更新日 2020年02月17日

2019年10月期のアイ・ケイ・ケイ(IKK)の決算について考察してみた

2019年10月期のアイ・ケイ・ケイ(IKK)決算

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

企業のIR情報を見て会社の状況や方針を理解できるのは、社会人としての重要なスキルの1つです。そこで、今回の記事では、アイ・ケイ・ケイ(以下、IKK)の2019年10月期の決算説明資料をもとに、その内容について考察してみようと思います。(注)本記事の内容はあくまで個人的な見解であり、投資向けに書いているわけではありません。この記事の内容をご覧になられて投資判断をされても一切の責任を負えませんのでご了承ください。

 

2019年10月期の決算概要

元となるIKKの2019年10月期の決算説明資料は下記URLで見ることができます。

https://www.ikk-grp.jp/ir/library/main/01/teaserItems2/0/link/20191213setsumei.pdf

決算概要

アイ・ケイ・ケイの2019年度の決算分析_決算概要
アイ・ケイ・ケイの2019年度の決算分析_連結決算概要
数字がたくさんあるのでざっと見るべきポイントをまとめると

  • 売上高:前年比ほぼ同水準
  • 売上総利益:前年比微増
  • 営業利益:前年比1.3億円ダウン
  • 当期純利益:前年比ほぼ同水準

このような決算でした。増収減益決算ですが、計画対比でみるといずれも計画は達成しているので特に社内的に大きな問題はないのでしょう。計画の精度が高いのか営業のコントロール具合がすごいのかわからないですが、計画対比ほぼ100%ってすごいですよね。

気になる点があるとすれば営業利益率の推移です。

アイ・ケイ・ケイの2019年度の決算分析_営業利益率の推移
こちらを見ていただくとわかるように、2015年度から約3%営業利益率が落ちています。今回の決算内容を見ると2019年度は2020年度の新規出店用の投資がかさんだためと説明があるので新規出店前の期はコストが先行するのは致し方ないとして、来期の計画と結果がどのようになるのかはかなり重要になってくるのではないかと思います。

アイ・ケイ・ケイの2019年度の決算分析_2020年度10月期の業績見通し
こちらが2020年度の業績見通しです。増収増益の計画、営業利益率も改善する計画になってはいますが5年前の水準と比べると10%前後にとどまる計画のようです。

と多少ネガティブな面にも触れたものの、地方展開×同一ブランドという独自の事業戦略を取っていてかつここまで業績が安定しており、かつ業績を伸ばす期と踊り場の期を使い分けて長期的に成長しているという事実はすごいなと思います。

数字はこちらで書いた通りですね。次に今回の決算資料のトピックについても簡単に触れていきます。

 

東京江東区に新規店舗を出店

2020年6月に新規出店を予定しています。豊洲で近隣の会場だとアニヴェルセル豊洲やアヴァンセリアン東京が近いですね。他の上場企業も純粋な自社ブランドの新規出店はほとんど見かけなくなってきていますが、2019年7月にも神戸に新規店舗を出していますし、なかなか攻めているなと思います。

これまで九州を中心に地方都市への出店がメインだったので、東京への出店は初めてのはずです。その結果がどうなるかが2020年度の決算に大きく影響しそうです。もしうまくいくとMAや事業譲渡でリブランドという戦略も今後取れるようになりますね。

既存店舗のリニューアル

福井店と富山店の2店舗でリニューアルを実施しました。リニューアルをする→集客が改善される→成約が増える→施行が増える、という流れなので、リニューアル時期が2020年1月~2月ということを考えると、2020年度の下半期の売上にどういった影響を及ぼすかがポイントですね。GWの集客あたりから効果は出てくると思います。

またIKK以外でもTGやエスクリでもリニューアルを積極的に行っていますが、各社のここから2~3年の業績はリニューアルの成果次第かもしれませんね。

食品事業部門を新設し、新商品の企画開発に着手

婚礼事業の調理部門のリソースを活かした新商品の企画、開発に着手する部署のようで、新たに売上の獲得を目指すのか、社内的なマネジメントを目的とした組織新設なのかはわからなかったです。また、具体的にどういった組織でどういったことを行っていくのかも不明ですが、結婚式場の人も含めたリソースやノウハウを活用して結婚式以外のマネタイズポイントをつくる、というのはブライダル企業の今後の生き残り施策の1つだと思うので、今後の動きも注目してきます。

 

海外事業

インドネシア共和国ジャカルタ市に2店舗目となる新規店舗の営業を開始しました。これ、よく見ると現地の方向けの施設なんですね。日本人の海外リゾートウェディングはよくありますが、現地の方向けの施設運営ってほとんどないですよね(過去はあったのですがほとんど撤退しましたね)。儲かるんですかね…あんまりうまくいくイメージないですが…。

 

アイ・ケイ・ケイ(IKK)の2019年10月期決算についてまとめ

ほんとに簡単にですが、決算説明資料をもとに考察を書いてみました。ブライダルの現場で働いていると企業のIR情報を見ることはほとんどないとは思いますが、他の会社でどんなことをやっているのか、起こっているか、ブライダルマーケット全体をどのように捉えて動いているのかなどがわかると意外と楽しいと思うので、この記事をきっかけにIR資料も見るきっかけになってくれればうれしいです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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