
ブライダルの媒体の運用はしっかりと体制を構築して取り組んでいるところも多いですが、結婚式場ホームページは一度作って放置気味、という式場も多いのではないでしょうか。せっかくホームページがあるのに集客に活かしきれていないのはもったいないですよね。ただ、ブライダルのホームページからの集客をアップしたいけど何から始めたらいいかわからない、という方も多いと思います。ホームページ集客はブライダルの知識や経験だけではなく、ウェブの知識も必要になってくるので、そのあたりが難しいと感じている理由かもしれません。そこで、今回の記事ではブライダル業界における結婚式場ホームページからの集客強化のポイントをまとめました。ホームページを見直すひとつのきっかけになってくれると嬉しいです。
ホームページからの集客の構成要素
基本的な考え方
結婚式場のホームページに限らず、予約や登録などを目的としているウェブサイトでは、シンプルに以下の数式で表すことができます。
サイト訪問数×目標完了率=目標数(予約数や登録数など)
これをブライダル業界に置き換えると、
ホームページ訪問者数×来館予約完了率=来館予約数
となります。結婚式場集客における目標は「来館予約の獲得」なので、この目標を達成するためには、
- ホームページの訪問者数を上げる
- 来館予約完了率を上げる
のいずれか、または両方を実現すればいいのです。
ホームページへはどこから訪問してくるのか?
ユーザーがホームページへ訪問してくる経路は、大きく分けると「自然検索」「SNS」「ウェブ広告」「外部サイトからのリンク」の4つの経路があります。
自然検索
自然検索とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでユーザーが検索し、その検索結果をクリック(スマホならタップ)してホームページに訪問してくる経路のことです。検索されるキーワードには指名検索(結婚式場名やブランド名での検索)と一般ワード(結婚式場 東京、レストランウェディング、など)での検索があります。指名検索はブライダル媒体で会場の存在を知ってから改めて自分で会場名を検索するケースが多いと思います。
SNSからのリンク
最近ではFacebookやInstagram、twitterなどのSNSアカウントを運用している会場も多いですが、Facebookであれば投稿からのリンク、Instagramであれば概要からのリンクで会場ホームページの特定のページに訪問させることができます。
ウェブ広告
リスティング広告やリターゲティング広告、DSP広告、SNS広告や、最近ではネイティブアドや記事広告なども多く取り入れている会場が多いです。これらの広告をクリックすると広告配信時に設定したリンク先にユーザーを訪問させることができます。
ブライダルウェブ媒体などの外部サイトからのリンク
ブライダル媒体からのリンクの代表例だと、ウェディングパークは公式ホームページへのリンクがあるのでそこから来訪したり、自社で複数会場や複数ブランド・サービスを運営している場合は別会場のホームページに貼られているリンクから来訪することです。また、花嫁ブロガーが自分の挙げた会場や見学した会場についてブログを書いているケースも多いので、そういった一般的な外部サイトからのリンクもありますね。
来館予約完了率に関わるホームページのコンテンツは?
結婚式場ホームページにある代表的なコンテンツには以下のようなものがあります。
- ブライダルフェア
- ウェディングプラン
- チャペル・バンケット等の施設紹介
- フォトギャラリー
- ドレス、料理などウェディングアイテムの紹介
- ウェディングレポート
- プランナーブログ
上記はあくまでコンテンツの一例で、すべてのホームページにこれらのコンテンツがあるわけではないですが、これらのコンテンツのボリュームや充実度が来館予約完了率に影響を与えると言えるでしょう。逆に運営会社やサイトマップ、プライバシーポリシーといったページは、来館予約完了率にはあまり影響ないと思います(なくていいというわけではないですが、こだわる必要はないと思います)。
ではここまで上げたような、流入経路ごと訪問数、ホームページ内のコンテンツをどのように改善して来館予約数を伸ばしていけばいいのか、詳しく見ていきましょう。
訪問数を増やすための4つの施策
基本的な方針として、流入経路ごとに対策を企画・設計し、それを忠実に実行していくことが重要になります。
自然検索からの訪問数を増やす
自然検索からの訪問数を増やすための対策をSEO対策と呼びますが、SEOとは、Search Engine Optimizationの略称で、頭文字をとってSEOと呼ばれています(日本語では「検索エンジン最適化」とも呼ばれます)。簡単に言うと、検索エンジンのアルゴリズム(表示順位を決定するロジックのこと)を理解したうえで、ユーザーにとって価値のある良質なコンテンツを作成し、Googleのクローラーにとって適した形のサイト内の構造に設計する、さらに良質な外部サイトからの被リンクを獲得する、ということを実行していくことが必要です。「SEO対策」というワードはかなり一般化してきているので聞いたことがあるし実行したいと思ってはいるものの、どんな対策を実行すると本当に効果があるのかわからなかったり、もはや何から手を付ければいいのかわからなかったりする担当者も多いと思います。今回の記事ではSEO対策の詳細は書きませんが、別記事で詳しくまとめていますのでそちらを参考にご覧ください。
【自然検索からの訪問数を増やすための施策】
- 施策概要:結婚式場ホームページのSEO対策
- 必要なコスト:小さい(ただし外部の代理店やコンサルティング会社を利用する場合はその分費用はかさむ)
- 必要な工数:大きい(コンテンツの制作やサイト管理に多大な工数がかかる)
- 獲得可能性のある流入数:大きい(うまくビッグワードで上位表示されればインパクトは大きい)
- 成果まで必要な期間:長い(コンテンツ制作やサイト内改善を施してから実際に成果が出るまでの期間は少なくとも半年は必要)
SNSアカウントからの訪問数増やす
SNSからの訪問数は以下の数式で表すことができます。
- SNS経由の訪問者数=SNS上のリーチ数×リンククリック率
- リーチ数=フォロワー数×投稿数×表示率(≒エンゲージメント)
つまり、FacebookやInstagramのアカウントを運用し、フォロワーを増やし、フォロワーにとって有益な情報を提供する投稿を安定して続けること、が重要です。せっかくアカウントを運用しても営業投稿ばかりだとエンゲージメントは上がらないのでご注意を。また、アカウント開設初期はフォロワー獲得のための広告の利用も検討してみるのもいいでしょう。ブライダル系のフォロワーを多く獲得しているアカウントには以下のようなところがあるので、どんな投稿をどれくらいの頻度で行っているかをぜひ参考にしてみるといいでしょう。
Facebook
他にもたくさんありますが、多くのフォロワーを抱えているアカウントですので参考になると思います。また、もしFacebookを運用しているけど思ったように成果をあげられていない場合は、以下の記事も参考にご覧ください。
【SNSからの訪問数を増やすための施策】
- 施策概要:オリジナルアカウントの開設・運用
- 必要なコスト:無し(アカウントの開設や運用は無料でできる)
- 必要な工数:大きい(投稿コンテンツの制作や配信設定、効果検証にかかる工数は大きい)
- 獲得可能性のある流入数:小~大(フォロワー数が増えればインパクトは大きいが少ないと雀の涙)
- 成果まで必要な期間:長い(地道なユーザーコミュニケーションが必要)
ウェブ広告からの訪問数を増やす
近年のウェブ広告は本当に多様になってきていますが、ブライダル業界でよく使われている代表的な広告手法には以下のようなものがります。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- SNS広告
- DSP広告
- 記事広告
いずれの方法であっても、SNS広告の自然拡散を除き基本的にクリックかインプレッション単位でコストが掛かります。逆に言えば、コストさえかければどこまででも訪問者数を増やせますが、安価に広告をばらまいて訪問者数だけ増えても来館予約しなければ意味がないので、広告単位の来館予約完了率(CVR)や費用対効果(CPA)などの指標とセットで成果を見るようにしましょう。
参考記事として、各広告手法別の詳細解説記事のリンクをいかに載せておきますので、こちらも参考にご覧ください。
【ウェブ広告からの訪問数を増やすための施策】
- 施策概要:ウェブ広告の出稿・運用調整
- 必要なコスト:大きい(クリック、インプレッション毎に費用が発生する)
- 必要な工数:小さい(継続的な運用調整は必要なものの、新規コンテンツ制作は不要なので相対的に小さい)
- 獲得可能性のある流入数:中(投下可能な広告宣伝費予算次第)
- 成果まで必要な期間:極めて短い(配信設定を完了したらその日のうちに配信可能)
ブライダル媒体など外部サイトのリンク経由の訪問数を増やす
会場サイトへのリンクを掲載できる媒体はウェディングパークが代表的ですね。その他でもリンクを掲載可能な媒体もないことはないですが、大手媒体ではウェディングパークだけなので、それ以外のところからのリンクの獲得を目指していきましょう。自社で複数事業を運営している場合はそれぞれのサイトからの相互リンクは必須、それ以外のサイトでも積極的にリンクをもらえるようなところを探して行くことが必要です。リンクそのものからの訪問の獲得という狙いもありますが、SEO対策の一環としても効果的です。
【外部サイトリンクからの訪問数を増やすための施策】
- 施策概要:外部サイトリンク
- 必要なコスト:無しまたは小さい(ウェディングパークの出稿には費用がかかる)
- 必要な工数:小さい(一度リンクを張ってもらえればその後はリンク切れのチェックくらいしかすることはない)
- 獲得可能性のある流入数:小さい(リンク元のサイトのユーザー数に依存する)
- 成果まで必要な期間:長い(リンク自体はすぐに設定できるが成果を得るには相応数のリンクが必要なので時間かかる)
訪問数を増やすための施策まとめ

予約完了率を上げるための4つの施策
続いて、予約完了率を上げるための施策です。結婚式場探しのように意思決定までのハードルが高い商材の場合、いきなり来館予約フォームに行くのではなくサイト内の多くのコンテンツページを見てから予約することがほとんどなので、コンテンツを充実させるということを前提として上で、重要なポイントを挙げていきます。
ユーザーが使いやすいサイト構造にする
関連性の高いコンテンツページごとにユーザーが遷移しやすい設計を心がけましょう。どこに何の情報があるのかわからないサイトはユーザーの離脱率を高くしてしまいます。例えば、PCのグローバルナビやSPのハンバーガーメニューを設置すれば確かにどのページにも行くことはできますが、プランを見たらそのままブライダルフェアページに飛べたり、フォトギャラリーから施設情報ページへ飛んで詳しく見れたほうが親切でしょう。またSEO観点でも、Googleのクローラーがサイト情報を読み取る際にもリンクをたどってサイト内を移動するので、適切なサイト内リンクを設置していたほうがクローラーが早くサイト情報を読み取れるようになります。ユーザーにとっても、Googleのbotにとっても優しいサイトを目指しましょう。
魅力的なブライダルフェアの設計・設定する
多くのお客様は来館予約をする際に、ブライダルフェアページから予約をします。そのため、せっかくいろいろコンテンツを見てテンションが上がっても、最後のブライダルフェアがイマイチだと、ここで離脱しています。「魅力的なブライダルフェア」についての詳細は以下の記事に書いておりますので、参考にご覧ください。
入力しやすいフォームに改善する(EFO)
ブライダルフェアの一部とも言えますが、フォーム部分は特に重要なポイントなので1つの施策として切り出しました。来館予約情報などを入力するフォームを最適化することをEFO(Entry Form Optimization)と言いますが、ここを来館予約前の最後の最後のステップなのでできるだけユーザーにとってストレスなく入力できるフォームを目指しましょう。
主なフォームでの離脱原因には以下のようなものが挙げられますが、これらに対して現場のオペレーションに影響を与えない範囲でEFO施策を実行していく必要があります。
- フォームの項目数が多く、全体的に長い
- フォーム入力の段階が多い
- 入力がリセットされてしまう
- 必須項目がわかりにくくエラーになりやすい
- 半角全角の指定がありかつわかりづらい(のでエラーになりやすい)
- フォーム内にTOPもしくは他ページへのリンクがある
例えば結婚式場の予約フォームでは、結婚式の希望時期や招待予定人数、こだわりたいポイントなどの項目を必須で設定しているフォームをよく見かけますが、結婚式場探しを始めたばかりのユーザーはこのあたりの項目を決めていないことも多いので、入力を求められることをストレスに感じている可能性もあります。新規接客時にこの情報がないと絶対にできない!ということもないと思うので、思い切って外してみてフォームを短くする、といったことも実施してみるといいと思います。
ウェブ広告用の専用LPを作る
ターゲティングにもよるけど、ウェブ広告を利用する場合は(特にリターゲティング広告)、専用LPを作ってストレートにブライダルフェアや来館予約ページに誘導したほうがいいでしょう。広告配信ごとにLPを最適化させることをLPOと言いますが、それなりの広告費をかけるのであれば、広告運用だけではなくランディングページにもこだわったほうがいいでしょう。
一般的なLPの基本構成には以下のような項目があります。
- メイン画像やキャッチコピー
- 共感メッセージ
- 解決策の提示
- 商品の強み
- 商品の実績や信頼性
- オファー
これらの1つ1つの要素のクオリティを上げたり、順番を入れ替えてみたり、試行錯誤を繰り返して来館予約率の改善を目指しましょう。
予約完了率を上げるための施策まとめ

まとめ
ホームページは会場の顔と言ってもいいでしょう。表向きのデザインにこだわるのももちろんですが、基本的な考え方に基づいてサイト内コンテンツの拡充やサイト内導線の設計などの対策もしっかり行って、来館予約を獲得できる力強いホームページにしましょう。
おわり