更新日 2021年10月19日

ハナユメの特徴とは?ビジネスモデルを図解してみた

159_ハナユメのビジネスモデル図解

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

事業のビジネスモデルを理解することは、その事業やサービスがなぜつくられたのか、どんなことを強みとしているのかを体系的に理解でき、事業開発や個人の知識習得でとても勉強になります。ブライダル業界の中でも様々な特徴的なサービスがあり、その仕組みや違いを知ることで見えてくることも多いと思います。そこで、今回は「“ハナユメ割”で結婚式の費用が最大100万円以上お得になる結婚式場情報サイト」のハナユメのビジネスモデルを図解してみました。

 

ハナユメとは?

株式会社エイチームブライズが運営する、ハナユメ割でお得になる結婚式場情報サイトです。以前は「すぐ婚navi」という直近希望の新郎新婦向けの結婚式場情報サービスでしたが、リブランドして今はハナユメとなり、直近に特化したサイトというイメージはなくなっています。

イメージタレントして渡部直美さんを起用するなど(以前はローラさん、斎藤工さんなども)、これまでの結婚式場情報サイトとは異なるアプローチで注目サービスです。

hanayume
Webサイト https://hana-yume.net/
運営会社 株式会社エイチームブライズ

では、このサービスのビジネスモデルを図解してみます。

ハナユメのビジネスモデル

ハナユメのビジネスモデル図解
サービス開始当初は「すぐ婚navi」という名称で、半年以内の直近結婚式を希望するカップルに通常よりもお得に挙げられるサービスとして運営されていましたが、2016年末に「ハナユメ」にリブランドし、結婚式場を直感的に探せるUIのサイトと、お得なハナユメ割が特徴のサービスとして生まれ変わりました。

すぐ婚naviとしてサービス立上げ以降しばらくは、直近半年以内を希望する新郎新婦がほとんどでしたが、これは

  • 新郎新婦目線だと、結婚式までに時間がないので貯金するなど費用を用意するのが難しく、低予算の結婚式ニーズが強い
  • 結婚式場目線だと、希望するお客様の割合が少なく空き枠が埋まり切らない可能性が高いので、値引きをしてでも受注したい

というニーズをとらえていたので、サービス開始以降、その層を中心にサービスを拡大してきました。

ハナユメになって以降は、結婚式探しではどのサイトや雑誌から予約をしても結婚式の金額は変わらないという定説をくつがえし、ハナユメから予約をした時だけ適応される「ハナユメ割」というお得な特典を前面に打ち出し、またイメージキャラクターにタレントのローラを起用して以降は急速に人気を獲得していきました。対象エリア、掲載式場数を順調に伸ばしてきており、2010年代後半は最も勢いのある結婚式場情報サイトだったと言ってもいいでしょう。

また、ハナユメはウェブサイト以外にも無料相談デスクやブラフェス(イベント)なども展開しており、オンラインとオフラインの両面のサービスを提供しています。私個人の感覚ですが、デスク経由の送客数も多いですしイベントの集客力も強いので、ウェブオンリーのサービスではなく幅広いユーザーニースをとらえていると言えます。

 

今後の展開の予想

最後に、これから先にハナユメがどのようになっていくのかについて予想してみます。

メディアとしての今後

結婚式場情報サイトの事業領域はすでに成熟しており、ゼクシィが圧倒的1位でそれ以下の序列もすでにだいたい決まっていると思います。その中で今後どうやって伸ばしていくかを考えなければいけません。

基本的にはサイト掲載も相談デスクも成功報酬型(1来館当たり●万円)のモデルなので、売上を伸ばしていくためには、

  • サイト経由、デスク経由での送客数を伸ばすためのメディアパワーの向上が必要
  • 強くなったメディアパワーを売上につなげるために掲載会場数を増やしたりする法人営業力が必要

となるはずです。
メディアパワーを増やすためには、SEO、SNS、広告運用の最適化などの手段を徹底的に突き詰めていくのが基本戦術となりますが、

  • SEOはハナユメ結婚式準備ガイド(/howtoのディレクトリ)がかなり強く、コンテンツ制作によるテールワード獲得はまだ伸びそう、後はエリア系ワードは、掲載会場数にもよるので法人営業とともにどこまで伸ばせるか、というのが伸びしろになるでしょう。
  • ウェブ広告は、リスティングはもしかしたら業界で一番広告投資しているんじゃないかってくらいによく見かけますし、アフィリエイト広告の運用もかなり精緻にやっている印象なので、運用レベルの最適化というよりは投下ボリュームをどこまで投資してリターンと合うかの見極めかなぁと思います。

この2つはまだ伸ばせるとは思いますが、それ以上の規模を目指すとなってくると掲載会場数を増やすことが必要だったり、マス広告での認知獲得系の施策とセットにしていかないと厳しい規模になってくるかなぁと思います。あとは、どこまでの事業規模を目指していくか次第でしょう。

一方、法人営業についてですが、ユーザーにとってはメリットしかない「ハナユメ割」も会場側からするとできればなくしたい要素の1つです。他の媒体から来館するよりも単価がどうしても低くなるので当たり前ですね。すぐ婚navi時代はなかったT&Gの掲載は今は見られますが、ベストブライダルの会場は掲載が一度もないのもそういったところが理由じゃないのかなと勝手に予想しています。その前提で営業していくのであれば、やはり送客力が高いことは必須要件になりますね。

結婚式場情報サービスの業界規模はもうこれ以上伸びることはないので、ゼクシィやみんなのウェディング、ウエディングパークなどからどうやってパイを奪っていくかを考えていかなければいけません。ハードルはかなり高いですが、名古屋以外は集客力がちょっとなぁ、と思っていた数年前から驚異的な成長をしてきているので、今後どこまでこの勢いが続くのか、楽しみですね。

メディア以外の取り組み

ヒマリやフォトウェディングの紹介などちょっと軸をずらしたサービスはいくつか立ち上げてきましたが、これまではうまくいっていないようです。

また、それ以外とDX推進部を設置したり、ブライダルの専門学校で特別講義 をしたりと幅を広げていますが、みんなのウェディングやウエディングパークなどと比べるとまだ取り組みへの力の入れようは小さいように見えます。

ハナユメはエリア展開や会場開拓の余地がまだ残されているので、そちらに注力するという方針なのかなぁとは思います。

 

ハナユメのビジネスモデルについてまとめ

ハナユメのビジネスモデルについて、簡単にまとめました。今後どのような事業成長を目指しているのかは私にはわかりませんが、成熟産業のかなでも大手の競合相手に着実に成長してきているサービスなので、次はどんなことを仕掛けてくるのか、業界全体にどんなインパクトをもたらしてくれるのか楽しみです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

CATEGORY同じカテゴリーの記事