
事業のビジネスモデルを理解することは、その事業やサービスがなぜつくられたのか、どんなことを強みとしているのかを体系的に理解でき、事業開発や個人の知識習得でとても勉強になります。ブライダル業界の中でも様々な特徴的なサービスがあり、その仕組みや違いを知ることで見えてくることも多いと思います。そこで、今回は「オリジナルウエディングのプロデュースサービス」のBrideal(ブライディール)のビジネスモデルを図解してみました。
目次
Brideal(ブライディール)とは?
株式会社エスクリが運営する、コンセプトを大切にするオリジナルウエディングを提供するプロデュースサービスです。もともとはみんなのウェディングのプロデュース部門として運営されていましたが、2016年に事業譲渡されて以降はエスクリが運営しています。
Webサイト | https://brideal.jp/ |
運営会社 | 株式会社エスクリ |
では、このサービスのビジネスモデルを図解してみます。
Brideal(ブライディール)のビジネスモデル
2012年に「みんなのウェディングプランナー」としてサービス開始、2013年に入ってから「Brideal」としてリニューアルされて以降は、結婚式場などの開催場所にこだわらず、コンセプトメイキングを大切にしたウェディングプロデュースサービスとして運営されてきました。当時はCRAZY WEDDINGと並んでオリジナルウエディングトレンドのきっかけとなったと言ってもいいと思います。
結婚式準備の流れは、まず会場を決めてからその会場が用意する商品を選んで決める、というのが一般的ですが、この方法だと契約後に打合せが始まるのでせっかく気に入った会場を決めても、衣装の持ち込みができない、希望する演出ができない、一つ一つの単価が高く予算的にあきらめざるを得ないなど、様々の制約の中で結婚式をつくっていかなければならず、本当の二人らしい結婚式をつくることは難しかったと言えます。
それに対しBridealは、結婚式のコンセプトから決めるプロデューススタイルを取り入れ、これまでの常識にとらわれない結婚式を提供できるようにしました。公式サイトのウェディングレポートや提携会場を見るとわかるように、リゾート施設やクルージングなど、これまで結婚式を行うなど予想もしなかったところでもプロデュースを実現しています。
基本的なビジネスモデルは一般的なウェディングプロデュースサービスと同じで、ユーザーからもらうプロデュースフィーが主たるマネタイズポイントになっていると思います。また運営しているエスクリは自社で結婚式場も運営していますが、Bridealのサイトの会場ページにはその会場は掲載されていないため、純粋に単独事業として運営されているのだと思います。ただ、内製しているドレス部門の商品は使っていると思います。
今後の展開の予想
最後に、これから先にBridealがどのようになっていくのかについて予想してみます。
オリジナルウエディングニーズは今後も割合的には大きくなっていくと思いますが、結婚式ニーズ自体は縮小していくと思うので、ターゲットの絶対数が増えていくかというと微妙なところだと思います。また、サービス開始当初と比べると競合となるプロデュースサービスは増えてきているので、その点でも競争環境は厳しくなってきているでしょう。
さて、事業のマネタイズポイントはお客様から頂くプロデュースフィーなので、基本的な考え方は以下のようになります。
- 売上=施行組数×1組当たりプロデュースフィー
- 施行組数=集客数×成約率
そもそもこれから先どこまでの規模まで事業を成長させることを目指しているかどうかはわからないですが、もし売上を伸ばすのであれば施行組数を増やす、施行組数を伸ばすためには集客数か成約率を伸ばすことが必要になります。また、エスクリの場合は内製商品の販売による利益創出もできるのではないかと思います。
プロデュースサービスは基本的にゼクシィなどのブライダル媒体への出稿はできませんので、集客導線は以下のようになります。
- WEB上で集客→サイト来訪→CONTACT→営業・接客→成約
となっているはずです。入り口である「WEB上で集客」の主な手法は
- マス・認知広告→指名検索を増やす、DSPなどもありかなとは思いますが…
- SEO→流入を増やす
- ウェブ広告(リスティングやSNS広告)→CVを獲得する
- SNS運用→ファンを増やす→流入を増やす
- 記事広告など→認知を広げる
- 広報活動(TVや雑誌などの取材を受ける、プレスリリースを出すなど)
などがありますので、これらの施策の1つ1つを突き詰めて実行していくことが必要になるはずです。SEOはサイト内の結婚式準備ブログ(/blogのディレクトリ)で対策、リスティング広告もたまに見かけます、SNSアカウントも最適化されているかは置いておいて運用はされているようです。本当はこれら全部を緻密にやり切る、というのが理想ですが組織や体制によっては難しいと思うので、優先度高いところから取り組んでいくことが必要かなと思います。
個人的には市場は未成熟ですが、アフィリエイト広告とかいいと思うんですけどね。アフィリエイターはほとんどいませんが、オリジナル系のKWがはブライダル業界のかなでもまだ開拓余地のあるKWカテゴリだと思うので、ちょっと長い目で見てアフィリエイターが増えてくれば市場としては少しは盛り上がると思うのですが…。どうでしょうか。
ウェディングプロデュースサービスは今後も事業者がどんどん増えていくと思いますし、競争も激化していくでしょう。今後どのようなポジションを確立していくか気になるところですね。
Brideal(ブライディール)のビジネスモデルについてまとめ
Bridealのビジネスモデルについて、簡単にまとめました。今後どのような事業成長を目指しているのかは私にはわかりませんが、いい意味ではオリジナルウエディングという概念がマーケットに浸透している、悪い意味では競合が増えてきておりそれだけでは強みにならない、状況なので、これから先どんなことを仕掛けてくるのか、業界全体にどんなインパクトをもたらしてくれるのか楽しみです。
【参考書籍】
今回の記事で書いたビジネスモデルは「ビジネスモデル2.0図鑑」を参考にして作成しています。ビジネスモデルを体系的に理解するのでとても勉強になりますし、ブライダル業界以外の様々なサービスの仕組みや特徴を知ることができるのでオススメです。
ビジネスモデル2.0図鑑