更新日 2020年10月30日

2020年10月期第3四半期のアイ・ケイ・ケイ(IKK)の決算について考察してみた

2020年10月期第3四半期のアイ・ケイ・ケイ(IKK)決算

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

企業のIR情報を見て会社の状況や方針を理解できるのは、社会人としての重要なスキルの1つです。そこで、今回の記事では、アイ・ケイ・ケイ(以下、IKK)の2020年10月期第3四半期の決算説明資料をもとに、その内容について考察してみようと思います。(注)本記事の内容はあくまで個人的な見解であり、投資向けに書いているわけではありません。この記事の内容をご覧になられて投資判断をされても一切の責任を負えませんのでご了承ください。あと、そもそものPLなどの読み方については過去の記事をご覧ください。

 

2020年10月期第3四半期の決算概要

元となるIKKの2020年10月期第3四半期の決算説明資料は下記URLで見ることができます。

https://www.ikk-grp.jp/ir/library/main/01/teaserItems2/0/link/20200828setumei.pdf

決算概要

アイ・ケイ・ケイの2020年度2Qの決算分析_決算概要

3Q時点の売上は昨対で55%ほどですが、IKKの決算期で考えると4Qは8月~10月なので、おそらく売上は前年を大幅に下回ると思います。となると、通期決算は今の昨対比よりもさらに下回りそうです。

一方、販管費の増減率は▲7.8%にとどまっており、売上の減少幅と比較して減少率が小さいので、その分営業利益の減少幅が大きくなっていますね。結婚式運営企業の場合、一般的に販売管理費は会場費、人件費、広告費の割合が大きく、会場費と人件費は簡単には減らせないですが、この環境下では広告費を大きく削減した企業も多いです。

IKKの広告出稿状況まで細かく調べたわけではないですが、

  • もともと広告宣伝費の割合が小さく削減できる幅が少なかった
  • 広告をそこまで抑制せずにこれまで通りの集客を続けた

このいずれかが理由なんだろうと思います。通期の業績を予測するなら、おそらく4Qも売上はかなり厳しいでしょうから、営業利益や当期純利益はどの程度の赤字で収まるかは販管費をどこまで抑えられるかにかかってきそうです。

あと、細かい話ですが当期純利益が経常利益より10億円ほど多いので(赤字が少ない)、特別収益が出ているはずです。これはなんなんだろうか?助成金とかかな?

BS(貸借対照表)

アイ・ケイ・ケイの2020年度3Qの決算分析_BS(貸借対照表)

流動資産が大幅に減少しています。主に現金・預金ですが、7割近くなくなっています。また、負債は固定費際はが9.3億円増えていますが流動負債は逆に減っています。

細かなキャッシュの流れ(借入など)は追えていないので詳しいことはわかんないんですが、有利子負債が増えている分借入はしているとは思うものの、現預金はこのままで大丈夫なんだろうか?とは思いました。当座貸越契約を締結したとの頃なのですぐにどうこうということはないとは思いますが…。

 

業績の見通し

アイ・ケイ・ケイの2020年度3Qの決算分析_業績の見通し

現時点での業績見通しは未定。レンジを持たせた数値も公表せずとのことです。

公表されている数値だと、受注残組数が昨対で165.2%と非常に多く、これは延期になった顧客がキャンセルせずに契約が残っているからだと言えます。この機の4Qならびに翌期の業績を予測する場合、

  • 受注残組数のうち何%が実際に施行をするか
  • 成約済み顧客が披露宴を実施する際の列席人数(≒組単価)がどの程度になるか

この2つが重要指標になるでしょう。IKKは地方都市への出店をメインにしているので、どのようになるかは、果たして…、って感じです。

 

新型コロナウイルス感染拡大防止

アイ・ケイ・ケイの2020年度3Qの決算分析_コロナ対策

挙式・披露宴を安全に開催するための対策がメインなのだと思います。例えば結婚式準備のオンライン化、オンラインブライダルフェアの開催などについては特に触れられていません。おそらく出店エリアによって顧客側の捉え方や考え方も違うので、IKK出店エリアだとこういった対策の優先度が高いという判断なのかもしれませんね。

また、NEW NORMAL HAPPY WEDDINGの発起人の一社であることも書かれています。

 

その他の取り組み

茨城県水戸市に新規出店(2021年9月(予定))

アイ・ケイ・ケイの2020年度3Qの決算分析_茨城水戸への出店

2021年9月に開業予定の新店舗を茨城県の水戸市に出店するようです。いつ頃に意思決定したのかわからないですが、攻めるなぁと思いました。どの程度の規模感の会場なのか、どれくらいの施行数を見込んでいるのかなどは分からないですが、この時期にこの判断をするのはどう転ぶか気になりますね。

引出物や引菓子を主軸に食品事業を行う子会社を設立

アイ・ケイ・ケイの2020年度2Qの決算分析_引出物

自社アイテムを子会社化して独自に開発、販促していくという流れ。これはいいと思いますね。特に結婚式で販売するだけではなく、一般消費者向けの販売もやっていくようなので、こういった動きは業界全体に波及したらいいのになと思います。

持株会社体制に移行

アイ・ケイ・ケイの2020年度2Qの決算分析_持ち株会社化

事業別に持株会社にするそうです。これによって具体的に何かが大きく変わるのかはちょっと想像できないですが、ひとまず。

その他の内容

  • 東京都江東区に新規店舗の出店を計画
  • 既存店のクオリティ強化のためのリニューアルを実施
  • 食品事業部門を新設し、新商品を企画開発
  • 海外事業(インドネシア)は2店舗目の営業を開始

と上記の内容ですが、これまでリリースされてきた内容と大きな違いはなかったのでここでは割愛します。

 

アイ・ケイ・ケイ(IKK)の2020年10月度第3四半期決算についてまとめ

ほんとに簡単にですが、決算説明資料をもとに考察を書いてみました。ブライダルの現場で働いていると企業のIR情報を見ることはほとんどないとは思いますが、他の会社でどんなことをやっているのか、起こっているか、ブライダルマーケット全体をどのように捉えて動いているのかなどがわかると意外と楽しいと思うので、この記事をきっかけにIR資料も見るきっかけになってくれればうれしいです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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