更新日 2020年09月08日

ブライダル業界の従事者が抱える課題を考えてみる

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3か月ぶりの投稿になってしまいました。ここ半年で業界は大きく変わりそしてこれからも変わっていくでしょう。これまでも顧客、会社、従事者とそれぞれで課題や不満足な点があったわけですが、これからどうしていけばいいかを今一度考える必要があると感じています。そこで、自分の思考の整理も兼ねて現時点(2020年9月)で私が考えているブライダル業界の従事者に関する課題を考えてみようと思います。

顧客へのやりがいと社内評価の不一致

顧客を向きたいが評価は数字

ブライダルを志望する人・従事している人は、お客様の幸せな瞬間に携わりたい、お客様にいい結婚式を提供したい、など対顧客の想いが原点になっている人がほとんどでしょう。たくさんお金を稼ぎたい、地位や名誉を手に入れたい、革命を起こしたいといった野心家はいないことはないでしょうが数はわずかだと思います。

その一方、各企業での評価は成約数、成約率、売上、利益など数値評価になっていることが多いでしょう。お客様に寄り添った提案をしたいけど成約取れなきゃ評価されない、単価を上げなきゃ評価されない。

数字か想いか、この議論に正解はないわけですが、このジレンマに陥っている人は多いと思いますね。

数字を追いかけることに終わりがない

プランナーとはいえ数字責任を負うわけですが、この目標を追い続けることに終わりがないのも課題と言えるでしょう。

伸びている市場や会社であれば数字を達成する→事業や会社が拡大する→新しいポジションができる→昇進、というサイクルが期待できますが、ブライダル市場は縮小していますしインターネットサービスと異なりリアルが伴うので急激な会社の成長も財務的に難しい背景があります。

半期なりの数字目標を達成して少しボーナスをもらってはいまた次の期間もよろしく!っていうケースが実際は多い。最初の数年は新しく覚えることもあり色々なことを身に付けて成長を実感できますが、ある程度のレベル感までくるとだんだんと成長機会もなくなり、半年ごとに数字を追いかける終わりのないゲームをやっている感覚になってくる人もいます。

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後述するキャリアの選択肢が少ないこととも関わりますが、このやりがいと評価の不一致はブライダル業界従事者の大きな課題の1つだと思います。

 

35歳でキャリアが詰む問題

ちょっとドラスティックな見出しにしていますが、簡単に書くと業界内で長く働くための選択肢が少ないってことです。積み上げてきた経験が活かせるフィールドが少ないというか。

※35歳になると世界が変わる!ということではなく、いろいろ隠れていた課題が顕在化するのがこれくらいの年齢であることが多いという意味で書いています。

顧客の年齢との乖離幅が大きくなる

結婚式の顧客は20代後半から30代前半くらいがメイン。晩婚化が進んでいるとはいえ顧客の年齢層が上がるより自分の年齢を重ねるスピードの方が早いでしょう。

経験を積んで場数を踏んでいる分、提案の引き出しは増えるし対応できるトラブルも増えていきますが、その反面顧客との価値観や時代背景がずれるのでその分のキャッチアップが求められるようになります。

マネジメントに進む以外にキャリアアップがない

結婚式場勤務のプランナーであればマネージャや支配人などマネジメントレイヤーに進むかそのままプランナーとして仕事をするかの選択がリーダー後期(新卒なら20代後半~30代前半くらい)にあることが多いですが、後者の道を選択した場合そこからさらにキャリアアップすることはほとんどありません。具体的には役職や給料が上がることがないですね。

成約数が何組を超えたらいくらといったインセンティブを設定している会社であれば、超がんばって成約取りまくれば年収上げることも可能ではありますが、現実的にはアサインのバランスもあるのでかなり難易度は高いでしょう。つまり、プランナーとして顧客と接している以上、ある程度で給与額の上限にヒットするんですよね。主任や園長を目指さない保育士と構造的には似ていると思います。

ここで最初のやりがいの話が出てくるのですが、顧客に対してがモチベーションの源泉となっている人だとマネージャや支配人になることに興味がないので、ここでアップサイドがなくなる。

さらに式場数は年々減っているので管理職の人数も市場全体で見れば減る→キャリアアップがより狭き門になる、この構造を変えていかないと優秀な人ほど抜けていきやすくなるので課題だと思っています。

体力的にきつくなる

これはこの通りです。なんだかんだで体力勝負ですし。

身に付くスキルの偏りが激しくと汎用性の低いので転用しにくい

プランナーであれスタイリストであれ、結婚式場やサロンで対顧客のお仕事に従事されている方の場合、仕事を通じて身に付くスキルがtoC接客力という点で高度である反面、それ以外の一般的なビジネスリテラシーを身に付ける機会がほとんどありません。要するにある程度のキャリアを重ねていくと気づいた時にはかなり尖ったスキルのポートフォリオになっていることが多いですね。

これはビジネスモデルが決まっている、商品が決まっている、顧客ルートも決まっている(ゼクシィ)、など業界内のルールがほぼ決まりきってしまっているからというのが理由だと思います。

さらに言うなら既成概念を壊すような新しいことにチャレンジするよりも今のオペレーションを洗練させていく方が企業経営の観点で安定しやすいので、チャレンジャー型人材より想いが強い歯車型の人材を採用したほうが相性いいという採用戦略なども影響しているので本当の原因はもっと複雑でしょう。

こういった経験を積んで偏ったスキルを持った人材の場合、新しいことを身に付けたり、未経験の異業種に転職するなどは年齢を重ねるごとに現実的に厳しくなっていきます。転職市場でも大方そうですね。あ、自分でチャレンジするなら何歳になっても遅すぎることはないですよ!

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ここで挙げたような理由から、新卒から35歳くらまいまでブライダルにいた人は支配人など管理職になるかプレーヤーとして突き抜けるかしか上昇するための選択肢がなく、その一方で外の世界に進むにしてもスキルセットや経験の偏りが理由で新たなチャレンジがしにくいのが現状です。

 

労働環境が不安定

労働時間が不安定

  • 土日と平日の労働時間の違い
  • 繁忙期と閑散期の労働時間の違い
  • エースプランナーとそうでないプランナーの業務負担の差

など、どのくくりで見ても不安定なんですよね。これがもし安定していれば忙しければ人を増やせばいいし暇なら人を減らせばいいという結論になるのですが、不安定なので企業は安易に人を増やせない。だから忙しい時期を少ない人数で乗り切らざるを得ず過度な負担がかる。

提供している商品の構造上やむを得ないと言えなくもないのですが、人材調達方法とオペレーション設計で解決できそうな気はしています。

給料が安い

支配人まで上がっても500万―650万ほど、プランナーだと200万円ー400万円だと思います。何を基準に安いと言っているのだ?という点はあるものの、日本人の平均年収441万と考えると高くはないと思います。そしてもう1つ、給与レンジのばらつきがほとんどない。同じ職種でA社だと200万円だけどB社だと600万円ということはほぼなく、どの会社でも同じ職種で同じレイヤーならだいたい同じ年収です。

生産性の低さ

これは個人の課題というよりは会社の課題で、そのあおりを受けて個人にも影響が出ている、というのが正しい表現と思いますが、紙台帳やFAXで受発注、直入力のエクセル日報など、アナログな業務がたくさん存在しているせいで本来顧客と向き合う時間が取れていないのも課題の1つと思います。

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時間、環境が不安定であり給料も安い、これらをまとめて労働環境と表現するとこれも大きな課題の1つだと言えます。

 

ブライダル業界が抱える従事者に関する課題まとめ

やりがい、キャリア、労働環境という視点で書きましたが、従事者目線で見たときの課題は多そうです。

今回の記事は課題について考えるがテーマなのでここまでとしますが、この記事を書いた背景は新規事業を自社で作るならまずは課題を理解しないといけない、さらに言うならその課題を解決し、かつその課題が解決したからこそ見いだせる新しい価値をつくらないといけない、と思っているからです。

それで将来自社で新規事業をつくるのなら?といろいろ考えていたことをせっかくだから記事にしようと思って書き起こした、という感じです。改めて書いて思いましたが、こういった課題を解決しなきゃ、です。

市川 貴之

この記事を書いた人
市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル業界で働く人のよりどころに」をビジョンに掲げ、ブライダルコンサルティング、ブライダル業界専門の転職支援サービスを運営しています。お仕事の依頼は「お問合せ」、転職のご相談は「ブライダル専門の転職相談」からお受けしております。

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