
今回の記事では、ブライダル業界における「結婚式の二次会」の市場規模を算出しました。通常の結婚式と比べると単価は低いものの、必要な付帯設備や条件が少なく、カジュアルな雰囲気で行えることから一定の人気をキープしており、市場規模としては堅調に推移しています。既に結婚式場を運営している会社が本格的に二次会への事業拡大を検討するケースや、異業種からの新規参入を検討している方などの参考になればと思います。
結婚式の二次会とは?
結婚式の二次会とは、挙式・披露宴とは別に友人などへの結婚披露の場として設ける宴席の場で、元々は新郎の友人たちがふたりの結婚を祝うための集いが、現在の二次会の始まりであったとされます。
結婚式を挙げた会場と同じ会場(の別バンケット)でそのまま二次会を行うケースや、移動して二次会会場で行うケース、または親族だけで海外挙式を行い、後に国内で友人だけを招いて二次会を行うケースなど、列席するゲスト・開催場所の組み合わせはバラエティに富んでいます。
市場の位置づけでは、ブライダル関連市場>挙式披露宴・披露パーティ市場の中の一部、と言えるでしょう。
結婚式の二次会の市場規模
市場規模の算出方法
まず結婚式の二次会の市場規模の算出方法ですが、以下の数式で算出できます。
結婚式の二次会の市場規模=婚礼実施組数×二次会実施率×二次会にかかる単価
つまり
- 婚礼実施組数
- 二次会実施率
- 二次会にかかる単価
この3点がわかれば算出可能となりますので、それぞれの数値を見てみましょう。
婚礼実施組数のデータ
2017年の婚姻組数 | 608,085組 | 出典:ブライダル総研 |
挙式・披露宴実施率 | 65.3% | 出典:ブライダル総研 結婚総合意識調査2017 |
608,085×65.3%=397,079組
年間の結婚式実施組数は「397,079組」となります。
二次会実施率のデータ
二次会を実施した | 54% |
二次会を実施しなかった | 46% |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
二次会実施率は「54%」となります。
二次会にかかる単価のデータ
二次会にかかる単価は「料理・飲料・会場などにかかる費用」と「追加で発注した場合の衣装にかかる費用」にわけて考えることができます。
料理・飲料・会場などにかかる費用
5万円未満 | 4.2% |
5~10万円未満 | 10.8% |
10~15万円未満 | 12.9% |
15~20万円未満 | 13% |
20~25万円未満 | 12% |
25~30万円未満 | 8.2% |
30~35万円未満 | 9% |
35~40万円未満 | 4.4% |
40~45万円未満 | 5.5% |
45~50万円未満 | 3% |
50~55万円未満 | 4.9% |
55~60万円未満 | 1.6% |
60~65万円未満 | 3.8% |
65~70万円未満 | 1.1% |
70~75万円未満 | 1.3% |
75~80万円未満 | 0.3% |
80万円以上 | 3.9% |
平均・万円 | 28.5万円 |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
二次会の料理・飲料・会場などにかかる費用の平均は「28.5万円」となります。
追加で発注した衣装にかかる費用
2万円未満(0を含む) | 46.2% |
2~4万円未満 | 25.2% |
4~6万円未満 | 17.8% |
6~8万円未満 | 3.1% |
8~10万円未満 | 2.3% |
10~12万円未満 | 2.7% |
12~14万円未満 | 0.2% |
14~16万円未満 | 0.7% |
16~18万円未満 | 0.3% |
18~20万円未満 | 0% |
20~22万円未満 | 0.8% |
22万円以上 | 0.8% |
平均・万円 | 3.1万円 |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2017
二次会の追加衣装にかかる費用の平均は「3.1万円」となります。
料理などの費用と衣装の費用を合計すると「31.6万円」となります。
結婚式の二次会の市場規模は?
ここまでのデータをまとめると以下のようになります。
婚礼実施組数 | 397,079組 |
二次会実施率 | 54% |
二次会の平均単価 | 31.6万円 |
結論は「約677億6,000万円」となります。
ちなみに、挙式披露宴・披露パーティ全体の市場規模は約1兆2,900億円程度と予想されているので、全体の5%程度で規模としては小さいですが、地域や有力なトップシェア企業がいるわけではないので魅力的かどうかは事業形態次第かなと思います。今回の記事では全国計の規模を出していますが、出典元のデータでは最小で都道府県単位のデータも取得可能なので、進出を検討されている場合は同じロジックでより細分化された数値を出されるとよいかと思います。
また、別記事で結婚式の二次会以外の市場についても分析した記事を参考で載せておきますので、興味あればご覧ください。
市場規模算出には使わなかった参考データ
最後に、今回の市場規模算出には使わなかったデータも載せておきます。ターゲットを絞った事業展開などを検討されている場合は参考にしてみてください。
結婚式の二次会の実施パターン
国内挙式+披露宴・披露パーティ(招待客50人以上)+二次会 | 80.6% |
国内挙式+披露宴・披露パーティ(招待客50人未満)+二次会 | 9.5% |
海外挙式+披露宴・披露パーティ(招待客50人以上)+二次会 | 1.5% |
披露宴・披露パーティ(招待客50人以上)+二次会 | 0.6% |
国内挙式+二次会 | 0.4% |
海外挙式+披露宴・披露パーティ(招待客50人未満)+二次会 | 0.5% |
海外挙式+二次会 | 0.3% |
披露宴・披露パーティ(招待客50人未満)+二次会 | 0.2% |
その他 | 0.4% |
無回答 | 6.2% |
結婚式の二次会の実施場所
レストラン | 24.6% |
カフェ・バー | 30.7% |
ホテル・式場の宴会場 | 15.2% |
パーティスペース | 7.5% |
居酒屋 | 10.8% |
ホテル・式場のレストラン | 3.5% |
ホテル・式場のラウンジ | 3% |
パブ | 0.6% |
カラオケボックス | 0.6% |
クラブ | 0.6% |
貸しホール・スタジオ | 1% |
その他 | 1.8% |
無回答 | 0.2% |
結婚式の二次会の招待人数
10人未満 | 1% |
10~20人未満 | 4.4% |
20~30人未満 | 11.1% |
30~40人未満 | 17.3% |
40~50人未満 | 14% |
50~60人未満 | 15.1% |
60~70人未満 | 11.7% |
70~80人未満 | 6.1% |
80~90人未満 | 8.8% |
90~100人未満 | 2.4% |
100人以上 | 7.6% |
無回答 | 0.5% |
平均・人 | 51.1人 |
結婚式の二次会の会費平均(男性)
0円 | 0.8% |
3千円未満 | 1.1% |
3千~4千円未満 | 12.5% |
4千~5千円未満 | 12.3% |
5千~6千円未満 | 18.3% |
6千~7千円未満 | 12.8% |
7千~8千円未満 | 14.5% |
8千~9千円未満 | 22.6% |
9千~1万円未満 | 2.1% |
1万円以上 | 3.1% |
平均・千円 | 6.1千円 |
結婚式の二次会の会費平均(女性)
0円 | 1% |
3千円未満 | 2.3% |
3千~4千円未満 | 18.2% |
4千~5千円未満 | 16.1% |
5千~6千円未満 | 19.6% |
6千~7千円未満 | 15.2% |
7千~8千円未満 | 19.6% |
8千~9千円未満 | 6% |
9千~1万円未満 | 0.4% |
1万円以上 | 1.6% |
平均・千円 | 5.4千円 |
結婚式の二次会幹事代行業の利用率
利用した | 13% |
利用していない | 87% |
まとめ
現状で「規模が大きく魅力的な市場」というわけではないですが、市場規模推移は堅調かつウェディングスタイルの多様化から婚礼自体は減っても二次会は生き残っていく可能性もあると思います。また、一般的な披露宴施設と比べて必要な付帯設備も少なく初期投資に大きな金額が必要なわけでもないのも魅力の一つだと思います。もし立ち上げるとした場合、一番のネックとなるのは集客だと思いますので、そこの戦略・戦術さえしっかり固められればそれなりの規模まで成長はできると思います。
おわり