結婚式場の広告宣伝費を「正しく」抑制するために必要なこと

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広告宣伝費を抑制するために必要なこと

3月末決算の会社では今は予算策定の時期ですね。来期会社の目指す営業利益となるように、売上をもっと伸ばせないか!?コストをもっと抑えることはできないのか!?などの調整をされている方も多いのではないでしょうか。結婚式場運営の「コストカット」を考えるときの大きな要素の1つに広告宣伝費がありますが、「広告費をもっと落とせないか」と「来館が減ったら売上も落ちてしまう」のはざまでどのように考えるべきかは難しいところです。そこで今回の記事では、結婚式場の広告宣伝費を適切に抑制するために必要な準備と考え方についてまとめました。予算編成の担当者やマーケティング責任者にとって参考になればと思います。

ブライダル業界の広告宣伝費とは

今回の記事でテーマとする広告宣伝費とは「結婚式場がカップルを集客するために使う広告宣伝費」です。具体的には、以下のような媒体に広告を出稿するときにかかる費用です。

雑誌

  • ゼクシィ
  • 東京ウエディングコレクション
  • レイウエディング
  • レストラン&ゲストハウスウエディング
  • その他地方雑誌

ウェブ媒体

  • ゼクシィネット
  • みんなのウェディング
  • ウエディングパーク
  • ハナユメ
  • マイナビウエディング
  • ぐるなびウエディング
  • その他ウェブ媒体

エージェント

  • ゼクシィなび
  • ハナユメ
  • マイナビウエディング
  • ブラナビ
  • その他エージェント

ちなみに、エージェントに支払う費用は会社によっては、販売手数料として計上しているところもあります。

 

広告宣伝費が業績に与えるインパクト

結婚式場を運営するブライダル企業の広告宣伝費率は高く、対売上で見ても10%近くまたはそれ以上の企業もあります。もともと、結婚式場運営は固定費が非常に大きいビジネスモデルであり、

  • 建設費・施設維持費
  • 人件費
  • 広告宣伝費

この3つがブライダル業界の三大固定費といわれています。つまり、この固定費を以下に抑えることができるかが、高利益体質企業になれるかどうかの分かれ道となるのです。この理屈を知った上で、ブライダルマーケット環境から経営者の思考を紐解いていくと、

  • 結婚式場はすでに共有過剰の状態になっていて、施行枠に余裕がある状態の会場がほとんど
  • さらに、年々マーケットも縮小し続けているので、同じことをやっていると施行組数が減り売上が落ちていく
  • にもかかわらず会場維持費と人件費はかかり続けるので、売上減少は急激に利益を圧迫する
  • そこで、コストを何とかしたいが、会場は数年~十数年程度の固定契約で途中解約は莫大な違約金がかかる、人は解雇できないので会場維持費と人件費はすぐには減らすことができない
  • となると広告宣伝費を減らして少しでも利益率を改善させたい

このように考えるのです。現在プランナーとして働いている方の中には、ゼクシィの出稿を減らせとか、本部や支配人から指示されることもあるかもしれませんが、その背景は上記のようなものがほとんどです。しかし、ここでもジレンマがあり、何も考えずに言われたままに広告宣伝費を減らしてしまうと、そのまま来館減少に直結してしまい、さらに売上が落ちるという悪循環に陥るリスクが極めて大きくなります。そのため、広告宣伝費は慎重に慎重に考えて効率を維持または改善しつつ総額を抑える用にしていかなければいけないのです。

 

広告宣伝費抑制計画を正しく設計するために必要なこと

このように、広告宣伝費を抑制しなければいけないのはほぼどの会場にも共通して言えることであり、特に今の時期ような予算策定時期は来期の広告出稿をどうするかの真剣な議論がなされるわけですが、先ほども書いたように悪循環に陥らないための計画策定をするためには、いくつか押さえておかなければいけないポイントがあります。

費用対効果を維持または改善しつつ総額を抑えるための基本的な考え方を理解する

広告予算や出稿バランスについて議論していると意外と知らない方も多いのですが、効果を落とさず費用を抑えるためのセオリーは「費用対効果が悪い媒体の出稿金額から減らす」が鉄則です。総投資額の大きさやそう来館数の多さは基本的に関係ありません。感覚や印象で判断することなく、定量的かつ客観的な指標で合理的に判断していくことが重要です。
例えば、前年が以下のような実績だった場合、どのような優先順位でコスト削減を考えればよいでしょうか?

  • 媒体A:100万円→20来館
  • 媒体B:20万円→5来館
  • 媒体C:1,000万円→100来館
  • 媒体D:400万円→50来館
  • 媒体E:600万円→30来館

ちょっと考えてみましたか?媒体別の費用対効果(1来館獲得するのにかかっている広告宣伝費)は、

  • 媒体A:5万円/来館
  • 媒体B:4万円/来館
  • 媒体C:10万円/来館
  • 媒体D:8万円/来館
  • 媒体E:20万円/来館

このようになるので、削っていく優先順位は、E>C>D>A>B、となります。ここまではシンプルですね。

来館予約シミュレートの媒体比較表

そして、次に考えなければいけないのは「広告宣伝費の総額と来館目標とのバランス」です。
例えば、年間の広告宣伝費を1,500万円程度にしたい、ということであれば先ほどの例では媒体Eの出稿そのものを止めてしまえばOKですが、1,200万円にしたい場合はどうなるでしょうか?D以外にもあと300万円の削減が求められます。優先順位的には媒体Cですが、1,000万円一括出稿なのか、細かなプランを組み合わせての総額1,000万円なのかで考え方が変わってきますので、それを考えるためにはより細かいプラン別の数字も見ていかなければいけません。

また、来館目標は何組にしたいかも同時に考える必要があります。媒体Eの出稿を止めると理論上年間の来館予想は185組になりますが、もし来館目標が200組だた場合、費用対効果も改善するし広告宣伝費も抑えることができますが、このままでは来館目標を達成することができないので、PLトータルで見ると悪化している可能性があります。となると費用対効果が悪いEを止めておしまい、という単純な話ではなく、他の媒体の細かなプラン別の数字を見て本当に効果が悪い施策だけを精緻にピックアップすることや、後述しますが各媒体の費用対効果そのものを改善するための施策も考えることが必要です。

(注意)この考え方に唯一当てはまらないのがゼクシィだと思います。おそらく同じ計算式で費用対効果を算出すると、ゼクシィだけ圧倒的に悪い結果になることが多いかと思います。この理論に沿って考えるとゼクシィに出稿しないのが最適解になってしまうのですが、ゼクシィだけは例外的に認知媒体として機能しているので、別のロジックで検討したほうが良いと思います。

媒体別投資金額と、媒体別の獲得数、費用対効果を可視化できる状態にしておく

ブライダルの集客戦略や戦術を考える場合、具体的には、

  • どの媒体に
  • いくら投資するか

を決めていく作業になります。しかも、できるだけ精緻に。先ほどのような考え方をする場合に参考となるデータは

  • 媒体別の投資金額
  • 媒体別の獲得数(来館数、できれば成約数、組単価まであるとベター)
  • 媒体別の費用対効果

この3つです。顧客管理システムを使っている会社は、データベース内の過去データを活用して計算するのが一番早いので、こういった分析ができるように保持項目やデータ形式をあらかじめ整えておくといいでしょう。一方、エクセル日報などで管理している場合は、このような分析をしやすくするためのフォーマットに修正しておくといいでしょう。正直けっこう相当ハードな作業になると思いますが、それをしないで来館がへこむよりはよっぽどマシだと思いますので、予算策定が始まる前までにデータを見られるようにしておくべきです。

必要なデータ量は、少なくとも過去1年分の毎月、半年計、年間計の各数値は見れるようにしておきたいところです。また、粒度は最低でも媒体別の数値、できれば媒体別のプランごとの数値(同じ媒体でもウェブからの来館なのかエージェントからなのかは分けて管理)まで見られるとよいかと思います。

根拠となるデータはきちんと数字に落とし込んで関係者に共有する

予算策定やマーケティングに関する意思決定をするときのキモは「ざっくりやらない」ことです。誰が見ても明らかなレベルで明確な数字として説明できるところまで突き詰めていかなければいけません。数字の扱いが得意ではない人にとってはかなり苦痛な作業が続く期間になると思いますが、最後に手を抜いてしまうとそこからの年度は不安定になるリスクが大きくなるので、

  • 分析の根拠となるデータを集める
  • 集めたデータからシナリオを作る
  • シナリオに沿った予算の具体的な数値に落とし込む

予算編成の担当者となったら、ここは最後まであきらめずにやり切りましょう。

またブライダル媒体への出稿は、リスティングやSNS広告などとは異なりフレキシブルかつリアルタイムな予算調整ができません。ゼクシィは毎月出稿量を変えられるからまだいいですが、特にウェブ系の媒体は半年契約(または年間契約)が基本なので、一度契約書を締結したら期中に変更することはできなくなります。こういった観点からも、しっかりと検討しましょう。

どうやって改善するのかの取り組みも必ずセットで考える

ここまでロジカルにどうやって数値を合わせていくかの考え方について書きましたが、やり方さえ知っていれば正直誰でもできる作業で、もっと言ってしまえばただの数字合わせゲームのようなものです。この作業と並行して大事なのは、「具体的な効果改善策も併せて考えること」と「改善の見通しが立っている場合はそれを計画に織り込むこと」です。当たり前ですが、マーケティング・集客担当者はどうやったらより効果的に多くの来館を獲得できるかを常に考えなければいけません。予算で決めた数字はそのまま翌期の自分の目標になって返ってくるのでどうしても弱気になりがちですが、集客を伸ばすために施策とプラスになる数値をどのように考えて計画に織り込み、実現させるかはマーケターの腕の見せ所と言えます。

特に今の時期は媒体の営業担当者との翌期予算の交渉や調整をしている担当者も多いでしょう。同じ出稿内容でも掲載価格を下げてもらう(そうすると費用対効果はよくなる)というハードな交渉も時には必要です。様々なスキルを駆使して、予算策定という大きなプロジェクトを乗り越えてください!

個人的なオススメ

最後に、個人的な意見を少し。私の考え方としてオススメなのは「広告宣伝費の変動費化(成果報酬型の広告費率を上げること)」です。成約が多ければ相応の広告費もOKだが、もし成約が取れないなら広告費はかからない、という考え方で、エージェントの成約報酬がそれにあたります。エージェント以外の媒体への広告出稿はほとんどが月額固定型だと思います。マーケットが伸びているタイミングまたは自社会場だけ好景気!のような状態の会場であればそれでもいいのですが、そうじゃない場合は固定費出かけたけど静がなかった、という状態は極力避けたいものです。ちなみに、成果報酬型の契約を結ぶ場合は、成果地点を「成約」にすることが重要です。こんな口コミがあるように、媒体側は来館単価だと顧客をコントロールしてくることもあるので。

成功報酬型の割合が増えると予実管理が難しくなるというデメリットはあるものの、そうした方がリスクは吸収しやすくなると思います。個人的には結婚式場またはブランドでのアフィリエイト広告なんですけどね、完全成果報酬型ですし。市場できていかないかなーと思っています。

 

まとめ

広告宣伝費予算を立てるときのポイントをまとめました。概念的な話から具体的な考え方までまとめたつもりですが、新規の繁忙期とも重なりますし予算編成の担当者は特に多忙な時期かと思いますので、時間があるときにでもじっくり読んでもらえると嬉しいです。もし予算の組み方でご相談があれば、当ブログのお問合せフォームからのご相談も承っていますので、お気軽にお問合せください。

 

おわり

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