
ゼクシィ、ハナユメ、みんなのウェディング、ウエディングパーク…、現在の結婚式場探しのメディアの勢力図はハナユメがどこまで伸びるかという点以外はある程度決まってきている感がありますが、これから先はまた新たな動きが起こるのではないと私は思っています。これまでのブライダルメディアは情報の網羅性が差別化ポイントでしたが、これからは独自性に変化していく、という予想です。たくさんの結婚式場の情報が掲載されているメディアよりも、あるコンセプトに特化した結婚式関連の情報に特化して掲載されているメディアの方が支持を得られやすいのではないかと。今回は、今後のブライダルメディアはセレクトショップ化していくと思う話を書いてみました。
セレクトショップとは?
セレクトショップとはアパレルショップ(いわゆる服屋さん)の販売形態の一つで、「他社の複数のブランドを仕入れて販売するショップ」のことを指します。有名なところだと下記のようなところですね。
- BEAMS (ビームス)
- EDIFICE (エディフィス)
- FREAK’S STORE (フリークスストア)
- JOURNAL STANDARD (ジャーナルスタンダード)
- nano universe (ナノユニバース)
- SHIPS (シップス)
- TOMORROWLAND (トゥモローランド)
- UNITED ARROWS (ユナイテッドアローズ)
他社の複数のブランドを取り扱うアパレルショップがすべてセレクトショップというわけではなく、セレクトショップには「ショップならではのコンセプト、テーマがある」というのも定義の1つです。
コンセプト、テーマについては各ショップによって変わってきますが、セレクトショップはいずれも仕入れを担当するバイヤーやショップのオーナーがこだわって商品をセレクトして仕入れを行っています。そのため、自分のスタイルに合った服を選びやすい、店員に相談出来る、といったメリットがあります。
ブライダルメディアがセレクトショップ化していく理由
これまでのブライダルメディアの流れ
ゼクシィが発売される前の結婚式場探しは、そもそも結婚式場の情報がまとまったものはほとんどなく、知り合いの紹介や地元の有名なホテル、宅訪、などで知り検討することがほとんどでした。また、インターネットもなく当然スマホもなかったので、情報へのアクセスが難しく、限られた情報の中で決定していました。
そこにゼクシィが登場し、全国の結婚式場情報はこれを見ればOKというメディアにまで成長しました。最初は雑誌が主流でしたが、ゼクシィネットやゼクシィなびも作られ、雑誌、ネット、対面のいずれの接点でも利用できる媒体になっています。
現在のブライダルメディア
その後、結婚式場ユーザーの口コミサイトとしてみんなのウェディングとウエディングパーク、直近検討者にお得なハナユメ(当時はすぐ婚navi)、マイナビウエディングやぐるなびウェディングなども生まれ、現在では数種類のメディアがある状態です。
現在のブライダルメディアの競争要因は下記の2つ。
- 情報の網羅性
- 独自コンテンツ・機能
情報の網羅性とは、コンセプトや会場タイプなどに限らずできる限り多くの結婚式場の情報と詳細な情報を網羅的に掲載できること。独自コンテンツ・機能とは、例えばみんなのウェディングとウエディングパークなら口コミ、費用明細など、ハナユメならハナユメ割、などそのメディアでしか得られないユーザーメリットのことです。
このように情報の網羅性を維持しつつ、ユーザーにとってメリットのある独自機能を追加・運営していくことでブライダルメディア間の競争が行われています。これはネットメディアの集客がオーガニックに大きく依存していることにも起因しているのですが、その話は長くなるのでまた今度。
現在のブライダルメディアのユーザーが感じる課題
これまで~現在まではこういった競争でブライダルメディア市場は形成されてきたと思いますが、このモデルも徐々に限界にきていると感じています。
- 爆発的に情報が増えてきているので網羅的過ぎるとその中で自分に合ったものを探すのが大変すぎる
- メディアという特性上、公平に情報を掲載するため違いや特徴がわかりにくく比較するのが難しい
- 写真にしろ見積り情報にしろ、そもそもメディアのフィルターがかかった2次情報なので信用しにくい
などの課題が、SNSの発達などで横のコミュニケーションが容易になってきたことで顕在化してきていると思います。
これからのブライダルメディアの予想
例えば飲食業界だと、網羅性の食べログに対してホリエモンのTERIYAKIやメニューから探せるグルメコミュニティサービス「SARAH」が出てきたりと、特化したサービスが出てきています。
ブライダル業界でも同様の流れが来るんじゃないかなと思っていて、特定の領域やコンセプトに超詳しい人や団体がオススメするニッチな情報の方がユーザーにとっの価値があるんじゃないかと。
- ウェディングコンセプト×会場タイプに特化して詳しいメディアの誕生=ブライダルメディアのセレクトショップ化
こんな感じです。結婚式場だけでなく、特定のコンセプトや会場タイプでトータルプロデュースするのにオススメのアイテムや進行までの情報に特化して掲載、紹介するようなメディアサービスですね。
競争要素が横軸から縦軸へ、さらに深さへと変わっていく。コンセプト×会場タイプで専門性が高い方がよい。
- 結婚式場に関する情報が網羅的に載っているゼクシィ
- カワイイ×ゲストハウスウェディングに限った情報だけを超厚く取り扱っている新メディア
があったとして、カワイイゲストハウスウェディングを検討している人は後者を使おうと思わないですか?って話です。
これまでは仮に後者のメディアがあったとしてもユーザーに認知されることが極めて難しかったのですが、今は個人でもフォロワー数万人を集められる時代です。インスタでそういったアカウントを運営してもし相談したかったらこちらから、という導線でも支持が得られればCVは一定取れると思います。
あと、Chooleやプラコレオンラインのように、本当の意味でのDIYウェディングができる環境が整いつつあることも追い風です。このような新しいプラットフォームをユーザー目線でハックするスキルがあれば、領域特化のDIYウェディングアドバイザーとしてもニーズはあると思います。そうなるとプロデュースサービスを利用しなくてもいいですよね。
- カワイイ結婚式をゲストハウスで挙げたかったらこの人に相談
- スタイリッシュな結婚式を挙げたかったらこの人に相談
- 質はこだわらないからとにかく安く結婚式を挙げたかったらこの人に相談
ほら、こういうポジショニング、なんか可能性有りそうじゃないですか?ゼクシィなどのブライダルメディア市場が食われるというよりはそれはそれとして損じしつつ、特化領域のメディアサービスがポツポツと生まれてくるイメージに近いですね。
もし特化型メディアを始めるとしたら何が必要になる?
個人でもできると思います。フリーランスエージェント、みたいな感じですね。
- できれば顔出しできればなおよし
- 特定のコンセプト×会場タイプに関する情報をとにかく発信する(SNSでもブログでもOK、できれば両方)
- その領域に関してのフォロワーや支持者を集める
- 相談が来るような窓口を用意しておく
- あとは続けるだけ(←これが一番難しいかも)
前提として、ほんとに自分の好きな領域でやったほうがいいと思います。仕事としてやってしまうと続かないですから。好きなことなら続きますからね。
またSNSやブログ書くなどは別に会社辞めなくてもできますから、現役のプランナーの方などでも気軽に始められると思います。なので、まずはリスクを取らずに始めるといいでしょう。
あと、開始して継続しても、たぶんフォロワーやセッションはそう簡単に増えていきません。領域が特化されているからターゲットとなる人が少ないからです。でもエンゲージメントが高ければ大丈夫なので、そこで焦って領域を広げに行ったりしないことも重要になると思います。
セレクトショップ化したメディアで成功するために必要なこと
シンプルに3つ。
- 認知を獲得する
- 信頼を得る
- エビデンスを発信する
とにかく情報を発信する(特にSNSで)ことが大事。だれも触れないようなニッチな内容まで発信を積み重ねることで信頼を得られます。NEXT SNSの世界になるまでは、しばらくはこれで勝てる世界だと思います。
あと、面を取りに行かない、尖り続けることが大事。焦らない。
ブライダルメディアの今後についてのまとめ
ゼクシィ一強時代が長く続いている中で、これから先は個人でもその領域に飛び込める可能性はあるんじゃないかと思います。プロデュースまでしなくてもいいんですよね。そういった特化型零細メディアが乱立してくればいずれはそれのまとめサイトとかも出てくると思います。さて、これからどうなっていくのか?個人的にも楽しみです。
おわり