に困っている会場は特に、一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。
 
おわり

市川 貴之

この記事を書いた人
市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル業界で働く人のよりどころに」をビジョンに掲げ、ブライダルコンサルティング、ブライダル業界専門の転職支援サービスを運営しています。お仕事の依頼は「お問合せ」、転職のご相談は「ブライダル専門の転職相談」からお受けしております。

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