
今回の記事では、ブライダル業界における「結婚式の装花・フラワーアイテム」の市場規模を算出しました。結婚式場、特に披露宴会場を彩る会場装花に、ブーケなどのフラワーアイテムは、結婚式に欠かせない商品の1つです。また打合せの観点では料理や衣装と並んで単価アップしやすいアイテムの1つで、装花の単価アップをどのように設計していくかによってアップ額も大きく変わってきます。基本的にブーケは挙式・披露宴組数、会場装花は披露宴組数とほぼ比例した市場規模推移をします。既に結婚式場を運営している会社であれば自社のフラワーブランドで外部への拡販を狙う場合、異業種からの新規参入を検討している方などの参考になればと思います。
結婚式の装花・フラワーアイテムとは?
結婚式の装花は、大きく分けると会場装花とブーケやケーキフラワー、キャンドル装花などのフラワーアイテムの2つに分かれます。今回の記事ではそれぞれの市場規模を算出し、合算したものを「装花・フラワーアイテム市場」の市場規模としています。
また、市場の位置づけでは、ブライダル関連市場>挙式披露宴・披露パーティ市場の中の一部、と言えるでしょう。
結婚式の会場装花の市場規模
市場規模の算出方法
まず結婚式の会場装花の市場規模の算出方法ですが、以下の数式で算出できます。
結婚式の会場装花の市場規模=婚礼実施組数×会場装花購入率×1組当たりの会場装花単価
つまり
- 婚礼実施組数
- 会場装花購入率
- 1組当たりの会場装花単価
この3点がわかれば算出可能となりますので、それぞれの数値を見てみましょう。
婚礼実施組数のデータ
会場装花が購入されるスタイルの結婚式が対象となるので、挙式のみのスタイルの割合は除いています。
2017年の婚姻組数 | 608,085組 | 出典:ブライダル総研 |
挙式・披露宴実施率 | 55.3% | 出典:ブライダル総研 結婚総合意識調査2017 |
608,085×55.3%=336,271組
会場装花市場の算出対象となる年間の結婚式実施組数は「336,271組」となります。
会場装花購入率のデータ
会場装花を用意した | 93.8% |
会場装花を用意しなかった | 6.2% |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
会場装花の購入率は「93.8%」となります。
1組当たりの会場装花単価のデータ
5万円未満(0を含む) | 9% |
5~10万円未満 | 17.5% |
10~15万円未満 | 24.1% |
15~20万円未満 | 14.8% |
20~25万円未満 | 15.1% |
25~30万円未満 | 5.2% |
30~35万円未満 | 7% |
35~40万円未満 | 1.5% |
40~45万円未満 | 2.1% |
45~50万円未満 | 0.6% |
50万円以上 | 3.1% |
平均・万円 | 16.9万円 |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
1組当たりの会場装花単価の平均は「16.9万円」となります。
結婚式の会場装花の市場規模は?
ここまでのデータをまとめると以下のようになります。
婚礼実施組数 | 336,271組 |
会場装花購入率 | 93.8% |
1組当たりの会場装花単価 | 16.9万円 |
結論は「約533億円」となります。続いて、ブーケなどのフラワーアイテムの市場規模です。
結婚式のフラワーアイテムの市場規模
市場規模の算出方法
結婚式のフラワーアイテムの市場規模の算出方法も先ほど同様、以下の数式で算出できます。
結婚式のフラワーアイテムの市場規模=婚礼実施組数×フラワーアイテム購入率×1組当たりのフラワーアイテム単価
つまり
- 婚礼実施組数
- フラワーアイテム購入率
- 1組当たりのフラワーアイテム単価
この3点がわかれば算出可能となりますので、それぞれの数値を見てみましょう。
婚礼実施組数のデータ
ブーケは挙式でも使用するので、こちらは挙式のみのスタイルの割合も含んでいます。
2017年の婚姻組数 | 608,085組 | 出典:ブライダル総研 |
挙式・披露宴実施率 | 65.3% | 出典:ブライダル総研 結婚総合意識調査2017 |
608,085×55.3%=397,079組
フラワーアイテム市場の算出対象となる年間の結婚式実施組数は「397,079組」となります。
フラワーアイテム購入率のデータ
フラワーアイテムを用意した | 100% |
フラワーアイテムを用意しなかった | 0% |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
フラワーアイテムの購入率は「100%」となります。
1組当たりのフラワーアイテム単価のデータ
1万円未満(0を含む) | 8.9% |
1~2万円未満 | 10.7% |
2~3万円未満 | 11.7% |
3~4万円未満 | 21.2% |
4~5万円未満 | 10.9% |
5~6万円未満 | 11% |
6~7万円未満 | 7.1% |
7~8万円未満 | 4.4% |
8~9万円未満 | 4.1% |
9~10万円未満 | 1.2% |
10~11万円未満 | 4.7% |
11~12万円未満 | 0.3% |
12~13万円未満 | 0.8% |
13~14万円未満 | 0.3% |
14~15万円未満 | 0% |
15万円以上 | 2.6% |
平均・万円 | 4.5万円 |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
1組当たりのフラワーアイテム単価の平均は「4.5万円」となります。
結婚式のフラワーアイテムの市場規模は?
ここまでのデータをまとめると以下のようになります。
婚礼実施組数 | 397,079組 |
フラワーアイテム購入率 | 100% |
1組当たりの会場装花単価 | 4.5万円 |
結論は「約179億円」となります。
結婚式の装花関連の市場規模の合計
会場装花とフラワーアイテムのそれぞれの市場規模は以下の通りです。
会場装花の市場規模 | 533億円 |
フラワーアイテムの市場規模 | 179億円 |
会場装花とフラワーアイテムを合算した装花関連の市場は、533億円+179億円=「712億円」となります。
ちなみに、挙式披露宴・披露パーティ全体の市場規模は約1兆2,900億円程度と予想されているので、全体の5%程度と規模としては小さいですが、地域や有力なトップシェア企業がいるわけではないので魅力的かどうかは目指す事業規模と事業形態次第かなと思います。また今回の記事では全国計の規模を出していますが、出典元のデータでは最小で都道府県単位のデータも取得可能なので、進出を検討されている場合は同じロジックでより細分化された数値を出されるとよいかと思います。
また、別記事で結婚式の装花以外の市場についても分析した記事を参考で載せておきますので、興味あればご覧ください。
まとめ
特定の地域(首都圏など)で年商1億円程度の規模を目指すのであれば、現時点でそれなりの規模があり今後微減ではあるものの堅調な推移と予測されるので「魅力的な市場」となるかもしれません。ただ、これから参入して10億円以上の売上を目指していくのであれば圧倒的なコストパフォーマンスかクオリティなどの特徴がないと相当厳しいと言えるでしょう。また、これから市場参入する場合に一番のネックとなるのは会場側のスイッチングコストをどう突破するかだと思いますので、まずはそこの戦略・戦術をしっかり固めるところの検討から始めるといいと思います。
おわり