
個人として独立している方も含め、ブライダルコンサルティングを行う会社が増えてきています。結婚式場運営における課題もかなり幅広くなってきており、その中でも特に集客部分で課題を感じている経営者や会場責任者は多いのではないでしょうか。結婚式マーケットの縮小、なし婚層の増加、媒体の多様化、SNSの浸透、スマホの普及、など結婚式場集客を取り巻く環境はめまぐるしく変化してきており、担当者がすべてをキャッチアップしながら最適な施策を打ち続けていくことはかなり難易度の高い業務ですので、外部のコンサルタントを頼るべきシーンも増えてきていると思います。そこで、今回の記事では集客改善を目的としてブライダルコンサルタントに依頼する場合の注意すべきポイントをまとめました。結婚式場の集客担当者や責任者にとって参考になればと思います。
目次
ブライダルコンサルティング会社とは?
まず「コンサルティング」とは何かについてですが、一般的にコンサルタントもしくはコンサルティングとは「クライアントの経営上の課題を明らかにし、その解決策を提示するまた実行フェーズまでを行うこと(職業)」と言われています。よく言われるのは「会社のお医者さん」と例えられることが多いですね。
おなかが痛ければ内科に行き、目の調子が悪ければ眼科に行き、花粉が辛ければ耳鼻科に行くのと同じように、会社の中で人事課題があれば人事/HRコンサルタント、会社の経営方針について悩んでいれば戦略コンサルタント、システムの導入や改修を検討しているならITコンサルタントに相談する、といった具合です。
世の中には自称も含めるとかなりの数のコンサル会社やコンサルタントが存在しますが、コンサルタントが得意とする領域と、相談したい・解決したい経営課題がマッチしていないと多くの場合うまくいきませんので、外部のコンサルタントに依頼するときはその点に注意が必要です(軽めの営業マンは「何でもできます!」って言ってきますが、だまされないように気を付けてくださいね)。
ブライダルコンサルティング会社とは、ブライダル業界の課題解決のサポートを専門に行っているコンサルティング会社のことです。もう少し細かく言うと、ブライダル企業の課題といっても
- 集客・マーケティング
- 営業・セールス
- 打合せ・単価アップ
- 組織設計・採用・育成
- 経営戦略・事業戦略
など様々なので、ブライダル業界特化の〇〇コンサルティング、まで言っている特化型コンサルティング会社もありますし、業界特化でどんな課題でも対応します、ちう業界特化型総合コンサルティング会社もあります。
今回の記事では、営業、成約率に課題がある会場が、営業改善やスキル研修などが強いブライダルコンサルティング会社にコンサルティングを依頼するときにどんなことを注意したらいいかのポイントをまとめます。
結婚式場の新規営業の主な課題
結婚式場の抱える新規営業の課題は、以下のようなことが多いです。
- 成約数が少ない、または成約率が落ちている
- エースプランナーが異動・退職してチームの成約率が落ちた
- ノウハウやスキルが個人に依存していてチームとしての成長ができない
- 新人が入った後の研修や育成が体系化されておらず戦力化に時間がかかる
- 近隣に競合会場ができて成約率が落ちた
- 競合会場が値下げをしてきてこれまでの値引きでは成約できなくなった
- スタッフの数が足りず繁忙期の新規来館を受けきれない
- 広告の打ち出しを変えたら客層が変わって成約率が落ちた
- どういう条件で成約を取ると売上目標が達成できるかわからない
- 土曜日の大安を値引きなしとしているが結果的に売れ残ることが多い
- どれくらい値引きを使ってでも取るべきかの判断基準がわからない
- 成約目標は達成しているのに売上目標に届かないことが多い
営業に強いブライダルコンサルタントはこれらの課題を解決してくれるスペシャリストですが、いきなり成約率を高めてください!とお願いしてもちょっと待って、となってしまいます。実際、上の10個の課題も、課題によって打つべき施策は大きく異なります。そこで次に、依頼前に少なくとも整理しておきたいポイントをまとめます。
コンサルティング会社に依頼する前に明確にしておきたいポイント
目的を明確化する
営業改善に限らず、コンサルタントに相談するときは、目的をできるだけ詳細に決めておくことが大切です。その際、目的と考えていた数値や仮説が間違っていてもかまいません。まずは自分たちなりの改善策を考えておくことが重要です。そのように考えておくことによって、コンサルタントに「この人たちは何もわかってないな」と足元を見られることもないですし、課題解決の施策を検討していく会話もかみ合うことが多くなります。
目的を具体化する方法としては、先ほど挙げた課題の詳細を詰めていくイメージです。
- 成約率が落ちたことへの改善目的
- 個人のスキルに依存しない安定した育成を実現したい
- 次の繁忙期の成約数をなんとしても担保したい
- 競合会場とバッティングしたときの営業トークを一緒に考えてほしい
- 営業戦略を立てたい
- 適切な値引きロジックを考えてほしい
- 前倒しの必要性や施行枠への誘導の方針を考えてほしい
- 成約と売上の相関をクリアにしたい
このように、具体的に「何のテーマを依頼するのか」を明確にし、成約率や成約数を伸ばすことを目的とするのであれば「具体的にいつまでに何%にしたいのか」ここまでを決めた状態から相談するようにした方がいいと思います。もし、何が課題かもわからず目的が設定できない、ということであれば、「課題を発見することを目的とする」と決めてコンサルタントに相談しましょう。
依頼する方法を決める
成約率改善の方法は大きく2つに分けられます。
- 研修や育成をして現メンバーの新規営業スキルを改善する
- 外部のスーパープランナーに来てもらって成約を直接取ってもらう
1の方法は時間がかかりますが、成約を取るためのノウハウやそれを身に着けるプロセスをきちんと会社のノウハウとして残すことができれば再現性高く育成することができるのがメリットです。
2の方法は即効性が高いことがメリットです。極端な話ですが契約の翌日から来てもらうことも可能でしょう。しかし、その人に来てもらっている間は業績は担保できますが、いなくなると結局また元に戻ってしまいます。
なので、本当は1の方法が取れるといいのですが、すでに12月で繁忙期までもう時間がない!というときに2の方法を取りつつ本質的な解決策にも手を付ける、という方法がいいでしょう。
これまでの数値を整理する
先ほどの1のように、研修や育成について依頼する場合、これまでの営業数値を明確にしておいた方がいいです。
- 月別の来館数、成約数、成約率
- 担当者別の接客数、成約数、成約率
- 接客時間別、来館者別、媒体別など詳細な成約数、成約率
少なくとも成約率に関するデータは事前に出しておくようにしましょう。コンサルタントとのファーストコンタクトの時に詳細の話ができることが一番のメリットですが、事業運営の重要なデータでもあるので具体的な数値を教える前にNDA(秘密保持契約)も結んでおいた方がいいと思います。
もし、外部のプランナーに接客に出てもらう場合は、提示してよい値引額、施行枠、など接客に関する条件は一覧化しておいた方がよいでしょう。
予算額と期待する時期を決める
また、支払える予算と時期も決めておきましょう。営業改善のコンサルティングはシステム開発などと異なり明確な成果物がないので、いつまでにどのような数字にしたいのかという目標数値と期間を先に決めておき、その条件下で御社だったら何ができるのか?というスタンスで提案をしてもらうのがコツです。ここを決めてから契約をスタートさせないとズルズルと毎月コンサルフィーだけを取られてしまいますし、このコンサルタントに仕事を依頼して成功だったのかどうかの判断もできません。
もう少しで成果が出ます、いい感じで上がってきているので(KPIが)あと少しです、などといって契約を引き延ばそうとするのは悪徳業者の常とう手段なので、先に期限と予算を決めておくことは大事です。
成約率改善に強いブライダルコンサルティング会社
最後に、主観で恐縮ですが、成約率改善に強い(と思う)ブライダルコンサルティング会社をご紹介します。実際にサービスを受けたことはないですが、サイト上で公開されている情報や業界誌などでの活躍を見て、って感じな根拠なのであくまで参考程度にご覧ください。
NEXT INNOVATION
結婚式場の運営受託や事業再生、コンサルティング事業を中心にするネクストイノベーションが提供するコンサルティングサービス。幅広いブライダルコンサルティングを中心に展開しているのでそのノウハウを活かした提案が可能。完全成果報酬型であることも特徴。
メニューの中に、成果報酬型の新規接客代行とプランナー育成が両方あるので、営業に関する課題に対して様々な方法でコンサルティングしてもらえそうです。
New Value Frontier
自社での結婚式場運営だけでなく運営受託なども手掛けている株式会社ニューバリューフロンティアが提供するコンサルティングサービス。集客、営業、人材派遣と幅広いニーズに対応できるソリューションを提供しています。
コンサルティングメニューの中の「ブライダルセールスサービス」は婚礼施設の成約率アップ、中でも“即決”に主軸を置いた計8回のセミナーで、接客理論研修と台本作成、ロールプレイングで進める、実践的な構成となっています。
クラリスウェディングプランナー研究所
組織全体が自走できる仕組みづくりをすることをミッションとして掲げ、ウェディング会場を中心としたウェディング業界従事者に対して教育研修を提供しています。新規に特化しているわけではないですが、プランナーの育成全般に対してのプログラムが用意されています。
また、今回ご紹介した会社以外にも、もっと詳しく知りたい方は以下の記事にまとめてありますのでご覧ください。
(リンク)ブライダルコンサルティング会社まとめ
成約率改善ブライダルコンサルティングについてまとめ
コンサルティングを依頼するときのポイントをまとめました。特にマーケットがどんどん縮小してきている今では、成約率の低下は結婚式場の業績にとって致命的です。ノウハウが属人化しやすく人材の流動性も高いので会社としてのノウハウの蓄積が難しいという側面はあるものの、もし自社内で解決しきれない課題があるのであれば外部の意見も適切に取り入れつつ、それぞれの式場にとって最適な施策を実行していってもらえればと思います。
おわり