
今回の記事では、ブライダル業界における「ペーパーアイテム」の市場規模を算出しました。結婚式準備の第一歩となる招待状や、ゲストテーブルで最初に目にする席札、メニュー表などのアイテムです。打合せの観点ではペーパーアイテムの単価は高くはなくかつ持ち込み(自作)するカップルも多いので、ここで稼ぐ!というアイテムではないですが、逆に言うと外部から参入しやすいアイテムであり、個人デザイナーがメルカリなどのプラットフォームを使って商売していたり、最近はかなり選択肢の幅も広がってきています。既に結婚式場を運営している会社で新たにこの市場へ攻めていくという会社はほとんどないと思いますが、異業種からの新規参入を検討している方やフリーランスのデザイナーの方などにとって参考になればと思います。
目次
結婚式のペーパーアイテムとは?
結婚式のペーパーアイテムのメインとなる商品は、招待状と席札、席次表の3つに分かれます。今回の記事ではそれぞれの市場規模を算出し、合算したものを「ペーパーアイテム」の市場規模としています。
また、市場の位置づけでは、ブライダル関連市場>挙式披露宴・披露パーティ市場の中の一部、と言えるでしょう。
市場規模算出に共通して必要なデータ
まず、それぞれの市場規模算出に共通して用いる「婚礼実施組数のデータ」と「3つのアイテムの購入率のデータ」をまとめます。
婚礼実施組数のデータ
招待状が購入されるスタイルの結婚式が対象となるので、挙式のみのスタイルの割合は除いています。
2017年の婚姻組数 | 608,085組 | 出典:ブライダル総研 |
挙式・披露宴実施率 | 55.3% | 出典:ブライダル総研 結婚総合意識調査2017 |
608,085×55.3%=336,271組
会場装花市場の算出対象となる年間の結婚式実施組数は「336,271組」となります。
ペーパーアイテムの商品ごとの購入率
招待状 | 95.4% |
席札 | 96.2% |
席次表 | 89.6% |
結婚式の招待状の市場規模
市場規模の算出方法
まず結婚式の招待状の市場規模の算出方法ですが、以下の数式で算出できます。
結婚式の招待状の市場規模=婚礼実施組数×招待状購入率×平均列席人数×招待状1部あたりの作成費用
つまり
- 婚礼実施組数
- 招待状購入率
- 平均列席人数
- 招待状1部あたりの作成費用
この4点がわかれば算出可能となりますので、それぞれの数値を見てみましょう。
婚礼実施組数
先ほどの通り「336,271組」です。
招待状の購入率
先ほどの通り「95.4%」です。
平均列席人数
30人未満 | 11.2% |
30~40人未満 | 4.6% |
40~50人未満 | 6.5% |
50~60人未満 | 8.5% |
60~70人未満 | 13% |
70~80人未満 | 11.8% |
80~90人未満 | 15.2% |
90~100人未満 | 7.8% |
100~110人未満 | 7.5% |
110~120人未満 | 2.3% |
120~130人未満 | 2.6% |
130~140人未満 | 1.2% |
140~150人未満 | 0.8% |
150~160人未満 | 0.5% |
160人以上 | 1.5% |
無回答 | 4.9% |
平均・人 | 70.2人 |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
結婚式の平均列席人数は「70.2人」です。一般的に招待状は1家庭につき1セットで贈ることがほとんどなので、実際は列席人数の7掛け程度見るのが妥当でしょう。従って、招待状の対象世帯数は70.2人×0.7=49人分、となります。
招待状1部あたりの作成費用のデータ
100円未満(0を含む) | 4.3% |
100~200円未満 | 15.4% |
200~300円未満 | 15% |
300~400円未満 | 19.4% |
400~500円未満 | 16.9% |
500~600円未満 | 13.9% |
600~700円未満 | 6.6% |
700~800円未満 | 2.9% |
800~900円未満 | 2% |
900~1千円未満 | 0.6% |
1千円以上 | 3% |
平均・円 | 384円 |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
招待状1部あたりの作成費用の平均は「384円」となります。
結婚式の招待状の市場規模は?
ここまでのデータをまとめると以下のようになります。
婚礼実施組数 | 336,271組 |
招待状購入率 | 95.4% |
平均列席人数 | 49人 |
招待状1部あたりの作成費用 | 384円 |
結論は「約60億円」となります。続いて、席札の市場規模です。
結婚式の席札の市場規模
市場規模の算出方法
結婚式の席札の市場規模の算出方法も同様、以下の数式で算出できます。
結婚式の席札の市場規模=婚礼実施組数×席札購入率×平均列席人数×席札1部あたりの作成費用
つまり
- 婚礼実施組数
- 席札購入率
- 平均列席人数
- 席札1部あたりの作成費用
この4点がわかれば算出可能となりますので、それぞれの数値を見てみましょう。
婚礼実施組数
先ほどの通り「336,271組」です。
席札の購入率
先ほどの通り「96.2%」です。
平均列席人数
招待状のセクションで書いたデータと同じですが、席札は列席人数分用意するので「70.2人」となります。
席札1部あたりの作成費用のデータ
100円未満(0を含む) | 36.6% |
100~200円未満 | 30.8% |
200~300円未満 | 18.4% |
300~400円未満 | 6.3% |
400~500円未満 | 1.9% |
500~600円未満 | 2% |
600~700円未満 | 0.6% |
700~800円未満 | 0.8% |
800~900円未満 | 0.5% |
900~1千円未満 | 0.1% |
1千円以上 | 2% |
平均・円 | 167円 |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
席札1部あたりの作成費用の平均は「167円」となります。
結婚式の席札の市場規模は?
ここまでのデータをまとめると以下のようになります。
婚礼実施組数 | 336,271組 |
席札購入率 | 96.2% |
平均列席人数 | 70.2人 |
席札1部あたりの作成費用 | 167円 |
結論は「約38億円」となります。最後に、席次表の市場規模です。
結婚式の席次表の市場規模
市場規模の算出方法
結婚式の席次表の市場規模の算出方法も同様、以下の数式で算出できます。
結婚式の席次表の市場規模=婚礼実施組数×席次表購入率×平均列席人数×席次表1部あたりの作成費用
つまり
- 婚礼実施組数
- 席次表購入率
- 平均列席人数
- 席次表1部あたりの作成費用
この4点がわかれば算出可能となりますので、それぞれの数値を見てみましょう。
婚礼実施組数
先ほどの通り「336,271組」です。
席次表の購入率
先ほどの通り「89.6%」です。
平均列席人数
招待状、席札のセクションで書いたデータと同じですが、席次表は列席人数分用意するので「70.2人」となります。
席次表1部あたりの作成費用のデータ
100円未満(0を含む) | 13.6% |
100~200円未満 | 16.7% |
200~300円未満 | 13.5% |
300~400円未満 | 14.5% |
400~500円未満 | 7% |
500~600円未満 | 8.2% |
600~700円未満 | 5.2% |
700~800円未満 | 6% |
800~900円未満 | 5.6% |
900~1千円未満 | 3.8% |
1千円以上 | 5.8% |
平均・円 | 398円 |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
席次表1部あたりの作成費用の平均は「398円」となります。
結婚式の席次表の市場規模は?
ここまでのデータをまとめると以下のようになります。
婚礼実施組数 | 336,271組 |
席次表購入率 | 89.6% |
平均列席人数 | 70.2人 |
席次表1部あたりの作成費用 | 398円 |
結論は「約84億円」となります。
結婚式のペーパーアイテムの市場規模の合計
商品ごとの市場規模は以下の通りです。
招待状の市場規模 | 60億円 |
席札の市場規模 | 38億円 |
席次表の市場規模 | 84億円 |
合算したペーパーアイテムの市場規模は、60億円+38億円+84億円=「182億円」となります。
ちなみに、挙式披露宴・披露パーティ全体の市場規模は約1兆2,900億円程度と予想されているので、全体の2%にも満たず規模としては非常に小さいですが、
- 持ち込みや手作りするカップルが多いので外部から参入しやすい
- インスタグラムなどのSNSやメルカリなどのプラットフォームなど、集客・アプローチできるチャネルが豊富
- リアルな店舗が不要なので固定費が大きくかからない
- 有力なトップシェア企業がいるわけではない
上記のような条件が整っているので、スモールスタートするには十分なボリュームと言えるでしょう。デザインが好きなプランナーやデザイナーの副業として始めるのもいいかもしれません。また今回の記事では全国計の規模を出していますが、出典元のデータでは最小で都道府県単位のデータも取得可能なので、進出を検討されている場合は同じロジックでより細分化された数値を出されるとよいかと思います。
また、別記事で結婚式のペーパーアイテム以外の市場についても分析した記事を参考で載せておきますので、興味あればご覧ください。
まとめ
他の結婚式のアイテムと比較すると単価が安く市場規模も小さいですが、他アイテムと比べて参入障壁が低く設備投資も少なくて済むため、異業種や個人での参入・事業化は意外としやすいかもしれません。副業レベルの収入を目的とするのであれば、規模としては十分でしょうし集客チャネルも豊富なので実行に移していきやすいと思います。これから新たに始める場合、一番のネックとなるのは集客となるので、特に今であればインスタグラムアカウントの運用は必須だと思います。いい商品作ってどんどんアピールしていきましょう!
おわり