結婚式場の集客に広告宣伝費はどこまで突っ込んだらいいのか?

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ゼクシィの掲載費が高すぎる、ハナユメの手数料が高すぎる、広告宣伝費が多すぎる…、こういった悩みを抱えている結婚式場は多いと思います。その一方、広告宣伝費を削りすぎてもし来館がなくなってしまったらどうしよう…、という不安も同時にあり、何とか抑えたいと思うけど、どこまでどうやって出稿をコントロールしたらいいのか迷ってしまう方も多いでしょう。そこで、今回の記事では結婚式場の広告宣伝費は何を基準にどこまで突っ込んだらいいのかについて、その考え方をまとめました。ブライダル経営者や式場責任者の方にとって参考になればと思います。

結婚式所運営における広告宣伝費の問題

結婚式場の売上高に占める広告宣伝費率は、上場企業で平均10%弱程度なので、他の業界などと比較するとそこまで高いわけではありません。例えばゲームアプリの会社とかだと広告費率30%といったことも普通にあるので、そういった業界と比べると低くすら見えます。

ちなみに、具体的な数値などについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ブライダル業界の利益率はどれくらい?結婚式場PLの読み方と上場4社の直近決算比較

では、ブライダル業界の広告宣伝費は何も問題がないのでしょうか?

そんなことはないですよね。

ブライダル業界(結婚式場運営)の場合、固定費で人件費と地代家賃・減価償却費という2大コストが必ずかかります。しかもかなりの割合で。そのため、利益を出すためにはできるだけ広告宣伝費を抑えて効率的に集客をしていく必要があります。

ただ、あまりに効率を追い求めすぎて広告宣伝費を減らしてしまうと、今度は逆に来館数が減りすぎて売上が下がってしまいます。そうなると売上高に対する固定比率(人件費+地代家賃・減価償却費)が高くなるので、これまた効率的な経営ではなくなってしまいます。

このように、多くかけすぎると利益が出ない、抑えすぎて売上が減っても利益が出ない、どのバランスが最適なのか?そのバランスはどのように見つけたらいいのか?こういったところがブライダル業界における広告宣伝費の大きな課題になっているんですね。

効率的な経営を行うためにも、経営層や特に管理職以上の方は基礎的な理解としてその考え方を知っておくことが重要になります。

 

広告宣伝費はどこまで突っ込んでもいいのか?

この問いに対して考えるべき(知っておくべき)KPIは2つ。

  1. 施行枠稼働率
  2. 利益の出る上限のCPA

結論を先に書くと、施行枠稼働率が上限にヒットするか広告宣伝費が大きすぎて利益が出なくなるか、どちらかの上限にヒットするまで広告宣伝費を突っ込み続けたほうが営業利益額は大きくなる、となります。根拠はないけど来館単価5万円にするべき、とか売上高広告宣伝費率を10%以下にすべし、など広告予算を決める時の基準は各社様々なようですが、基本的な考え方はこのようになります。

1.施行枠稼働率の上限にヒットするとはどういうことか?

まず定義から。

  • 施行枠稼働率=施行数/施行枠数

例えば、1バンケ当たり1日2組の施行を受けられる会場があった場合、1日当たりの上限数は4枠です。なので、土日祝日数が10日の1か月間では、4枠/日×10日=40枠、これが施行枠数になります。

その1か月間に、40組を受注をすれば稼働率100%、20組であれば50%、10組であれば25%、になります。この〇〇%が施行枠稼働率です。

「施行枠稼働率が上限にヒットする」とは、もうこれ以上受けられないよ、ってこと、つまり枠稼働率が100%を超えている状態になることです。施行枠稼働率が100%になっている状態では、これ以上来館があって受注できないので、この状態より広告宣伝費をかけて集客するのは無意味だと言えます。

逆に、枠稼働率が50~60%程度の場合、まだ集客が増えても(=成約が増えても)施行を受け入れるキャパシティが空いているということを意味します。結婚式場運営の場合、施行が入っていない日でも、家賃も減価償却も人件費もかかりますので、施行がないと日単位だと完全に赤字になってしまいますね。

まとめると、施行枠の上限にヒットするとは、施行枠の稼働率が100%になること(超えること)です。

2.上限CPAにヒットするとはどういことか?

同じく定義から。

まず、CPAとは施行1組当たりまたは問合せ1件あたりにかかった広告宣伝費のことです。例えば、広告費100万円を使って、来館が20組、成約が5組だった場合、

  • 来館CPA:5万円/来館
  • 成約CPA:20万円/成約

となります。

上限CPAにヒットするとは、このCPAがいくらになったら成約をとっても赤字になるのかの損益分岐点を超えることを意味します。つまり、これ以上広告費をかけると成約が取れたとしても赤字になってしまうよ、というラインのことです。

こちらの考え方については、以前以下の記事に詳しくまとめていますので、興味ある方はご覧ください。

【ブライダル集客】来館予約のCPA(予約単価)が30万円でも大丈夫な理由

 

どうやったら営業利益が最大化するのか仮説を立ててみる

理論上の数値をシミュレーションしてみましょう

広告宣伝費 CPA 来館数 成約率 理論成約数 施行枠上限 受注数 組単価 売上 原価 広告費を除く固定費 実際の利益 施行枠上限がない場合の利益
100 5 20 40% 8 20 8 400 3,200 1,280 2000 -180 -180
150 5 28 40% 11 20 11 400 4,431 1,772 2000 508 508
200 6 34 40% 13 20 13 400 5,378 2,151 2000 1,027 1,027
250 7 38 40% 15 20 15 400 6,106 2,442 2000 1,413 1,413
300 7 42 40% 17 20 17 400 6,666 2,666 2000 1,700 1,700
350 8 44 40% 18 20 18 400 7,097 2,839 2000 1,908 1,908
400 9 46 40% 19 20 19 400 7,428 2,971 2000 2,057 2,057
450 9 48 40% 19 20 19 400 7,683 3,073 2000 2,160 2,160
500 10 49 40% 20 20 20 400 7,880 3,152 2000 2,228 2,228
550 11 50 40% 20 20 20 400 8,000 3,200 2000 2,250 2,268
600 12 51 40% 20 20 20 400 8,000 3,200 2000 2,200 2,288
650 13 51 40% 21 20 20 400 8,000 3,200 2000 2,150 2,291
700 13 52 40% 21 20 20 400 8,000 3,200 2000 2,100 2,283
750 14 52 40% 21 20 20 400 8,000 3,200 2000 2,050 2,264
800 15 52 40% 21 20 20 400 8,000 3,200 2000 2,000 2,239
850 16 53 40% 21 20 20 400 8,000 3,200 2000 1,950 2,207
900 17 53 40% 21 20 20 400 8,000 3,200 2000 1,900 2,172
950 18 53 40% 21 20 20 400 8,000 3,200 2000 1,850 2,133
1,000 19 53 40% 21 20 20 400 8,000 3,200 2000 1,800 2,092
  • 広告宣伝費:50万円ずつ増やしていった場合のシミュレート
  • CPA:50万円増額するごとに30%ずつ悪化していくと仮定
  • 来館数:広告宣伝費÷CPA
  • 成約率:今回は40%で固定
  • 理論成約数:来館数×成約率
  • 施行枠上限:今回は20で固定
  • 受注数:理論成約数が20を超えなければ理論成約数、超える場合は施行枠上限数
  • 組単価:今回は400で固定
  • 売上:受注数×組単価
  • 原価:売上の40%
  • 広告費を除く固定費:人件費、地代家賃・減価償却費などで今回は2,000で固定
  • 実際の利益:売上-原価-固定費
  • 施行枠上限がない場合の利益:理論成約数×組単価-原価-固定費

今回のシミュレートで用いた各KPIは上記の通りです。固定で置いているものもいくつかありますが、実際に各結婚式場でシミュレートする際は過去の実績数値を用いるようにしてください。

結婚式場の広告宣伝費はどこまで突っ込んでいいのか

上のグラフは横軸に広告宣伝費、縦軸に利益をプロットした折れ線グラフで、広告宣伝費をどこまで突っ込んでいくと利益はいくら得られるのかをシミュレートしたものです(元データは先ほどの表の数値)。

表・グラフを見ていただくとわかるように、広告費が550を超えると理論上の成約数が20を超えていくのですが、そもそも施行枠が20しかないのでこれ以上増やしても意味がありません(成約取れないので)

また、広告費が650万円を超えるとCPAが高騰しすぎるので、ここから先はとればとるほど利益が減っていくゾーンに入ります(一番右の施行枠上限がない場合の利益を参照)。費用対効果悪すぎるんですね。なので、もし施行枠の組み方を変えて30枠に増やしたとしても、650万円以上使うとCPAを改善しない限り、突っ込みすぎ、となるわけです。

先ほどのセクションで書いたように、どこまで突っ込めばいいかの問いに対する回答は

  • 施行枠の上限にヒットするか
  • 上限CPAにヒットするか

のいずれかまでは入れるべき、なので、今回のケースであれば理論上550万円までは入れたほうがいいと思います、というのが私の見解です。

前提とシミュレートする際の注意点

1つ目の注意点として、今回のようなシミュレートは必ず定期的に行うようにすること、です。ブライダル業界のマーケットの環境はかなり変化してきていますので前年と同じことをやったら同じ結果になるだろう、ということはありません。また媒体の勢力図も変化してきていますし、デジタルマーケティングの手法もより多様化してきています。これらについてきちんと勉強し、どの方法が最適なのかまできちんと考えることが重要です。

そしてもう1つの注意点として、各KPIを改善するためのアクションは必ず実行し続けるようにしましょう。

  • CPAを抑えるためのブライダル媒体運用の効率化
  • 成約率アップのための育成や組織作り
  • 単価アップのための打合せメンバーの育成

など。このようなシミュレートは合理的な判断ができることは大きなメリットなのですが、数字がきれいに出すぎてしまうのでそれさえやっていればいいと思われてしまいがち、というデメリットもあります。

例えば先ほどのシミュレートでもCPAを抑えれば利益は増えますし、成約率が高くなればもっと少ない広告宣伝費でよくなるのでやはり利益を増やすことができます(施行枠数の上限にもっと少ない広告宣伝費でヒットするようになるから)。シミュレートで算出した数字を達成することに満足せず、より高みを目指していける組織やマインドづくりも体制です。

 

ブライダルの広告宣伝費どこまで突っ込む?問題に対する考え方まとめ

しつこいですが、

  • 施行枠の上限にヒットするか
  • 上限CPAにヒットするか

ここまでは広告費を投下したほうが、トータルの営業利益額は大きくなります(利益率はまた別の話)ので、投下したほうがいいと思います。概念と考え方の話と簡単なシミュレートの方法は書きましたので、ぜひ皆様の式場の数値を用いて一度考えてみてもらえたらなと思います。

 

おわり

 

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