名古屋を中心に愛知や東海地方の結婚式は、全国的に見ても「フォーマルに盛大に」おこなうイメージの強い地域です。現在、コロナ禍を通じて、ナチュラル＆アットホームさが魅力の、ガーデンウェディング人気が急上昇しています。開放的な屋外で三密を割け、人と集まれる開放的なスタイルが、現在の状況では魅力的に見えるのでしょうか。

小関 『コロナ禍だから』も理由にあるとは思いますが、結婚するおふたりの考え方の変化も感じます。
結婚式をやらないナシ婚の方も増えているいま、「結婚式を“やる”選択をするなら、本当に自分のやりたい結婚式にしたい」と考える方が、結婚式についてより詳しく検索するでしょう。
定番スタイル以外で魅力的なウェディングスタイルとして思いつくキーワードを調べるなら、まず最初にガーデンウェディングに関心を持つ方が多いのではないでしょうか。

なるほど。ふたりらしい結婚式を検索する際に『オリジナルウェディング』『テーマウェディング』といった専門的なキーワードには、ある程度ウェディングの情報収集をしないとたどり着けないですよね。結婚式に“ふたりらしさ”や“モチベーション”を求めるふたりがたどり着く最初のキーワードであるのも納得です。

小関 城下町で古い歴史のある名古屋を中心に、東海地方では、公園、ホテル、レストラン、文化財の洋館、キャンプ場、リゾートコテージ…結婚式をおこなう場所ではなくても「この空間を使って大切な人とパーティをしたい！」と魅力に溢れた空間が多いんです。
0から作り上げるガーデンウェディングでは、様々なスタイルのセレモニーやパーティを叶えられるのです。

小関さんはフリープランナーとして独立後、ガーデンウェディングをはじめ屋外やアウトドアを会場とする、オリジナル度の高いウェディンクプロデュースを得意とされていますね。ガーデンなどアウトドアでおこなう結婚式には、どんな魅力を感じていますか？

小関 ウェディングの形が変わりつつあるいまだからこそ、ですね。
ガーデンウェディングやアウトドアウェディングの魅力は、0から会場を選び、何もないからこそ装飾や演出をプロデュースできる『可能性』です。おふたりに合わせて様々なスタイルの結婚式を叶えられる可能性を持っています。
プラス、0から作る場所だからこそ、常識や概念にとらわれず、おふたりにとって本当に必要なアイテムや演出だけを選択できるのです。

理想のガーデンウェディングを実現したい！依頼者の動機や求められるスタイルとは？

実際に小関さんの元に来るプロデュース依頼の方たちは、ガーデンウェディングに対してどんな希望や動機を持ってこられますか？

小関 『ガーデンウェディング』と言っても、スタイルは実に様々です。
「絶対にこの内容で」「会場はここで」とやりたいスタイルが決まっているひとは極まれで、最初は「なんとくなくやりたいけど本当にできますか？」といったニュアンスでの相談も多いのです。
動機はおふたりによってまったく違うので、一概にできる傾向はないのです。
敢えて言うなら「ガーデンで挙式のみやりたい」スタイルは、もっとも需要があるのではないでしょうか。
パーティは「何となく外でできれば」程度でゆるく希望されている方も多いですね。
もちろん、挙式から挙式後パーティまですべてを屋外で執り行うプロデュースは可能です。

つい先日ガーデン挙式をプロデュースさせていただいたおふりたは最初から強く「ガーデンで挙式をしたい」との希望はありましたが、披露宴に関してはどうしようと迷われていました。

ふたりの気持ちはとてもよく分かります。私も自身の結婚式会場を探すとき、ガーデンやアウトドアのセレモニーのビジュアルに憧れがあったんです。でもSNSの検索で見るガーデンウェディング例は、大人数開催で華やかなパーティ例やアウトドアテイスト重視のビジュアルに溢れている…。ふと現実に帰ったときや招待したいゲストの顔ぶれを考えたとき、「憧れだけでは、実現は難しいのでは？」と不安になりました。身の丈にあったウェディングプランが、具体的に見えづらいなと感じてしまいました。

小関 だから一番最初のカウンセリングの段階で、おふたりはガーデンでもどんな“野外”をイメージしているかを探る必要があります。
野外でも海山川森、草原、芝生のスペースなど色々あります。
ガーデンの言葉からどれをイメージしているかによって提案内容は変わってくるため、まずはどんな場所がいいか、結婚式のなかで何を重視しているかをヒアリングしていきます。
私はオリジナリティにプラスして、『おふたりらしく』ありながら、しっかりとゲストにおもてなしを伝えられるウェディングを前提に、ご提案していきたいのです。

ガーデンウェディングやアウトドアウェディングに招待するゲスト数は、大勢の方がいいのでしょうか？ウェディングの口コミサイトを見ていると、ガーデンプランを持つ会場はゲストハウスやホテル、一軒家貸切レストランといった広い敷地の会場が多く、平均ゲスト数も60名から80名以上と大人数開催のケースばかりが目につきます。

小関 実際はゲスト数は40名から50名の規模が、屋外会場のオリジナルプランのプロデュースでは一番提案の幅は広くなります。
時候柄、家族のみや少人数のみ、10名から20名を招待してアットホームなガーデンウェディングを希望する方はとても増えています。

じつは、移動費用や日程の問題をクリアしやすい、少人数の方が会場の選択肢は増えるんです。
都市部だけでなく郊外の貸別荘やコテージの庭でガーデンウェディング、パーティの後にご家族で宿泊できるプランも視野に入れて提案できるからです。
ガーデンウェディングと併せて、大切な人たちに囲まれた1日を自由に過ごせる『ステイウェディング』も、とっても素敵なプランなんですよ。

ガーデンウェディングの計画や準備の不安を解消！天候の心配や費用相場の見積りは？

ヒアリングの結果から希望に合わせて自由度高く、さまざまな角度から提案していただけるのですね。多くの人が屋外の結婚式で不安になるの天候面と費用面の問題はどのようにクリアにしているのでしょうか。
もちろん、天候に関しては読めない部分もあります。ガーデンウェディングに関しては実例が少なく、口コミサイトでの明細情報も少ないです。また、オリジナルプロデュースの費用は高額になってしまうイメージもあります。

小関 雨天の心配に関しては、日時を決める際に晴れ日の多いシーズンが選べるよう相談に乗ったり、雨天時や台風の場合の代替えの会場のある場所を必ずご提案するようにしています。
費用に関しては、まず最初にベースの概算お見積りの一例をご覧いただいて、費用感をご説明します。
じつは「野外だと費用が抑えれるのでは？」と考える方も多いのです。メリットとして掲載している情報サイトもありますね。
しかし総観して言えるのは、屋根も何もない場所に机を持ってきてキッチンを拵える『本当に0からゲストをおもてなしする場所をつくる場合』は、レストランや設備も整っている場所に比べて費用がかかるケースも多いのです。
正確な見積りは、選んだ場所やおふたりの希望によって必要なアイテムが変わるため、本当にひとそれぞれです。だから、細部のアイテムまでこだわりばこだわるほど費用は上がるといった面も、もちろんあります。 おふたりが何を重視しているかを優先し、希望をくみ取りながら丁寧に提案し、予算に合わせた調整をしていく必要があるでしょう。

最初から用意しているプランの枠にふたりの希望をはめ込むのではなく、ふたりの希望や予算内の範囲で、プランをゼロから作っていくのですね。小関さんのいう『ガーデンウェディングのスタイルはふたり次第』の理由が良く分かりました。しかし、ふたりにとってはイメージが湧きづらい、目指すための手がかり見えず、結婚式の全体を具体的に想像できない不安はどのように解消しますか？

小関 結婚式の専門式場やホテルで準備する場合と違い、参考の資料も少ないため色々な面でお二人はイメージが湧きづらいでしょう。
分かりやすく伝えるために、レイアウト図や会場同線の配置図は通常より細かく位置関係を示したり、コンセプトシートを作成してビジュアルイメージを共有したり、スケジュール表を作成して準備の全貌を見えやすくするといった、おふたりへのフォローは特に配慮しています。

会場、クリエイター、アイテム…すべてオーダーメイド！自由度が高い大切な理由とは？

ガーデンウェディングに対するふたりの希望や予算が具体的になったら、いよいよ会場探しです。いままでのお話によると、会場探しまでにカウンセリングによって、ふたりの希望や予算、プランの概要がある程度固まっている状態になってから、ようやく会場探しがスタートするのですね。

小関 フリーランスのウェディングプランナーは、決まった会場に所属しているわけではありません。
毎回おふたりの希望に合わせた会場を探し、ご提案するシステムです。さまざまな場所を提案できるよう、常に新規開拓を行っています。
もちろん、おふたりから「結婚式をやる場所ではないが、この場所でできないか？」とのお話をいただくケースもあります。

日本では会場探しばかり先行してしまい、結婚式準備で「とにかくまず会場を抑える」考えが一番になっていますよね。
しかし希望が不明瞭なまま会場だけを探してしまうと、ドレスやアイテム探し、クリエイター探し、デザイン…他の部分は全て会場側に制約されてしまうのです。
ほんとうは、人が集まれる場所ならどんなところでも、ウェディングはできるんです。
だから提案する会場の幅は、ふたりの希望に合う場所であるなら、レストラン・ホテル・料亭・貸別荘・古民家・レンタルスペース・キャンプ場・自然あふれる野外…じつに様々なんです。

例えば、おもてなしのために料理のクオリティを重視して『ガーデンのあるレストラン』を選ぶとします。ふたりが何を大切にしたいのか分かっているので、より満足度の高い会場探しの精度を上げていける。
「名古屋駅からアクセスの良いモダンなレストラン」「郊外の自然豊かな場所にある開放的なレストラン」「少人数でも貸し切れるアットホームなレストラン」…といった、各レストランのメリットや特徴から、ふたりの希望に本当にあっているかどうかを確認できるでしょう。

なるほど、先に希望をしっかり拾い上げているから、魅力的な会場のなかから迷わずに、ふたりの重視したいポイントが明確に分かりやすくなるのですね。

小関 提案から気になる会場が見つかったら、いよいよ会場下見です。会場下見にはおふたりに同行し、実際に行ってイメージを具体的に落とし込みます。
野外での結婚式は式場に比べて事例の写真もない場合が多く、場所の特徴や仕様も全く異なるため、一つ一つの場所でイメージを一緒につけていくのです。
雨の場合の代案の会場やできる内容についても、しっかり確認していきます。
ご希望の場所を確認したうえで、再度ふたりの希望を確認したうえでお見積りも再度お出ししてから、納得の上で契約いただき、さらに具体的にお話を進めていきます。
（※契約前ですが、下見同行の段階から一部内金として同行料をいただいています）

なるほど！日本の結婚式の準備では難しかった、欧米的な発想の準備スタイルです。会場専属のプランナーや営業のしがらみがないからこそ、ふたりの希望を先に反映させて、ダイレクトに会場探しに活かせるのですね。

小関 私のプランニングでは毎回、準備に関わるフローリストやカメラマンといったクリエイターも固定してません。
世の中にはたくさんの素敵なクリエイターがいますし、みんなそれぞれ個性と特徴があります。クリエイターを固定するメリットは、もちろんたくさんあります。ですが、おふたりの希望や人柄と固定した人があわない場合を考えると、おふたりに本当にぴったりだと確信できる人を選んでご提案したいんです。
チームワークも都度、構築とすり合わせが必要ですが、新郎新婦も一緒に、みんなでいいウェディングをつくろうと切磋琢磨し合う時間は、エネルギッシュでアドレナリンが出てワクワクする、とても素敵な時間になるんです。
さまざまな場所でガーデンウェディングをプロデュースするたびに、「当たり前なんて何一つない」と確信します。
100%の想定をしても、予想仕切れないのです。普通の式場では考えられないできごとがあったりします。
だから毎回ドキドキする。緊張する。予期せぬ事件が起こったりする。そして感動的なドラマが生まれます。

10年前とは、結婚式自体大きく様変わりしました。
世の中の常識とともに結婚式の価値観や内容が様変わりしていくと最近は特に感じています。
『自分たちの幸せはどこにあるのか』
月並みな言葉ですが、ウェディングを人と比べたり、スタイルの定番や枠組みを作るのは意味がないんです。
まずは目の前の人を丁寧におもてなしして、喜んでもらえるような結婚式であるよう、変わらず大事にしたいと考えています。

フリーウェディングプランナー【小関陽子】profile