更新日 2021年08月27日

結婚式場の自社集客にオウンドメディア運用・コンテンツマーケティングは有効?

0034_結婚式場の自社集客にオウンドメディア運用は有効なのか?

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

結婚式場集客において媒体依存からの脱却を目的に自社集客に取り組む企業が増えてきています。オウンドメディアの構築・運用は集客にお金がかからない、作ったコンテンツが会社としての資産になる、競合他社と差別化できる、などのメリットがありますが、万能な施策ではないので実施前に十分に検討することが必要です。

今回の記事では、オウンドメディアとは何か?結婚式場の自社集客に有効なのか?について解説します。

 

オウンドメディアとコンテンツマーケティング

それぞれの単語はよく見かけるけど違いは何?という方に簡単に解説します。知ってるよ!という方は飛ばしてください。

オウンドメディアとは

自社が所有するメディアのことで、例えば、会場の公式HPやブランドサイト、プランナーブログ、などがそれにあたります。ただ一般的には、これらのうち企業が運営するコンテンツメディアやブログなど、自社で運営している記事コンテンツを量産しているメディア・サイトのことをオウンドメディアと呼んでいることが多いでしょう。

オウンドメディアはペイドメディア、アーンドメディアと合わせてに「トリプルメディア」と呼ばれます(ちょっと古いけど)。

34_オウンドメディアとは?

これまでの結婚式場の集客は、ゼクシィやウエディングパーク、みんなのウェディングなどのメディア(=ペイドメディア)に広告を掲載して集客する方法がほとんどでしたが、ここ数年ほどはFacebookや特にInstagramのアカウントを運用したり(=アーンドメディア)や、自社で運営するサイトのコンテンツを拡充したり(=オウンドメディア)など、複数の獲得導線を組み合わせて使うようになってきています。

コンテンツマーケティングとは

ウェブサイト上でコンテンツの発信し、より多くの顧客に発見してもらうこと、ファンになってもらうこと、最終的に問合せ等に結びつけることを目的としたマーケティング施策のことを指します。具体的な手法というよりは考え方ととらえた方がイメージしやすいかもしれません。

同じウェブマーケティング施策でもリスティング広告のように顕在化したニーズに対してのリーチを狙うのではなく、潜在的なニーズを持つ潜在層の顧客に対し、自社コンテンツを通じて認知を獲得し、長期スパンで育成、購買へと結びつける考え方であることが特徴です。

オウンドメディアでコンテンツマーケティングとは?

結婚式場が自社で運営するサイトに記事や動画などのコンテンツをアップし続けることで顧客の認知を獲得し、長期的に来訪者にファンになってもらう、最終的に購買してもらうことを目的としたマーケティングの意味です。

 

結婚式場でオウンドメディアを運用する場合のスキーム

34_結婚式場集客におけるオウンドメディア運用

結婚式場集客でオウンドメディアを構築・運用する場合、

  • 結婚式に関する一般的なこと
  • 結婚式場探しのノウハウ
  • お客様の事例

これらの記事コンテンツを制作し、自然検索やSNSから流入を集め、最終的に自社会場の来館予約や資料請求に結びつける、という導線を設計するのがスタンダードな方法だと言えるでしょう。

上図にもありますが、ただ記事をたくさん書いてアップしたらいいというものではなく、来訪後にどんな情報を提供するのか、予約にはどうやってつなげるのか、など後工程の導線を設計することも重要な施策の1つです。

ブライダル企業のオウンドメディア運用事例

34_ブライダル企業のオウンドメディア運用事例

各社の運営事業の違いとコンテンツの違いがあって面白いので、ぜひご覧ください。

 

結婚式場のオウンドメディア運営のメリット・デメリット

34_結婚式場のオウンドメディア運用のメリット・デメリット

メリット

  • コンテンツ増強でサイトセッション増える、会社の資産が増える
  • ブライダル媒体以外の導線で来館予約が増えるので、経路の食い合いではなく純増が可能
  • 直接的な広告宣伝費がかからないので費用対効果を改善できる
  • メディアのブランディングがブランドや会社のブランディングにつながる

大きく分けるとこの4つ。

一度有効なメディアを構築できれば長期間集客経路の1つとして機能してくれるはずです。また、集客できる顧客層はブライダル媒体の顧客層とはまったく別になると予想されるので、来館数の純増が期待できるのもメリットの1つです。さらに、直接的な広告宣伝費はかからないので、式場集客全体の広告宣伝費効率の改善にもつながります。

デメリット

  • ブライダルSEOは大手媒体を中心に競合が強いので検索結果画面の上位表示への難易度は高い
  • 自社メディアのセッション獲得から来館予約に結びつけるまでの導線が遠い
  • 施策に取り組んでから成果が出るまで時間がかかる(セッション獲得まで半年、CVを安定的に獲得できるまで1年は必須)
  • 運用にかかる工数が想像以上に大きい

デメリットというか難しいところですが、ブライダル業界のSEOはすでに激戦区だと思って間違いないので、ボリュームで勝負できない企業はどれだけ独自のコンテンツで認知獲得とファン化を促進できるかがカギになります。

また、メディアでマネタイズするわけではないので来館予約獲得までの誘導をうまく設計しきれるかもポイントの1つです。サイトのセッションは増えてきたけど来館予約に全然結びつかない…、という話もよく聞くので、誘導施策も初めから検討していくことが必要と言えます。

あとは実行から効果までの時間がかかる点について経営陣と認識の齟齬が生まれやすい点、運用工数が意外と大きい点にも注意が必要です。

 

オウンドメディア運用を実行する際のポイント

先ほどのメリットやデメリットや、難しい点を実施前にきちんと理解したうえで意思決定するようにしてください。小綺麗なサイトを作ってそれっぽいコンテンツを作ったら集客できてウハウハ、みたいな話はありえません。

では最後に、実施すると決めた場合に重要だと思うポイントについてまとめます。

34_オウンドメディア運用を実行する際のポイント

1.最初の設計が非常に大事、いきなり始めない

どんな顧客層に、どんな情報を、どういうテイストで届けるのか、マーケティングの上流設計はもちろん、サイトの構成、SEO対策、コンテンツ制作体制の安定稼働、コンテンツディレクションなどオペレーションの設計・運用レベルで決めていかなければいかないことが山ほどあります。

このコンセプトからオペレーションまでの設計が適当なまま始まってしまうと、メディアとしてもすぐにブレてしまいますし、担当者もやってもやっても成果が出ないのでモチベーションが続かなくなってしまいます。

オウンドメディア施策に取り組むと決めたのであれば、とにかくできる限りの準備をしっかり整えてから始めるほうがいいでしょう。特に初めての場合は想定外の出来事の連続だと思うので、専門家に相談して進めていくことをオススメします。

2.成果まで時間がかかることを経営レベルで認識する

担当者レベルだけではなく、経営の意思決定者レベルで「成果が出るまで時間がかかる」ということを認識しておく必要があります。

成果が出るまで時間がかかるので、上層部の理解が甘いと、会社や会場の営業状態によって予算が減らされたり、人員リソースが減らされたり、最終的に企画自体がストップになったり、といったことが起こりがちです。

そうするとせっかく進んでいた企画も止まってしまうので、念には念を押して確認しておくようにしましょう。最初の1年は定量目標に加えない、くらいでもいいかもしれません。

3.目に見えないコストがかかるので、必要な時間は先に必ず確保しておく

担当者レベルでは、先にこの施策にかかる時間を確保しておくようにしましょう。理想は専任で担当者を置ければいいですが、そんなに余裕のある会場や会社はほとんどないと思うので、多くの方がマーケティング業務やプランナー業務の片手間で担当することになると思います。

数字につながりにくい、工数掛かって大変、でもきちんと成功したら大きなリターンがある、というタスクを、本業を持っているスタッフが片手間でやったらほとんどの場合タスクが後回しになってしまいます。

マネジメントをする立場の方や、オウンドメディア施策のプロジェクトマネージャはタスク設計時に先にこの施策の時間を割り当てるようにしましょう。

 

結婚式場のオウンドメディア・コンテンツマーケティングについてまとめ

オウンドメディアやコンテンツマーケティングはある種のマジックワードのように、お金のかからない有料集客施策としてもてはやされていますが、成果を残すためにはしっかりとした準備と安定した運用継続が必要です。

今回の記事では概要と注意点を簡単にまとめただけですが、もし実行する際は特にSEOの専門家などに確認しながらサイト制作を進めたほうがいいでしょう。

当社のコンサルティングサービスでもメディア構築、SEOに関してのご相談は承っておりますので、もしご検討の際はお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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