更新日 2019年08月18日

【空想事業企画⑧】ウェディングのプランニング手法の共有化サービス「WedHub」

08_ウェディングのプランニング手法の共有化サービス「WedHub」

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

私が思いついた新規事業のアイディアを企画っぽくまとめてみよう、という趣旨の記事です。第8回の今回は、ウェディングのプランニング手法の共有化サービス「WedHub」を企画てみました。はじめに、この企画はGitをオンライン上で管理するサービスGitHubから着想を得ているのと、ビジネスモデルはチャーリーさんの記事を参考にしています。なお、この記事のサービスは実在するものではありません。

 

事業企画の概要・ビジネスモデル

ビジネスモデル図解

ウェディングのプランニング手法の共有化サービス「WedHub」_ビジネスモデル
いつものように「ビジネスモデル2.0図鑑」を参考にして作成してみました。先日Good Wedding Award 2019に関する記事を書いた時に、結婚式のプランニングのノウハウや実績はかなり属人化して、かつリピートがないビジネスモデルなのであまり業界全体に波及していかないなと思ったのがこの記事を書いたきっかけです。

属人化・属企業化しているノウハウを共有化し広く公開することで、企業間を超えてよりよいプランニングをできるようになるためのプラットフォームを作ったらいいんじゃないか?もっと言えばオープンソース化してしまってもいいのかも?と考えています。
(参考記事)ウェディングプロデュースとウェブサイトの開発・制作の意外な共通点とは?

サービス利用の流れ

  1. プランナーがアカウント会員登録
  2. プランニングデータをマイページに登録
  3. WedHub上で保存
  4. 他プランナーからリクエスト提出
  5. 承認
  6. 閲覧
  7. ※転職時にマイアカウント情報を採用担当者に提供することで閲覧可能に

基本的な流れはこのような感じをイメージしていますが、単に自身の実績保存用のツールになってしまうとわざわざプランナーが使いそうにもないので、プランニング実務でも使えるような機能は必要かなと思います。

収益化の方法(お金の流れ)

売上は、アカウント登録をしているプランナーの月額利用料、と考えていますが、個人から取るとなると大した金額は取れないと思うので(エンジニアと比較しても給与水準も低いですし)、他にも収益源が必要かなとは思っています。例えば

  • 企業側が採用時に利用する場合の利用手数料
  • マイページ内に外部企業からの広告を掲載した広告収入

など。あんまり現実感ないですが…。

また、企業のプランニング用のアカウントを作り企業から月額利用料を取得するというのも1つの方法ですが、オペレーションまでかなり深く入り込んだ機能要件を満たさなければいけないことと、プランナー個人のアカウントは転職しても引き継いで使えることが必要になるので、そこのアカウントを分けて管理しなければいけないことなどは考えなければいけません。難しいところです。

このサービスが解決できる課題

プランナーの課題

冒頭にも書いたように、プランニングノウハウや実績は数字で表されるもの以外(これまでの担当組数は●●組です、など)は、ほぼどこにもデータや情報として存在していません。また、WEDOやPhorbsなど、ブライダル特化の業務支援システムはありますが、あれらの中に入っているのは見積りは受発注履歴、顧客ステータス管理などあくまで業務に関わる情報についてのみなので、コンセプトやデザインに関するものなどはほぼないと思います。

現在多くの企業における「プランナーの成長」とは、「顧客に寄り添った最適な提案ができるようになること」ではなく「会社の求める成果を高い精度で出せるようになるためのスキル経験を身に着けること」だと思います。結婚式場運営企業が営利目的で運営されている以上、この考え自体が間違いだとは思わないですが、本質的な意味での結婚式の付加価値を高めるための成長をしたいと思っても、何をどのように努力したらいいのかわからないしそのための情報も探せない、という今の状態は課題ではないかと思っています。

その観点で、もしWedHubのように、

  • 新郎新婦ごとのコンセプト設計やデザインなどの実績・履歴情報を一元化してストックしておくことができる
  • リクエストを承認されれば他のプランナーの実績も見ることができる
  • 会場タイプや挙式スタイル、1.5次会やリゾ婚アフターなど条件別の事例検索も容易にできる
  • いわゆる広報的な加工のされていない生な情報を知ることで、本質的な理解をすることができる

このような機能やメリットを持てれば、先ほどの課題を解決しうるのではないかと考えています。

競合に情報を開示するなんてけしからん!という方もいると思いますが、日本国内だけの結婚式場を見渡しても、99%以上は自社会場とかすることもない会場ばかりのはずなので(競合といってもせいぜい数会場ですよね?5会場/3,000会場=0.2%程度)、情報を非公開化してけんかするのではなく、広くオープンにして共有化することで業界全体で解決していければいいのになぁとは思います。

新郎新婦の課題

正直なところ、今の一般的な結婚式場では打合せ担当者が誰になるかによって結婚式のクオリティは大きく左右されると言ってもいいのではないかと思います。最近ではフリープランナーも増えてきていますし、wecoやプラコレなどのサービスもあるのでプランナー個人を選ぶことも可能ですが、一般的な結婚式場では新郎新婦が打合せ担当者を指名できるところはまずないでしょう(一貫担当制の会社は別)。

となると、申し込んだはいいものの、ふたを開けてみるまでどうなるかわからない(しかもそのことを新郎新婦はほとんど知らない)、というのは実は大きな課題なんじゃないかな、と。誰がプランニングを担当しても同じクオリティに、会場の良さとお二人らしさを最大限生かした結婚式をつくりあげます、こういう会場もいると思いますが、それなら逆にプランナー誰でもよくない?とも思いますしね。

これに対し、WedHubのようなプラットフォームがあれば、経験が浅くても業界全体のノウハウのストックをベースにしたクオリティの高いプランニングを提供できる確率が上がりますし、将来的にオープンな場で複数のプランナーが共創するというところまで行ければもっと良い方向に進むんじゃないかなと思います。

ウェディングのプランニング手法の共有化サービス「WedHub」_メリット

事業のKPI・スケールさせるのに必要な施策

事業KPI

  • 利益=売上-コスト
  • 売上=有料プラン者数×月額単価
  • 有料プラン者数=総利用者×有料プラン率
  • 総利用者数=アカウント発行数×アクティブ率
  • コスト=人件費+広告費+開発費+その他固定費

ざっとこのようなロジックで表すことができます。

ウェディングのプランニング手法の共有化サービス「WedHub」_KPIツリー

成長させるために必要な施策

この事業を成長させるためには、それぞれのKPIを伸ばしていくための施策を実行していくことが必要です。ただ、ビジネスモデルのセクションでも書いたように、ユーザー課金だけでは事業が成り立たなそうだなと思っているので、マネタイズの方法は他にも検討が必要になりそうです。

「アカウント発行数」を伸ばすための施策

基本導線はサービスサイト来訪→アカウント登録、となるはずなので、基本戦術はサイト来訪者数を伸ばすための正しいサイト設計、流入施策の企画実行、サイト内UI/UXの継続的改善、となります。デジタルマーケ的にはですが。

ただ、どちらかというとそもそもの機能要件の設計(いわゆるプロダクトパワーをどこまで高められるか)の方が重要で、認知獲得にも業界紙への広告出稿やブライダル産業フェアへの出展などの方が、効率的かもしれません。

「アクティブ率」を伸ばすための施策

利用マニュアルやセキュリティ、そもそもの使いやすさや業務オペレーションとのAPI連携などをどこまで組み込めるか、など、総じて当たり前ですが使いやすく魅力的なプロダクトの設計・開発ができるかどうかがキモになりそうです。

「有料プラン率」を伸ばすための施策

商品設計ですね。具体的な機能まで想定できていないのでパッと思いつかないのですが、フリー機能に制限を書けるというよりは、有料プランを選択するとこんなことまでできる!という発想で作ったほうがいいとは思います。

施策まとめ

  • ユーザー(プランナー)を囲い込むための集客施策
  • 魅力的なプロダクトの開発

上記2つの施策を並行して実行していくことが重要になります。当たり前すぎる内容になってしまいましたが…。

事業リスク・詳細検討が必要な項目

WedHub事業を立ち上げ、拡大していくにあたり想定されるリスクとそれに対する打ち手も考えておきます。

①ユーザーの囲い込み、マーケティング戦略・施策

サービスの要件定義・開発の前に、そもそもこういうサービスあったら使う人いるの?というフィールドワークはこの事業に関しては必須だと思います。私はこの記事を大局観からこういうのあったらいいのになぁ、くらいのテンションで書いていますが、最前線で仕事をするプランナーからすると日常の業務オペレーションが変わるのはかなりの事件なので、具体的な戦術に入る前の準備は丁寧に行うべきでしょう。

②サービス設計・プロダクトの開発

業務システムでは管理しきれないプランニング領域をノウハウとしてデータ化して保存できる仕組み、なので、そのプランニングノウハウって何なんだ?というのをしっかり定義しないと、なんだこれは?という謎なプロダクトになってしまいそうです。

超ライトにテストプロダクトから始めるのであれば、打合せで使ったイメージデッサンやコンセプトシートなどの集約サイト(投稿サイト)を作ってみて、それで集めたときにユーザー(プランナー)が集まるのか、アクションが起こるのか、を見てみるのがリスク少なくていいのかもしれません。
それであれば画像だけでいいですしね。そこで集まった声をもとに次の段階の要件定義→開発→フィードバック・・・と繰り返していく、というのもよいかと。

起こりそうなリスクまとめ

要件定義が超難しい、マーケットがそもそも大きくないので開発コスト・集客コストがかけられない、このあたりはかなり大きなリスクとなるでしょう。

「WedHub」の事業企画のまとめ

以上、新規事業企画をしてみました。事業計画は信ぴょう性がないうえに作るの大変なので載せないことにしています。

繰り返しになりますが、今回の企画で実現したい世界観は「属人化・属企業化したウェディングプランニングノウハウをWedHubに保存・シェアしていくことで業界全体のプランニングレベル向上を目指せる環境を整えること」です。

あんまり儲からなそうだなぁと思うので別マネタイズ方法も考えなければなのですし、そもそもシュリンクしていく市場に対してそんな大掛かりな開発を先行投資でかけられる会社もいなそうなので、ここまで書いてきましたが結論誰もやらなそうだなと思いました。
でもあるといいと思うんですよね。。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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