更新日 2019年03月16日

スマ婚や楽婚などプロデュースサービスとの提携を検討するときのポイント

プロデュース会社との提携を検討するときのポイント

集客に困っている結婚式場は最近は特に多いのではないかと思いますが、売上を伸ばすための施策としては媒体への出稿を改善して集客を伸ばすだけでなく、プロデュースサービスと提携するというのも1つの方法です。ただ、普段は自前の社員や提携先で施行を行っている場合、なかなか外部のプロデュース会社に会場を提供するのは抵抗があるかもしれません。そこで今回の記事では、プロデュース会社と提携する場合に何を注意したらよいかを結婚式場目線でケーススタディとしてまとめてみました。結婚式場の責任者や支配人の方にとって参考になればと思います。

今回の記事の設定

あなたは集客に困っている結婚式場の責任者です。そこへとあるプロデュース会社の営業担当者が訪ねてきました。
営業「弊社のサービスは現在〇〇会場と提携させており、累計で〇〇組の施行をプロデュースしてきました。サービスは今も成長を続けており、提携のご紹介をさせていただいております。ぜひ、御社の会場も当サービスとの提携をご検討いただけないでしょうか?」
さて、このサービスと提携すべきかどうか、どのように判断していけばよいでしょうか?
 

プロデュースサービス概要

補足として、念のためプロデュースサービスとは何か?についても簡単に触れておきます。
プロデュースサービスとは、自社では会場を保有せずウェディングプロデュースだけを行うサービスのことで、スマ婚や楽婚、会費婚、CRAZY WEDDINGなどがそれに該当します。これらのサービスはプロデュースを行う機能は持っていますが結婚式を実施する会場を持っていないため、既存の結婚式場や場所と提携してサービスを展開しているのです。
詳しくはこちらの記事にまとめてありますので、ご覧ください。
では、具体的に考えておきたい項目について1つずつ考えていきましょう。
 

検討項目①:サービスの集客力について調べる

提携するかどうかを考えるときにまず最初に考えることは「提携したときに自社にとってメリットがあるかどうか」です。プロデュースは集客装置ではないので、提携するとどれくらいの組数を自社の式場で実施してくれるのか、ひいては売上・利益がどれくらい期待できるのかを客観的に検討することが必要です。
プロデュースサービスと提携したときの自社への送客期待値(売上期待値)は以下の数式で計算できます。

  • 結婚式場売上期待値=プロデュース施行組数/提携会場数
  • プロデュース施行組数=集客数×成約率

例えば、年間1,000組のプロデュースをしている会社が100社と提携していたら、1会場当たりの組数期待値は1,000組/100会場=10組/会場、となりますね。プロデュースの成約率は平均すると40%~60%前後なのでそんなに大きく変わりません。となるとそのサービスの集客力ってどうなのか?が期待値を考えるときの十要素になります。
プロデュース会社はウェブ集客またはマス広告での集客がメインなので、例えば以下のような内容でざっと調べることができます。

googleトレンドで調べてみる

google トレンド(リンク)
ウェディングプロデュースのgoogletrend
googleトレンドを使うと、そのサービスの指名検索がどれくらいされているかがわかります(ただし、相対値でしかわかりません)。例えば上記の画面は、スマ婚、楽婚、クレイジーウェディングの検索回数の推移ですが、ここ1年の検索回数に大きな変動はなくサービスの知名度で言えば、スマ婚>楽婚=クレイジーウェディング、であることがわかります。ちなみに期間設定は5年など長期間でも見れますので、数年単位で見たい場合は見てみましょう。

シミラーウェブ(SimilarWeb)で調べてみる

シミラーウェブ(リンク)
SimilarWeb
シミラーウェブで、対象サイトのURLを見ると上記のようなデータを見ることができます。ただし、数字の精度はかなり怪しいので、どちらかといえば相対比較で参考数値として使うくらいがいいかなと思います。営業の言っていた数字と明らかに差がある場合は少し疑ってみてもいいかもしれません。またサイトの各種数値以外にも流入経路の比率なども見れるのでウェブ広告をどれくらい実施しているのかもざっくりならわかります。

マス広告チェック

TVやラジオのCM、電車広告など、プロデュースサービスは媒体出稿ができない分このようなマス広告を実施することが多いです。普段何気なく乗っている電車でも社内の広告をよく見たり、CMもカットしないでよく見るような癖をつけるといいでしょう。

サイトに埋まっているタグをチェック

ちょっと難しいかもしれませんが、Chromeの拡張機能を使うとサイト内に埋まっている計測タグを見ることができます(ちなみに私はGhosteryを使っています)。広告効果の計測タグがサイトに埋まっているということはその広告を出稿している(またはしていた)可能性が高いの、先ほどのシミラーウェブと合わせてウェブ広告にどれくらい力を入れているかを想定することができます。

サービスの集客力を想定する

ここまで書いたような言わば誰でも取得できる情報だけで正確な集客力は分かるはずはありませんが、営業担当の方が説明するサービスポテンシャルデータと比較しながら見ると、その確からしさや(盛ってないか)精度は少しは上がると思います。もし営業の方が年間の集客数や施行組数などの数値を教えてくれるならそれを聞いて確認すればいいですし、教えてくれなかったら自分でこのように考えてみることも重要です。
営業は基本的に都合がいいことしか言いません。言われるがままに提携していろいろ整えたはいいけど全然送客がこないじゃないか!となると、直接的なコスト以上に精神的なダメージも大きいので、まずはサービスパワーの最上流である集客力について、聞いてみるなり自分で調べるなりして確認するようにしましょう。
サービス集客力の確認ポイント
 

検討項目②:オペレーションについて確認する

新規接客はどのように行うのか?

基本的にプロデュース会社のサロンなどに新郎新婦が来店し、そこで接客、申込となることがほとんどなので、新規接客自体を結婚式場所属のプランナーが行うことはほぼありません。ただし、以下の点は事前に確認しておいた方がいいでしょう。

施行枠の取り方

  • 披露宴時間の長さや、どんでんなどの時間をどれくらい確保して施行枠を取ることが普通なのか?
  • 申込(成約)を取る前に施行枠を確認するフローはあるのか?またその方法は電話なのか?
  • 1枠目が通常施行、2枠目がプロデュース施行となった場合にオペレーションに支障をきたさないかどうか?
  • 1年先の三連休の中日とかにいきなり受注されたら困るんだが、そういったことはないのか?交渉はできるのか?

などは確認したほうがいいと思います。本来は売上を伸ばすためにプロデュース会社と提携するはずなのに、自社でも売りやすい枠を埋められてしまうと困りますし、土日の忙しいときに電話連絡をたくさんもらっても対応しきれないかもしれません。

内覧対応の有無

基本的にプロデュースのスタッフがサロンでの接客になりますが、「どうしても会場を見ないと決められない」というお客様も一定数いるでしょう。その場合の内覧対応はどちらで行うのか、または成約後の内覧対応は必要なのかどうか、など、自社スタッフの工数がどれくらい必要になるのかの確認は必要です。

結婚式準備、打合せはどのように行うのか?

成約後から当日までの打合せについても知っておく必要があります。

  • 打合せの場所
  • 打合せの実施者(プロデュース側のスタッフがほとんど)
  • 情報のやり取りの方法(メール、FAX、電話?)
  • 情報のやり取りの頻度とタイミング

プロデュースの施行は先方担当でも大丈夫かもしれませんが、前後の施行への影響や隣のバンケットの施行に影響がありそうな場合は事前に把握しておきたいですし、前日搬入の荷物の多さなども実は重要だったりもします。このあたりも確認しておくと、現場オペレーションへの負荷が事前にわかるのでいいと思います。

結婚式当日のオペレーションはどのように行うのか?

どのような分担で誰がどのように行うのかは確認必須です。

  • サービスやキッチンの稼働はする?プロデュース側で用意?
  • サービスの稼働にかかった費用は請求できる?
  • プランナーの立ち合いはある?
  • 事前搬入の時間と場所の確保は可能か?

などですね。会場によってはもっと確認すべきポイントはあると思います。

結婚式後のオペレーション

結婚式後はあまりありませんが、ざっと以下のようなポイントです。

  • 連絡窓口はどちらで持つのか(列席含む、忘れ物対応など)?
  • 当日発生した追加発注の対応はどうする?

あまりクリティカルではないかもしれませんが、確認しておいて損はないと思います。
プロデュース会社との提携を検討するときのオペレーションのチェックポイント
 

検討項目③:クレーム時などの責任の所在、対応フローについて確認する

結婚式を担当すると、どうしてもクレームやご意見をお客様から頂くケースも出てきます。

  • 見積りが想定よりも高くなってしまったなど費用に関するクレーム
  • 手配漏れや納品の確認不足、検収不備などで起こるクレーム
  • 施行当日のオペレーションミス、時間押しなどから来るクレーム
  • 担当者のレスポンスの遅さやミスの多さなどから起こるクレーム

などなど。担当者やサービス提供者側の問題で起こってしまうものもありますし、当該プロデュース案件とは全く関係なく前の施行が押したために起こってしまうこともあるでしょう。その際にお客様から頂くクレームも、謝罪で済むこともあれば返金などそれ以上のことを求められることもあります。
そういった事案が発生したときに、誰が、どのように対応して、どちらが責任を負担するのかは確認しておいた方がいいでしょう。

  • 初期対応窓口は誰?
  • 返金対応はあるなし?その場合はどちらが費用を負担する?
  • クレームが起こったタイミングによって責任の所在は変わる(打合せ時、当日、など)?
  • 再発防止策についての検討や改善はどのように行う?

細かい点まであげていくとキリがないですが、少なくとも上記のようなポイントは押さえておいた方がいいでしょう。結婚式場側から見ると、プロデュース会社と提携して最初の担当だったので勝手がよくわかりませんでしたすみません、かもしれませんが、お客様からすると一度きりの結婚式なので、だから失敗しましたとか言われても納得できるはずがありません。クレームは起こさないのがベストですが、もしそうなってしまったらどのように対応するかをきちんと把握しておくことで、炎上が無駄に大きくなりすぎることを防ぐことができます。
プロデュース会社との提携を検討するときのクレーム時の対応フローなどのチェックポイント
 

検討項目④:利率とお金のやり取りのフローについて確認する

業績観点ではここが一番重要になります。簡単に言うと、1組の施行を自社会場で実施したときに実売上(または利益)がいくらくらい期待できるのか、です。ポイントとしては2つあります。

利率を確認する

ここはプロデュース会社によって様々だと思うので、しっかり確認しましょう。

  • 組単価総額の20%分
  • 料理・飲料・サービス料など会場側が提供するアイテムの単価の90%分

など、会社によって形態は異なります。具体的な条件と、想定される実入りの金額はきちんと把握しておくようにしましょう。

お金のやり取りを確認する

金銭のやり取りフローも重要です。

  1. お客様→プロデュース会社→結婚式場:結婚式場の集金相手はプロデュース会社
  2. お客様→プロデュース会社/お客様→結婚式場:結婚式場の集金相手はお客様から直接

それなりに規模の大きい会社だと1のパターンが多いですが(一時的に支払いが先に走るので、ある程度キャッシュを持った状態じゃないとキャッシュショートするため)、小さい会社やできたばかりの会社だと2のケースもあります。それぞれの場合で請求先が異なりますし、次に述べる「請求したが支払われないとき」の対応も変わってくるので、意外と重要だと思います。

集金できないときの責任の所在を明確にする

請求先が対法人の場合は事前に契約書を交わしていると思うので、そこに記載されている方法にのっとってしかるべき手段を講じていけばよいですが、お客様が請求先の場合は支払ってもらえないケースも稀に起こります。

  • ご祝儀後払いOKだったが、思っていたよりご祝儀が少なく足りない
  • 当日にクレーム事案が起こり支払いを拒否している
  • 何らかの手違いでお金がない

など、理由はいろいろ考えられますが、もしこのように集金できなかった場合に、結婚式場側としてどのような対応ができるのか、プロデュース会社に代理請求は可能なのか、など確認しておきましょう。強気で行くなら契約書にも盛り込むことを検討したほうが良いでしょう。
プロデュース会社との提携を検討するときのお金の流れと責任所在のチェックポイント
 

検討項目⑤:業績への影響をシミュレートする

最後に、ここまで考えてきた内容をベースにどれくらいの売上や利益が期待できるのかをシミュレートしてみましょう。

売上のシミュレートをする

結婚式場側の目線で考えると

  • 売上=施行組数×1組当たりの利率(または支払額)

となるので、想定されるサービス集客力、利率などの条件を組み合わせて試算してみましょう。

目に見えるコストをシミュレートする

業務責任範囲の切り分けがどこで引かれるかによりますが、具体的には

  • 内覧対応にかかる人件費
  • 施行にかかるサービスやキッチンスタッフの人件費

くらいでしょうか。プロデュース会社によってはこれ以外にもあると思いますが、こちらはダイレクトに乗ってくるコストなので試算の項目に入れておきましょう。

目に見えないコストをシミュレートする

見落としがちなのがここなので、観点だけ列挙しておきます。

  • 施行枠が埋まること(自社の施行を入れられなくなるリスク)
  • 潜在的なリスク対応工数(直接的な時間リソース、精神的なリソースがかかるリスク)
  • 異なるオペレーションを導入することによるスタッフがハレーションを起こすリスク
  • 低価格系の結婚式プロデュースの内容を口コミサイトに自社施行として書かれるリスク

などです。これらをどうやって数字として組み込むかは非常に難しいのですが、事前に考えておいた方がよいでしょう。

これらを勘案して総合的に判断する

このような売上や利益の期待値とかかるコストやリスクを明記したうえで、他の方法とも比較して「今の自社会場にとって本当に必要な施策と言えるのか?」を総合的に判断しましょう。
プロデュース会社との提携を検討するときの業績シミュレートのチェックポイント
 

プロデュース会社と提携するときに検討すべきポイントまとめ

書き始めたらだいぶ長くなってしまいましたが、検討に必要なポイントをまとめました。自社単独でできる集客だけでは年々厳しくなってきている結婚式場も多いでしょう。プロデュース会社は反対に増えてきていますので、どのような会社と提携することがメリットが大きいのか、しっかり見極める基準を設けて自会場にとっての最適解を見つけていってください。
 
おわり

市川 貴之

この記事を書いた人
市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル業界で働く人のよりどころに」をビジョンに掲げ、ブライダルコンサルティング、ブライダル業界専門の転職支援サービスを運営しています。お仕事の依頼は「お問合せ」、転職のご相談は「ブライダル専門の転職相談」からお受けしております。

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