更新日 2017年04月25日

ブライダルビジネスにおける時間軸のとらえ方

ブライダルビジネスのKPIと時間軸

前回の記事ではブライダルビジネスの構造とKPIについて書きました。
こちらで書いたKPIをきちんとモニタリングできる環境を整え、改善のためのPDCAをまわしていくことが業績を安定させるために大切になるのですが、ブライダル業界の特徴として一般的な他事業と比べて「広告投資から売上までのリードタイムが非常に長い」ということに注意しなければなりません。今日申し込みをして明日結婚式を挙げるカップルはいませんから、今企画検討している、または実行し始めた施策がいつの売上になるのか、その関係性を知っておくことは非常に重要です。今回は、事業者視点から見た時間軸の考え方がテーマです。

結婚式を挙げるまでにはどんな「時間」がかかる?

結婚式を挙げるまでの時間
式場運営側の目線で見た場合、一番最初の活動は広告の企画検討です(本当は式場を建設する場所を探すとことから始まりますが、範囲が広くなりすぎるのでここでは割愛します。新規出店する前に考えるべきこと、などの記事はいずれ書く予定です)。そこから、ユーザーが経ていくフェーズごとにどれくらい時間がかかっているのかというのを以下の6つに分けて解説していきます。

  1. 式場広告を企画してから実際に世の中に出るまでの時間
  2. ユーザーが情報を得てから問合せるまでの時間
  3. 問合せがあってから見学予約が確定するまでの時間
  4. 見学予約が確定してから来館するまでの時間
  5. 見学してから式場に申し込むまでの時間
  6. 式場に申し込んでから結婚式を挙げるまでの時間

式場広告を企画してから実際に世の中に出るまでの時間

ゼクシィなどの雑誌系媒体とみんなのウエディングなどのウェブ系媒体、式場HPなどのオウンドメディアそれぞれで異なりますが、雑誌系であれば1ヶ月前後、ウェブ系であれば即時反映、となります。2つの代表的な媒体について詳細書いてみます(以前ブライダル業界で働いていたときのことなので、今は変わっているかもしれません)。

ゼクシィ

ゼクシィは月刊誌で毎月23日前後に発売されます。ゼクシィに自社の式場情報を掲載するまでの流れは、申し込み→打合せ→校了→掲載。大体の目安として打合せを発売1ヶ月前くらいの時期に行い、その打合せを踏まえてリクルートの製作部が初校を提出し、式場側が修正点を戻して最終決定、となります。つまり打合せで企画検討してから発売されるまでは1ヶ月程度、といえます。当然紙媒体なので発売後の修正は不可能です。

みんなのウェディング

結婚式場選びのための口コミサイト。ウェブサイト相談カウンターを展開していますが、式場予約のほとんどはウェブから入ります。ウェブ掲載は基本半年か1年契約で、式場ごとにどの広告メニューに申し込むかを決めます。シンプルに言えばお金を払えば上位表示やバナーの掲載などをしてくれるというものです。この広告メニューの申し込みは契約期間中はよほどのことがない限り変更は不可能(のはず)なので、契約前にそれぞれの式場にあった広告メニュー・広告プランは何か、というのをしっかり検討しなければなりません。一方、式場ページ内のブライダルフェアの内容の変更やウエディングプランの変更は随時可能なので、その点では雑誌媒体よりもウェブのほうが柔軟ですね。

ユーザーが情報を得てから問合せに至るまでの時間

結婚式場を探し始めたユーザーがゼクシィ買って即日で予約することはほとんどないと思います。いろいろなカップルのケースがあるとは思いますが、お互いに仕事をしている社会人であれば休みが合うのは週末で、二人であれこれ話し合って決めるという段階を踏むので1週間から1ヶ月くらいはかかるでしょう。一方、すでに同棲しているカップルなら一緒に買ってきたゼクシィを読んだりネットで調べた情報を持ち寄ってあれこれ検討できるので1~2週間程度でしょうか。中には、気付けば何冊ものゼクシィが家の中に積まれていく・・・、なんてこともある(らしい)ので、そういう方は探し始めてから数ヶ月後に問合せ、ということになります。
様々なケースがあっても、おおむね2週間程度と見ておくといいと思います。
 

問合せがあってから見学予約が確定するまでの時間

これは問合せの種類によるので分けて考えるべきです。

電話での問い合わせ

ユーザーから電話で問合せが合った場合は、見学の日時調整や見学に当たっての疑問点なども会話の中で解決できるので、ほぼその電話の中のやり取りで決着がつきます。なのでリードタイムはほぼ0日。

来館予約

来店予約はみんなのウエディングのような結婚式場の情報サイトか会場ホームページの来店予約ボタンから入ることがほとんどです。来店予約後の一般的なフローは、フォームに入力された電話番号に電話をかけ、つながって予約内容と相違なければその場で確定、電話がつながらない、式場が定休日で電話をかけるのが次の日になる、といったことがあるとその分だけ確定日が後ろになります。おおむね電話をかけた場合の通電率は30%前後程度なのでリードタイムは1日前後。

資料請求

資料請求をするユーザーは数会場の資料を同時請求し、届いた資料を吟味して実際に見学に行く会場を決めていると想定されます。資料請求から資料の発送まで1日、エリアによりますが資料が届くまでは1日~3日、そこから検討期間が1週間前後あるのでリードタイムとしては平均2週間前後かかります。

空き状況問合せ

空いているかどうか、にもよりますが、空いていればそのまま来館につながりますし、そうでなければ来館につながらないことが普通なので、リードタイムとしては1日前後になります。
 

見学予約が確定してから来館するまでの時間

カップルの休みがあう日は土日祝日、というのが一般的なので、平日に予約が入った場合は早ければその週末、そうでなければ翌週末、そうでもなければ・・・となります。私個人の経験値では、当週末に来館するのが50%程度、翌週末が25%、翌々週末が12%・・・というように1週ごとに半減していくようなイメージです。平均すると2週間程度でしょう。ちなみに、リードタイムが長ければ長いほど来館キャンセルになる確率も高くなるので、式場側としては1週でも早く呼び込みたいところです。
 

来館してから成約するまでの時間

式場の新規接客方針にもよりますが、即決型の場合は0日、仮予約型であれば2週間程度となります。数年前はホテル系の式場は仮予約が主流、ゲストハウス系は即決が主流でしたが最近ではほとんどの式場が即決型での接客スタイルとなっています。
 

成約してから結婚式当日までの時間

ここは本当にまちまちです。早ければ1ヵ月後、という方もいれば、長ければ2年後、という方もいます。平均で見ると6ヶ月~8ヵ月後がボリュームゾーンにはなると思います。
 

まとめると

ブライダルの売上までの時間

M:Month(ヶ月)、W:Week(週)、D:Day(日)

  • 広告を企画検討してから発売まで1ヶ月
  • ユーザーが広告を目にしてから問い合わせるまで2週間
  • 問合せてから来館予約が確定するまで1日
  • 来館予約が確定してから来館するまで2週間
  • 来館してから成約まで0日(即決型と仮定)
  • 成約してから結婚式当日までが6ヶ月

すべて足すと大体8ヶ月程度が平均的といえます。もちろん必ず8ヶ月程度で着地するわけではなく、かなりばらつきがあります。
 

ブライダルのKPIをモニタリングする上でのポイント

ブライダルビジネスのKPIと時間軸
この時間軸とKPIの数値をグラフ化し、関係性を表現するしたものが上の図になります。多くの式場運営会社は実績を月次でモニタリングしているので、ある1ヶ月間(例えば上図だと4月)の反響実績、来館実績、成約実績、売上実績をを切り取って分析した場合、それぞれの数値の相関性はなくて当たり前です。
4月の反響実績は3月に出稿した広告の影響を受けるため、前月にどういった広告を打ち出したのか、を見なければなりませんし、4月の来館は3月の後半から4月の前半にかけてどれくらい問合せがあったのか、を見なければなりません。同様に4月の売上はその1年前から2ヶ月前くらいにかけてどれくらい成約があったのかを見なければなりません。
このように単月の数値を切り取って数値を横並びで見てしまうと、その要因となる事象が起こった時期がそれぞれ大きく異なるので正しい分析ができません。このことにあまり目を向けず「今月は目標達成だ!」といった具合に目先の数値だけを見てマネジメントをしている式場が多いと思っています(主観です)。
きちんとこの時間軸に沿った形での計画を立て、過去分も含めて施策を体系化して管理し、計画→施策→実績、を一連の流れの中で定型化してモニタリングすることが重要です。そのためのツールとしてあるのが「階段表」と呼ばれるものです。
ブライダル業界でそれなりに長くお仕事されている方であれば聞いたことや見たことはあるかもしれませんが、その概念と使い方については次回書いてみようと思います。
 
おわり

市川 貴之

この記事を書いた人
市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル業界で働く人のよりどころに」をビジョンに掲げ、ブライダルコンサルティング、ブライダル業界専門の転職支援サービスを運営しています。お仕事の依頼は「お問合せ」、転職のご相談は「ブライダル専門の転職相談」からお受けしております。

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