更新日 2020年03月29日

ウェディングアイテムの持込みを防止しつつ顧客満足と業績を両立させる方法とは?

23_ウェディングアイテムの持込みを防止しつつ顧客満足と業績を両立させる方法とは?

※寄稿記事です。

格安にブライダル商品を販売する通販サイトも増えてきている一方、引出物や衣裳といった単価の大きなアイテムが持込となると式場側は売上に大きく影響が出てしまうので防ぎたいところ。しかし、厳しい持込規約を設けると顧客満足にはならないのではないか…、と感じているプランナーの方も多く、その両立に悩む方もいるのではないでしょうか。今回は新郎新婦に持込規約を理解してもらい顧客満足度の高い結婚式を作るための方法について書いてみます。新郎新婦から持込を打診された時どうすることがベストなのか悩んでいらっしゃるプランナーの方へ少しでも参考になれば幸いです。

 

結婚式場が持込規約を設定している理由

なぜ持込を制限するのか?

一般的に式場側の回答として「単純に売上が減る。だから、持込不可とする/売上の補填として持込料を頂戴する」という理由を挙げる方が多いですが、これだけだと持込を検討している新郎新婦へは納得できないでしょう。持込料を設ける理由は、会場の売上観点でもありますが、もう1つ、「結婚式当日のトラブル未然に回避し、結婚式のクオリティを高める」というのも重要な理由です。

例えば、新婦衣装が持込だった時の事例です。結婚式当日、衣装を着てみたがサイズが合っていないというトラブルが発生しました。しかし、他店の衣装ですので勝手に針を通し、サイズ調整をするということはできません。体にフィットしていないと分かっていますが、それで挙式・披露宴を過ごして頂くことになります。自社または提携パートナーのアイテムであれば、そのような場合にも処置をすることができます。

この事例の通り、持込を許可することは顧客満足に繋がるかというと、そういうことばかりではありません(特に当日にわかることが多い)。

これは、衣裳やブーケといったアイテムに限ったことだけではありません。カメラマン・ヘアメイク・司会者といった人に関わるところでも同様です。結婚式はチームで作っています。その為、「いつも通りに」という一言で事前打合せができること、結婚式中にアイコンタクトだけで進められることが数多くあります。その阿吽の呼吸が結婚式のクオリティに繋がっています。

例えば、カメラマンがどこのアングルで撮影したいかとをキャプテンを始めサービスマンは理解しています。その為、「誰を、どこへ、どのような導線を通って誘導するか」の認識が統一されています。しかしながら、持込カメラマンであれば、各演出毎にどういった写真が撮りたいのかということから打合せしなければいけません。

このように持込制限をする理由は、新郎新婦の結婚式のクオリティを高めるためもあるので、担当の打合せプランナーは新郎新婦にそのことをきちんとお伝えし理解してもらう必要があります。

なぜ持込料が発生するのか?

料理やドリンクだけを会場が用意するレンタルスペース状態で予算が組まれている訳ではないので、「売上の補填の為に持込料を頂戴する」という考え方があることも確かです。

また、結婚式場は会場毎のブランディングを大切にしています。その為、そのブランディングを壊し、クオリティを下げるような結婚式を行う訳にはいきません。

その為、持込アイテムであろうと、自社アイテムと変わらず、自社会場で使うのであれば、ベストな状態になるように直前までできる限りのことをします。そうすることで、人件費や自社サービスを一部利用が発生します。その為、持込料を頂戴しています。

持込防止のための結婚式場の取り組み例

顧客満足と業績を両立させるための持込防止のための取り組み例を次にまとめます。

  1. 持込が検討されやすいアイテムは新規見積で値引きする
    成約前の見積提示で値引きをする際に、衣裳・装花・引出物・印刷物など持込を検討されやすいアイテムから値引きをします。その際、どのアイテムから、どのように値引きをするかを考えることが大切です。例えば、10万円の値引きがある場合、新婦衣裳から△10万円とするよりは、新郎新婦の各衣裳から△5万円とした方が持込リスクを減らすことができます。また、値引きは他のアイテムの値引きとしては利用できないことも加えて説明しましょう。
  2. 新商品・新サービスの取扱う
    業界誌などに掲載されているアイテムや展示会から自社ブランドに合う商品を探したり、新郎新婦から持込を打診されたアイテムの取扱いを検討します。
    例えば、結婚式の後日に引出物を宅配する「ヒキタク」というサービスが開始した時など、新郎新婦からの問合せも多く、自社サービスやプランナーの提案力ではなかなか補えないサービスでした。
  3. 自社アイテムのクオリティチェックを行う
    取扱いアイテムのデザインやサービスなど新郎新婦が期待するクオリティでないものがないか、定期的に見直しを行います。
  4. 特典を用意する
    例えば、引出物+引菓子を〇個以上注文頂ければ同じものを1セットプレゼント/招待状+席次表+席札全てご注文頂ければ〇円引きといった内容です。

新規時や打合せ接客時のトークスクリプトを用意するということだけは、できることが限られます。個人的には、1、持込が検討されやすいアイテムは新規見積で値引きするが、簡単に仕組化することができ、プランナーのスキルによって差が出ることもないので、一番効果的であると考えています。

顧客満足と業績を両立させる持込防止施のまとめ

  • 持込制限をする目的の1つは、結婚式当日のトラブル未然に回避し、新郎新婦の結婚式のクオリティを担保するためということを理解する
  • 持込が検討されやすいアイテムは新規見積で値引する

ということがポイントです。プランナー個人として考えること、チームとして考えることなど幅広い視点で考えることが必要な課題です。少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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